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運命のサイコロ2

「……ヘルメス」


「はい」


「今からマナと交代してもらう。だがあくまで俺達はお願いしに来ているだけだ。絶対に手を出すな」


「わかりました」


「いいのか? 本当にわかってるんだな? 手出すなよ。絶対だぞ」


「わかってますと言ってるじゃないですか! なんなんですか!? マスターは私の事バカだと思ってるんですか!?」


「いや、すまない、そんなつもりじゃ……ただ、なんか機嫌が」


「怒ってないって言ってるでしょ!!!」




 ……………………なんか不安だ……………………

 でもやるしかないよな。

 でもやるしかない。俺は意を決して領主に向き直った。





「……そちらの事情はわかりました」


 つとめてにこやかに言う。冷静さを演じなければならない。


「ですが私も小さな村とは言え人民の代表としてきております。

 商人が代金を受け取り、品物を出さなければそれは謝罪では済まされません。

 弁償が出来なければ血の清算があるのみ。

 それは村人達からの信頼を受け取った私も同じ事です」


「……なにが言いたい……」


 領主が険しい顔になって睨んでくる。声と合わせて迫力が半端じゃないがビビってはいけない。


「私が明日どこに行って何を食べようと私と言う人間は変わりません。だが誇りを失った人間はそうではない。

 同じ考えが出来なくなって同じ視点でものが見れなくなって…同じ人間ではなくなってしまいます。

 今必死に心の傷と戦う子供たちの心の支えになっているのが「アケレイ村の住民」であると言う事実」


「わかっている。しかし現状は」


 領主がなにか言うが今度は俺が割り込んだ。ええぃ、ここまできたら無礼もくそもあるものか。


「お待ちください。先ほども申し上げた通りそちらの事情についてはお聞きしました。ではどうでしょう。もしその銀狼団が来たら我々で始末してしまうと言うのは?」



 空気が固まる。領主だけでない、部屋全員の意表をつけた。



「玄関先で狼藉まがいの事を働いたと言うのに寛大にもご面会いただき誠に感謝しております。

 大層な豪胆ぶり、感服いたしております。しかし……これについてはご存知でしたでしょうか?」


 さぁ、イチかバチかだ。俺はそっとマナの手を握った。



 ざわ……


 根本から髪が黒く変わっていく


 ざわ……


 空気がぴりぴりする。あれ、いつもこんな感じだったっけ……


 全ての髪が黒へと変わり、彼女が息を吐く。



 ゴ


 ゴ


 ゴ




 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!


 

 ちょ、ちょっと待った!! すとっぷすとっぷすとっぷ!!



 すたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぷ!!!!!!!!!!!

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