山龍討伐二日目(5)
休憩を挟んだ後、シロヒメさんとクロヒメさんは宣言通りペースを上げていた。
地図を見ていると、一つまた一つと赤い点が消えていく様子からもそのことがよくわかる。
じゃあ自分はその間何をしていたかというと、マテラ(分身)やライア(分身)と一緒に地図を見ながら山龍の多そうな一帯を探して、次に向かう場所を決めたり道のりを考えたり、山登りで疲れた体力を回復したりしていた。
「少しでも双子二人の役に立ちたい」と考えていた頃もあったなぁ。
まあ実際は、荷物運びをするだけで精一杯というかそもそも、あの双子の移動手段が某忍者アニメの移動シーンのごとく、常に木から木へと飛び移るスタイルなので、ついていこうにも無理な訳ですが。
双子にとっては休む間も無く移動と戦闘を繰り返していることになると思うのだが、「これぐらいなら大したことないです〜(だぞ☆)」と言っている。
まあ、討伐時に取得した山龍の牙や爪、鱗や宝玉などのアイテムを預けるために定期的に戻って来た時も特に疲れた様子はないし、「大したことない」というのも強がりなどではいのだろう。
なんか、自分はほとんど働かずにただ待っているだけで、心苦しいというかなんというか・・・。
ああ、これが噂に聞く「姫プレイ」というやつか。
いや、自分の場合は男だから『彦プレイ』なのか? 聞いたことないけど。
ちなみに、シロヒメさんとクロヒメさんにもそれぞれ一人ずつライア(分身)が同行していて、山龍の居場所や討伐状況などの連絡はライアを通じて行なっている。
今のところライアは16体まで分裂でき、分裂と合体を繰り返すことで分散の具合も自由に設定できるらしい。
シロヒメさんとクロヒメさんについていっているのがそれぞれ「ライア(1/16)」で、今自分の隣にいるのが「ライア(1/8)」フードの中で魔法陣の制御と監視を行っているのが「ライア(1/2)」同じくフードの中でマテラと何やら秘密兵器の開発をしているのが「ライア(1/4)」となっている。
分裂をしても体のサイズはほとんど変わらないのだが、二体に分裂するごとに戦闘能力は二人(二体?)合わせても元の半分以下になってしまうので、いざ戦闘となったらよほど特殊な事情がない限り分裂はしないほうが良い。
実際「ライア(1/16)」ともなると、攻撃魔法の出力はほとんどゼロに近く、連絡係ぐらいにしか使えないし、移動速度もだいぶゆっくりになる。
今は双子それぞれの肩に乗って移動している。
重さはもともとほとんどないくて邪魔にならない上に、会話も行いやすいので双子にとっても丁度いいらしい。
いつものことだが、姉妹は目の前で分裂していくライアを見ても多少訝しげな表情をしながらも「ま、まあ、妖精なら分裂したって不思議ではない? と、思うんだぞ☆」「そ、そうですね〜。 聞いたことはないですが〜、妖精ならありえます〜」と言っていた。
声が震えている気はした。 多分気のせいだろう。
よし! これからも大抵のことは「妖精だから!」で押し切っていこう!
ここまで読んでくれてありがとう。
え、100話まで読んだのにまだ評価もブクマもしていないだって?
よかったらブクマだけでもしてってよ。別に強制はしないけどさ。
っていう後書きを100話ごとに入れようと思うんだけど、どうだろう。




