謝罪
「さぁ、焼きなさい。そしてお食べなさい。」
零野でございます。
大好きな焼肉、けれど私は余り食欲が湧いてきません。
「あら?食べてないの?普段はA5ランクの牛肉しか食べない私だって食べる気になっているのに。」
「商店街の皆様に御迷惑を掛けておいて、なんの罰も受けずに焼肉なんか食べていて良いんでしょうか?」
御嬢様、マスター、舞姉様と商店街の皆様に御詫びしに行ったのです。
皆様は商店街をメチャクチャにした私を怒っていると思っていました。
けれど。
「顔を上げて下さいな、商店街を早乙女さんの所で新しく建て直して貰って、コッチは万々歳なんだよ。」
「そうそう、客足も増えたし。」
「メイドオタクみたいなのも写真撮って行くしね。」
「だから気にしなさんな。」
・・・誰一人として私を怒りませんでした。
私はスクラップにされる覚悟で行ったのに、拍子抜けしてしまいました。
それから、お忙しいマスターと舞姉様と別れて、御嬢様と一緒に商店街の近くの焼肉屋に来たのですが、どうにも焼肉を食べる気になりません。
「ふぅ、何を悩んでいるのやら・・・許されたのだから許されたことをイチイチ考え無いことですわよ。」
「そういうものでしょうか?」
「そういうものですわ。今、私が決めましたわ。さぁ焼肉屋に来たら焼肉を食べれば良いじゃない。」
パクリと鉄板の上の焼肉を頬張る御嬢様。
「ハフハフ・・・うん、中々美味しいじゃない。これなら多忙な私でも月一で来てあげても宜しくってよ。」
なんだか御嬢様の偉そうな態度を見ていたら、深く悩むことが無益に思えてきました。
・・・いただきます。
「御嬢様・・・それは私が焼き育てたハラミですよ。速やかな返却を要求します。」
「・・・知らないですわよ。てかアナタ食べる気満々じゃない。」
未熟な私ですが、人の温かさに触れた今日の日を忘れずに、日々精進していきたいと思います。




