第5話「平和な世界」
深淵との戦いから、十五年が経った。
世界は、平和だった。
「今日も、いい天気だな」
「ええ」
ルークとサラは、学院の庭を歩いていた。
「平和ね」
「ああ」
「戦争もない」
「大きな災害もない」
「俺たちが望んだ世界だ」
「本当に、実現したのね」
「信じられないくらいだ」
「各国との連携も、うまくいっている」
「外交のおかげだ」
「私だけの力じゃないわ」
「卒業生たちが、各地で活躍しているから」
「そうだな」
「みんなの力だ」
街へ出かけた。
「学院長だ」
「ルーク様だ」
街の人々が、挨拶をしてくる。
「こんにちは、ルーク様」
「こんにちは」
「サラ様、お美しいですね」
「ありがとう」
「みんな、親しげに話しかけてくるな」
「あなたが、英雄だからよ」
「英雄か」
「俺は、そんなつもりはないんだが」
「世界を救ったんだもの」
「当然よ」
市場を歩いた。
「新鮮な野菜ですよ」
「魚はいかがですか」
「活気があるな」
「ええ。平和な証拠ね」
「戦争中は、こうはいかなかった」
「物資も不足していたわ」
「今は、みんなが笑っている」
「それが、何より嬉しい」
子供たちが、走ってきた。
「あ、ルーク様だ」
「僕も、学院に入りたいです」
「大きくなったら、来い」
「待っているぞ」
「はい!」
子供たちが、嬉しそうに走っていった。
「子供たちも、元気だな」
「ええ。未来が楽しみね」
「彼らが、次の世代を担う」
「俺たちの後を、継いでくれる」
「平和を、守り続けてくれるだろう」
公園に行った。
老人たちが、のんびり過ごしている。
「平和じゃのう」
「昔は、こんな日が来るとは思わなかった」
「深淵との戦い、恐ろしかったな」
「でも、ルーク様たちが勝ってくれた」
「感謝しかないのう」
ルークは、老人たちに近づいた。
「お元気ですか」
「おお、ルーク様」
「わしらは、元気じゃよ」
「あんたのおかげで、平和に暮らせている」
「俺だけの力じゃありません」
「みんなの力です」
「謙虚じゃのう」
「それが、あんたの良いところじゃ」
「ありがとうございます」
ルークとサラは、丘の上に行った。
街全体が、見渡せる。
「綺麗だな」
「ええ」
「これが、俺たちが守った世界だ」
「美しいな」
「本当ね」
「守った甲斐があったわ」
「俺は、この世界に来てよかった」
「この世界を、守れてよかった」
「私も、よ」
「あなたと一緒に」
二人は、手を繋いだ。
「これからも、この平和を守ろう」
「俺たちにできることを、続けよう」
「ええ」
「一緒に」
夕日が、沈んでいく。
街が、オレンジ色に染まった。
「美しいな」
「ええ」
「この夕日を」
「いつまでも、見ていたい」
「私も」
平和な世界──
それは、多くの犠牲と努力の上に成り立っている。
だからこそ、大切にしなければならない。
守り続けなければならない。
「さあ、帰ろうか」
「明日も、やることがある」
「ええ」
「帰りましょう」
二人は、家に帰った。
レオが、出迎えた。
「お帰りなさい、お父さん、お母さん」
「ただいま」
「今日は、どこに行っていたの」
「街を、歩いていた」
「平和だなと、思ってね」
「そうなの」
「レオも、大きくなったら」
「この平和を、守ってくれ」
「任せて、お父さん」
「僕も、立派になるよ」
「期待しているぞ」
平和な世界は、続いていく。
次の世代へ、さらにその次の世代へ。
永遠に──
次回予告
レオの成長。
ルークの息子は、どんな道を歩むのか。
次の世代の物語──
第6話「息子の道」
「僕は、お父さんのようになりたい」
「でも、自分の道を歩く」
新たな希望──




