148話 カタストロフィ──ザ・ライジング
警告音が、絶え間なく鳴り響く300m級プロメテウスブレイク操縦席。
「≪超嵐核≫暴走!!
精霊の魔力を取り込んでおるのか……!?
なんと無茶な真似を!!!
そんな事をすれば──無限に肥大する黒雲が周辺一帯を消滅させかねぬ!!」
外部映像にて黒雲が、膨張する。
飲み込んだものすべてを、分解しながら。
「ら、ラティア老師!!まずい!!
プロメテウスブレイクの操作が……きかない!!
風精霊側からの干渉が続いてる!!
このままだと制御権が奪われる!!
「耐えよ!!
セリオス!!
メインシステムは死守するのじゃ!
爆発ボルトでメインシステムへのルートを物理的にカットせよ!!
外部回路を切り離せ!!」
「爆発ボルド起動──
コマンドが通らない!!
爆発ボルト、応答なし!!」
だめです!!!!
受け付けない!!!」
セリオスが叩きつけるように叫ぶ。
「脱出を……!!」
「来るぞ……!!」
外部映像で黒が迫る。
回転する雲。
裂ける雷。
ねじれる空間。
それらが壁のように。
そして≪超嵐核≫が、300m級プロメテウスブレイクすら小人のように飲み込む。
との一幕もあり。
嵐があったはずの空。
そこには、何もない。
すべての音が、消えている。
森。
葉の先に、露が残る。そして鳥が小さく様子を窺うように鳴く。
瓦礫はどかされた。
そこから這う這うの体でクラリッサは出る。。
ボロボロ。
その様は乞食のよう。
瓦礫をどかされたが、それはクラリッサの手によってではない。
瓦礫をどかされた先には空が見えていた。
空が綺麗だなー
そう思うほどに、現実感がなかった。
「死んだ……
完全に死んだ。」
「良かった。生きておるな。」
「いや。完全に死んでる。
だって生き残れる理由がない。
ああ。ラティア。
あなたも死んだのね。
死んだというのに、生前と全く変わらない完璧なロリババアね……」
「死んどらんわ。
あと誰がロリババアじゃ。」
クラリッサは、ジト目をするラティアに災害から助け出された。
嵐は引いていた。
あれだけ戦場を蹂躙し、雨風を叩き続けた嵐はもうどこにもにない。
それどころか青空。
何もないほどに。
──ボロボロね……
(生きてるけどボロボロ。
お腹も減った
体中が痛い。)
息は荒く、
衣服は裂けて煤と血で汚れて、指先が震える。
そして支えてもらわねば立てない。
ぐっすん。
移動中。
周囲を確認する。
──戦闘は終わってる……
(だけど……)
意外と森が残っていた。
というか、かなり普通に残っている、
≪超嵐核≫は、頭のおかしい状態になっていた。
通常の超嵐核に加え、暴走した超嵐核が空間に充実していた精霊の魔力を無限に取り込み、黒雲を膨張させながら、領域内において密度の高い魔力の連鎖爆発が繰り返される未曾有の絶対破壊領域を作り出していた。
吞み込んだものすべてが、原始に分解されてもおかしくない。
強大な嵐が過ぎ去った後のように大地は抉れ、岩は砕け、土はめくれ上がっている。
にも関わらず森は、確かにある。
「リーシャじゃ。
水精霊の結界で、瞬時に≪超嵐核≫を覆った。
じゃが余波だけでこれじゃな。
結界がなかったと思うと恐ろしいの。」
リーシャが頑張ったらしい。
「じゃが、それはあくまで結界の外の話じゃ。
結界内に飲まれたものの被害は大きい。
クラリッサ。
よく生きておったの。」
「どーも。」
とはいえ。
クラリッサは、空を見上げたまま動かない。
「どうした。
ひよったか、クラリッサ。」
「いや,多分寝不足でお腹が減って、鬱になってるだけだと思う。筋トレしていい?」
「う、うむ。そうか。意味がわからぬな。
筋トレは後にせよ。
まずはブリーフィングじゃ。」
「どうするの?
てゆーか状況がよくわからないのだけど。」
「空をみよ。」
「もう見てる。」
ラティアに肩を貸されながら、クラリッサはそれを見る。
晴れ渡る空にアルヴェインは健在。
少し高度は上がったか。
「魔族の軍は掃討した。
こっちもボロボロじゃがな。」
「つまり……」
「うむ。
後は風精霊をなんとかすれば終わりじゃ。
全てを取り戻すぞ。
クラリッサ。
鬱になっておる暇などない!!」




