八十三話 記憶と夢
「…っ!」
ガバッとマーガレットはベッドから起き上がりはぁはぁと息を荒げ、汗をかいていた。
(…なんだったんだ今の…夢…?)
ベッドから出てカーテンを開けると太陽の光が眼に入り一瞬目を逸らす。
(朝か…変な夢…?を見たから寝た気にならないな…)
部屋を出てすぐ近くのリビングに入ると誰かが新聞を読みながらコーヒーを飲んでいた。
「あっ、おはよう。マーガレット」
「うん、おはよう…ふあぁ…ミラはいつも早いな…」
「まあね!この店の店主だし!ほーらっ早く顔洗ってきな?」
「うぃー…」
洗面所へ向かい蛇口をひねり顔を洗う。その後、マーガレットは排水口へ流れていく水を眺めていると何か違和感を感じた。
(おかしいな…なんだこの感覚…いつも通りのはずなのに…なのに何かが違う…なんだ…?何かを忘れてる気がする…だけどそれが思い出せない…)
再び顔を洗いダラダラと顔を濡らしたまま今度は鏡を見た。
(なんなんだ…本当に……ミラがいるのは普通…のはず…なのに…なんだ…これ…)
マーガレットは顔をタオルで拭き、気持ちの悪いモヤモヤの正体を見つけ出そうと必死に考えるが何も思い浮かばず苛立ちがつのる。
(くそ…なんなんだよ…気持ち悪い…分からねぇ…)
自分の胸に手を当て服をぐっと握る。
「マーガレットー!ごめーんちょっと買い物…って大丈夫…?」
リビングから駆け足で来たミラは暑い日でもないのにダラダラと汗をかいて顔色の悪いマーガレットの様子を見て心配になった。
「ああ、大丈夫…何買ってくればいいんだ…?」
「えっと…このメモのなんだけど…本当に大丈夫?今日は休んだら…?」
「大丈夫だって…いいからミラは店開ける準備しなよ…」
マーガレットはミラの持つメモを剥ぎ取るように取り、自分の部屋へ向かうと財布を手に取り玄関を出た。メモを眺めながら歩いているうちに頭痛が起き家から離れていくごとにどんどん酷くなる。
「…っ…なんだよ…いっ…」
耐えられなくなったマーガレットは路地に入り、建物の壁に寄りかかり休憩する事にした。頭痛の次は脳内で誰かに呼ばれている様な声が聞こえ始め頭を抑えながら座り込む。
マーガレット…おい…マーガレット…!
「誰だよ…うるせぇ…やめろ…」
脳内に響く声はどんどん大きくなっていき少しずつ鮮明なものになっていった。
「マーガレット!」
「…っ!?」
瞬きをすると突然体から抜けていた魂が戻ってきた様な感覚に陥り、目の前に広がる景色、音はさっきとは全く違っていた。倒れているマーガレットの隣にはジャックがいた。
「大丈夫か!?マーガレット…!」
「ああ…大丈…夫…うっ…!」
マーガレットは体を起こすとすぐに物凄い吐き気に襲われ、地面に吐いた。ジャックはマーガレットの背中を摩る。
「はぁ…げほっげほっ…!わりぃ…ジャック…何がどうなってたんだ…?」
「なんか凄く現実味のある…夢…?を見てて…で目を覚ましたら近くでマーガレットが倒れてた…一つ分かる事はあの女のせいでこうなったってのはわかる…」
「だな…見つけ出すか…多分だけど商店街に行けばいるだろうな」
ジャックはマーガレットの腕を引っ張り上げ、立ち上がらせる。そして二人は商店街へ向かった。
一方その頃、宿で昼寝をしていたモーガンが目を覚ました。腕を大きく伸ばしあくびをする。
「んー…ふあぁ…あれ?マーガレット?ジャック?…また置いてかれたぞ…」
モーガンは寝ていたソファ近くのテーブルに置いてある紙切れを見つけ手に取る。
「んーと…?「留守番してろ、絶対部屋から出るな」…?もー!私が足手まといになるからって毎回留守番留守番ってー!私だって強いんだぞ!…バカだけど…」
モーガンは紙切れをくしゃくしゃに丸め、ゴミ箱に投げ捨てると宿を出てマーガレットとジャックを探し行った。




