第7話「カイの覚悟」
カイが目覚めてから、数日が経った。
「体の調子は、どうだ」
「大丈夫です。もう、戦えます」
「無理はするな」
「あの秘術は、相当な負担だったはずだ」
「分かっています」
「でも、サラさんを......」
「分かっている」
「俺も、一刻も早く助けたい」
「ルーク」
「どうした」
「僕、決めました」
「何を」
「今度こそ、深淵王を倒します」
「前みたいに、逃げさせない」
「本気で、行きます」
「全ての力を、使い切る覚悟で」
「......」
「カイ」
「ルーク、聞いてください」
「僕は、ずっと考えていました」
「僕の力は、何のためにあるのか」
「僕は、何のために戦うのか」
「最初は、分からなかった」
「ただ、ルークに言われるままに」
「訓練して、戦って」
「でも、今は違う」
「僕は、自分の意志で戦いたい」
「サラさんを、助けたい」
「みんなを、守りたい」
「世界を、救いたい」
「それが、僕の覚悟です」
「......」
ルークは、カイの目を見た。
以前とは、まったく違う目だった。
「強くなったな、カイ」
「ルークのおかげです」
「違う。お前自身の力だ」
「俺は、きっかけを与えただけだ」
「でも、あなたがいなかったら」
「僕は、今もただの......」
「そんなことはない」
「お前には、最初から強さがあった」
「俺は、それを引き出しただけだ」
「......」
「ありがとうございます」
「礼を言うのは、まだ早い」
「深淵王を倒してからだ」
「はい」
翌日。
連合軍は、再び深淵王に向けて進軍した。
「全軍、前進!」
「今度こそ、決着をつける」
「深淵王を、倒す」
「カイ、準備はいいか」
「はい」
「僕は、準備できています」
深淵の裂け目が、見えてきた。
「あそこに、深淵王がいる」
「行くぞ」
『来たか......』
深淵王の声が、響いた。
『今度は、逃げないつもりか......』
「逃げるのは、お前の方だ」
「今日で、終わりだ」
『面白い......』
『だが、お前たちに私を倒す力があるのか......』
「ある」
カイが、前に出た。
「僕が、あなたを倒します」
『カイ・レイナー......』
『お前の力は、確かに脅威だ......』
『だが、まだ足りない......』
「試してみろ」
カイが、加護を解放した。
「光よ......!」
黄金の光が、カイの体を包む。
「前より......強いな......」
「成長したのか......」
「行きます......!」
カイが、深淵王に向かって突撃した。
「はあっ!」
光の剣が、深淵王に向かって放たれる。
『その程度か......!』
深淵王が、手で払いのけた。
「くっ......」
「まだまだ......!」
カイは、何度も攻撃を繰り返した。
だが、深淵王には届かない。
「ルーク、援護を......」
「分かった!」
ルークが、カイの援護に回った。
「二人で、攻める......!」
『二人がかりか......』
『だが、変わらない......』
「変わる......!」
カイが、さらに力を込めた。
「僕は......負けない......!」
『......!』
深淵王の動きが、一瞬止まった。
「今だ......!」
カイが、全力の一撃を放った。
「光よ......深淵を照らせ......!」
巨大な光が、深淵王を包み込んだ。
『ぐおおおお......!』
「効いている......」
「やれるぞ......!」
だが、深淵王は倒れなかった。
『なかなか......やるな......』
『だが、私を倒すには......まだ足りない......』
「くそっ......」
「まだ、足りないのか......」
『今日は、ここまでだ......』
『次に会った時......決着をつけよう......』
深淵王が、裂け目の中に消えていった。
「逃げた......」
「追いますか」
「いや......」
「今は、無理だ」
「カイ、大丈夫か」
「はい......」
「でも、倒せなかった......」
「今日は、ダメージを与えられた」
「それだけでも、前進だ」
「でも......」
「焦るな」
「次の機会に、必ず」
「......はい」
「ルーク様」
リオンが、駆けてきた。
「報告があります」
「何だ」
「ザルドア軍が、動いています」
「何だと......」
「約束を、破る気か」
「いえ、撤退を開始しています」
「撤退?」
「深淵王との戦闘を見て、態度を変えたようです」
「我々と戦うより、深淵王に備える方が重要だと」
「サラは......」
「解放されました」
「今、こちらに向かっています」
「......」
「よかった......」
カイの覚悟は、深淵王に届いた。
完全には倒せなかったが──
確実に、追い詰めていた。
そして、サラも──戻ってくる。
「ルーク!」
サラの声が聞こえた。
「サラ......!」
「無事だったか......」
「ええ。あなたこそ」
「俺たちは、大丈夫だ」
「カイが、頑張ってくれた」
「カイ......」
「サラさん......よかった......」
「ありがとう、カイ」
「あなたのおかげで、私は解放された」
「いえ......」
「僕は、まだ深淵王を倒せていない......」
「次で、倒せるわ」
「私たちは、一緒よ」
「はい......」
三人は、再び揃った。
そして、最後の決戦へ向けて──
準備を始めた。
次回予告
三人が揃い、最終決戦の準備が始まる。
ルークは、作戦を練り直す。
そして、反攻作戦が──
第8話「ルークの指揮」
「俺が、この戦いを勝利に導く」
「全軍、俺についてこい」
総力戦の幕開け──




