追跡
どうも高橋康介です。
西口さんに出会って二週間が経ちました。
隣のクラスを通るたびに、彼女の横顔が見えてもうどうにかなりそうです。
彼女の表面上のデータは頑張って手に入れましたが、スナイパーとしてのデータは何も手に入りません。
この間、西口さんの狙撃を見れたのは奇跡だったんでしょう。
なら構いません、もう一度奇跡を起こしてやるまでです。
僕は放課後、隣のクラスから出てくる西口さんをつける事にしました。悪い事をしているのは分かってるつもりですが、恋は盲目なのです。
見失わない一定の距離を保ち、とうとう校門を抜けて学校の外へ、きっと今から狙撃ポイントに移動するのでしょう。
えっ?なんでそんな事分かるかって??
それはカンです。
僕のカンが、今日彼女が狙撃すると言っているんです。だって今日は晴天で絶好の狙撃日和じゃないですか。
っと、いつの間にか人気の無い道に入って来ました。ウフフ、コレは当りかもしれませんね。
それにしても西口さんの後ろ姿は魅力的です。もう少し近付けないものでしょうか?
もう少し・・・もう少し・・・もう
“パァン!!”
西口さんが振り向き様にハンドガンで撃ってきました。
「あれ?気のせいかな?」
首をかしげた彼女は何事も無かったように、再び前を向き直し歩き初めました。
あ、危なかった。近くに隠れる電信柱があった事と、西口さんの殺気にいち早く気づいたのが幸いして、僕はまだ骸に成らずに済みました。
凄く怖い経験をしたので、前の僕なら一目散に逃げたでしょうが、今の僕は違います。
「今の距離・・・覚えたぞ。」
ニヤリと笑う僕。
西口さんがどの程度まで接近すると撃ってくるのか完全に把握しました。これならギリギリの追跡が可能でしょう。
再び彼女の後ろ姿を見ながら追跡を開始する僕。
形は歪かもしれませんが、僕は今、間違いなく青春しています。
高橋はストーカー