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「ミハイル、すまない……。」

「父さん、僕なら大丈夫だって。そんなに落ち込むと体に良くないよ。」

ミハイルは病気と心労ですっかり痩せ細った父親を宥めて馬車に乗った。長年の不作と国への重税でミハイルの父親が領主を務める領地はとうに限界を迎えていた。隣の豊かな領地に支援してもらう代わりに、見目麗しいミハイルはその領主に嫁ぐことになったのだった。

ミハイルが持ったのは荷物は最低限の着替えといくつかの私物だけ。これからの生活に期待しているわけではないし、絶望しているわけでもない。ただ、きっと冷遇されるか慰み者にされるかだろうけれど、自分なら耐えられるだろう、と渇いた感想を持っているだけだった。また、自分1人が嫌な思いをするだけで父親や多くの民が助かるなら安いものだ、とも思っていた。

「それじゃ、行ってくるね。」

いつも通りのさっぱりとした明るい笑顔で手を振るミハイルに父親は唇を震わせ、馬車が見えなくなるまで立ち尽くしていた。


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