第3話「師を超えて」
リオンは、学院の副学院長になっていた。
「副学院長、報告です」
「何だ」
「今年の剣術大会、うちの生徒が優勝しました」
「そうか。素晴らしい」
「リオン先生の指導の成果ですね」
「いや、生徒自身の努力だ」
リオンは、謙虚だった。
だが、彼の指導力は、誰もが認めていた。
「リオン」
「ルーク様」
ルークが、やってきた。
「剣術大会の優勝、おめでとう」
「ありがとうございます」
「お前の教え子は、みんな優秀だな」
「ルーク様のおかげです」
「俺は、基礎を教えただけだ」
「それを発展させたのは、お前だ」
「......」
「リオン、お前は」
「もう、俺を超えている」
「え......」
「何を言っているんですか」
「俺には、もう勝てない」
「剣術では」
「そんなことは......」
「試してみるか」
ルークが、剣を構えた。
「受けて立ちます」
リオンも、剣を構えた。
「行くぞ」
「はい」
二人の剣が、ぶつかった。
激しい打ち合い。
「はあっ!」
「ふっ!」
数分後。
ルークの剣が、弾かれた。
「......」
「勝ちだな、リオン」
「ルーク様......」
「俺は、年を取った」
「お前は、まだ若い」
「当然の結果だ」
「でも、俺はまだ......」
「何を言っている」
「お前は、俺を超えた」
「それを、誇りに思え」
「師を超えることは」
「弟子として、最高の成果だ」
「......」
「ルーク様......」
「俺は、嬉しいぞ」
「お前を、育てて良かった」
「ありがとうございます」
「俺も......嬉しいです」
その夜。
リオンは、自分の部屋で考えていた。
「俺は、ルーク様を超えた」
「信じられない」
「でも、まだまだだ」
「ルーク様には、剣術以外の部分で」
「まだ、追いついていない」
「人を導く力」
「仲間を信じる心」
「判断力、決断力」
「全てにおいて、ルーク様は上だ」
「俺は、まだまだ成長しなければ」
扉が、ノックされた。
「リオン先生」
「誰だ」
若い教官が、入ってきた。
「相談があります」
「何だ」
「生徒の指導について」
「悩んでいるんです」
「......座れ」
若い教官が、座った。
「どんな悩みだ」
「生徒が、言うことを聞かないんです」
「どんな指導をしている」
「厳しく、指導しています」
「それが、問題かもしれないな」
「え?」
「厳しいだけでは、人は動かない」
「信頼が、必要だ」
「信頼......」
「そうだ」
「生徒を、信じているか」
「彼らの可能性を、信じているか」
「......」
「正直、自信がありません」
「なら、まずそこからだ」
「生徒を信じろ」
「信じれば、彼らも応えてくれる」
「......」
「やってみます」
「ありがとうございます、リオン先生」
若い教官が、去った。
「俺も、昔は同じだった」
「ルーク様に、教えてもらった」
「今度は、俺が教える番だ」
リオンは、成長していた。
剣術だけでなく、人を導く力も。
「俺は、ルーク様に追いついた」
「いや、まだまだだ」
「でも、近づいてはいる」
「もっと、成長できる」
「俺の物語も、まだ終わらない」
数年後。
リオンは、結婚した。
相手は、学院の教官だった。
「おめでとう、リオン」
「ありがとうございます、ルーク様」
「幸せになれよ」
「はい」
「俺も、幸せになります」
「ルーク様のように」
リオンの物語は、続く。
師を超え、さらなる高みへ──
次回予告
学院のその後。
多くの卒業生が、世界で活躍していた。
彼らの物語──
第4話「卒業生たち」
「俺たちは、学院で学んだ」
「その教えを、胸に」
受け継がれる意志──




