悪夢
「高橋くん・・・好き。」
・・・どうも高橋です、恐らく夢でしょうが、夕焼けに染まる学校の屋上で西口さんに告白されました。
もちろん返事は
「僕も・・・好き。」
フッフ、夢の中とはいえチャンスは逃しません。
しかし、ここでガラリと夢は様子を変えました。
「お兄ちゃん、何よそれ。」
急に脈絡も無くバカ妹が登場し、濁った目で僕を見つめています。
「お、お兄ちゃんが私以外の女と結ばれるぐらいなら・・・アンタを殺してアタシも死ぬ!!!」
どこからともなく出刃包丁を取り出す夏希。
これには流石に夢とは分かっていても、僕怖い。
「な、夏希落ち着け・・・冷静に成るんだ。」
「お兄ちゃん、人間は時には熱い情熱を伴った衝動が大切なんだよ。」
意味わからん!!!!!
それから夏希は出刃包丁を持ったまま、凄い形相で僕に向かって走ってきました。
これ本当に夢ですよね?夢ですよね?夢なんですよね?
「ハッ!!」
気が付いて目を開けると知ってる天井が見えます。
ここは僕の部屋、どうやら予想通り夢だった様です。
今は朝の目覚ましの鳴る五分前。
そしてベッドで寝ている僕の側には
「お兄ちゃん好き、好きすぎて大好き、大好きすぎて嫌い?いやいや大大好き・・・。」
耳元で呪詛を唱えるバカ妹がいました。
とりあえずゲンコツですね。
「お兄ちゃん、痛いよ♪」
僕に殴られてニッコリ笑顔の妹、殴りどころが悪かったワケでは無く、これがバカ妹の通常運行です。
たくっ、どうしてこんなバカが西口さんと友達に成れたのでしょう?
「お前、西口さんに失礼な事をして無いだろうな?」
「大丈夫♪私、彼女の事がすっかり好きに成っちゃったから♪」
一体妹と西口さんの間に何があったんだろう?
はぁ、西口さんと自分との縮まらない距離がもどかしい。
せめて何かキッカケは無いでしょうか?
「来週の二年生の合同遠足楽しみだね、お兄ちゃん♪」
あっ、キッカケだ。
高橋は寝る時はパジャマ