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詩集/日々  作者:
2/200

もみじ

もみじ散る。あかの涙。

から風吹く。ポケットの中の手。

落ち葉舞い上がる。あかの波。足元を流れて行っては、側溝に落ちる。あかの川。

さらさらとこすれあう風ともみじ。


空は浅葱色。雲は灰色。日が黄色を朱色へ変えていく。

焼くような日差しが、寒々とした頬を温める。目を閉じても、世界は明朗な朱色。時折、もみじが体に触れる。あかの雨。


息を吸い込む。あかの匂い。秋の死んでいく匂い。

どこか土っぽく、昔分け入った森を思い出させ、しかしその時の遠さを突き付けるような、匂い。


手を握り締める。ポケットのもっと奥へ。気を抜けば、冬はもうそこへ滑り込んでくる。

くしゃりと、手の中で蠢いた。のは、一枚のもみじ。

風の中から、掴んだあか。秋の血潮。

終えていく鼓動。


マフラーに顔をうずめ、目を閉じた。俯く。髪を風がさらう。世界は夜のように陰る。

寒々しくて、私は歩き出した。

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