冴えない魔女のおだて方。
お久しぶりです。
毎日は無理でも少しずつペースアップして連載してけたらなあと思います。
『そんなよそよそしい言い方はよしてください。』
どうやら先ほどの思考の一部がげるるんの方に漏れていたようだ。
ヨースケは少しハッとしてげるるんの方を見る。
『行き詰っていた我々にとって、ご主人様はまさに救世主にひとしきお方なのです。』
そんな風に言われるとヨースケもなんか恥ずかしくなってくる。
『これからも貴方の良き手足となります。何かわたくしにしてほしいことがあれば遠慮などせずに、なんでも仰ってください。』
「な、なんでもって……。」
なぜかヨースケではなくモジョモが恐れおののきながら「ゴクリ……。」と唾を呑み込む。
相変わら会話の端々にだけ変に反応する女である。
まあ最近はいつもこんな感じがするのでもうヨースケも一々突っ込んだりはしないが……。
しかし『救世主にひとしい』とは随分と大げさすぎないだろうか?そもそもスライム・エレメント達が『行き詰まって』いたというのはどういうことなのだろうか?
その辺も詳しく聞きたいがこのままでは会話に時間がかかりそうである。
それにげるるんも、すでに1日の会話制限の半分くらいはしゃべってしまっている。
今後のためにも早急に会話量を増やす方法を検討すべきだと思うが、ヨースケではなかなかいい手が思い浮かばない。
そもそもこの世界のスキルや常識に疎いので、何か問題が生じた時に、ただの思いつきだけで物事を解決していかなければならない現状はかなりきつい。
すぐ思いつくのはげるるんのレベルを上げることだが、多少あげたところで上昇するMPもそんなに多くなさそうだし、今後も分裂してレベルとステータスが下がることを考えたらあんまり意味ない気がする。
「なんで行き詰まってたかとか、100年もこの島で何をしていたかとか詳しく聞きたいが、とりあえず会話の絶対量を増やす方法をみんなで考えなきゃならんな。何かいい方法はないものか……。」
そんな風につぶやきつつ横にいるモジョモに目をやると、実にやる気のない態度である。こいつは本当に使い魔なのだろうか?まあ随分と特殊な存在ではあるが……。
「おい、お前も真面目に考えろよ。この島から出る手段を見つけなきゃ、その内俺たちもジリ貧なんだぞ。それにお前は早く家族のもとに帰りたくはないのか?」
そう言ってやると、モジョモは実に微妙そうな顔になって、
「えーと、正直両親と妹には説教されそうな結末しか思い浮かばないので別にそこまで急いで帰らなくてもいいかと……。」
と、実にダメダメな反応をしてくれた。
「てか説教してくれるなんて愛されてる証拠だろ。素直に叱られろよ。」
「い、いやよ。今は最早こんな姿だし、護衛を振り切って船に飛び乗ってきた手前このざまだからほとぼりが冷めるまで帰りたくわないわ。」
おっと、日記に書いてなかった情報が出たな。
しかし話を聞く限りそのほとぼりが多少の期間を置いただけで冷める可能性はゼロなんじゃないんだろうか?
それに当然の話だが、日記がその日起きたありとあらゆる出来事を書いたもので無い以上、モジョモのやつは他にもまだまだ色々とやらかしてそうである。
というか普通出発した船が目的地にいつまでたっても到着しなかったら結構なおおごとになってそうだけど……。
こいつの家族は今必死になってこいつを探している可能性はかなり高いじゃないだろうか?
だというのに随分とダメダメな人間である。いや、もう人間じゃないのか……。ダメ幽霊である。
そんな風に考えたせいもあってヨースケはモジョモのことをついマジマジと実に微妙な顔をして眺めてしまった。一方そんな微妙な視線に晒されたモジョモはというと流石にヨースケから注がれる視線に気付いたみたいだった。
しかしその後モジョモは何故か露骨な仕草でため息をつき、更に口から予想外の言葉を吐き出した。
「まったく、そんなすがる様な情けない顔をしないでよね。まあ、私がいないといい案が浮かばないのは分かるけど。」
ヨースケは流石にイラッときたが、何かしらの案を喋ってくれそうなので取り敢えずモジョモをのせて何か良い案をひねり出してもらう事を優先することする。
もしモジョモに実態があったら手が出ていたかもしれないレベルのイラつきだったが……。
「なんか良い案が有りそうな言い草だな。そういえばお前って結構凄い魔術師だったんだろ、」
「凄い魔術師では無い。死霊術士よ。
まあ一般人にその違いを求めるというのは酷と言うものね……。
まあ良いわ。私の意見を教えてあげましょう。
この私の冴え渡る頭脳が『魔物飼育』の技能を鍛えるべきだと囁いているわ……。」
とドヤ顔でいってくる。本当にチョロイがその分めんどくさいヤツである。
次に機会があったら死霊術士と言って煽てればいいことも理解した。
mが、珍しくまともっぽい意見なので、そんな思考は脇にどいて続きを促す。
「で、その技能のLvを上げると具体的にはどうなるんだ?」
「確か熟練の魔物使いは使役している魔物と以心伝心出来るみたいな話を以前に本で読んだことがある気がする……。」
伝聞かよ。でも有用な情報だ。たまには役に立つヤツである。
「なるほど、で魔物飼育のLvはどうやって上げるんだ?」
「え?そんなのあんたの方が詳しいでしょ。Lv1とはいえスキルを所有してるんだし。私は死霊術士よ。そんなの知るわけ無いじゃない。」
なんかえらく煽る様な言い方をされている気もするが、ぐうの音も出ない正論である。
むしろ専門外のことを思いついてくれただけでも、ヨースケにとっては随分とありがたい意見だった。
しかしその辺についての知識はヨースケの方が明らかにモジョモよりも少ない。
今更異世界から来ましたとか言っても信じてもらえな気もするし、寧ろ冗談だと思われて腹を抱えて笑われそうである。そもそも証拠がないので信じてもらえそうにもない。気が狂ったと思われるのがオチである。
それになんか真面目に言ってもモジョモなら「言いたくない過去がある。」 みたいな斜め上の納得をして更にうざくなる可能性もありそうだ。
さすがにそれは変に深読みのしすぎかとも思うが、モジョモならありえそうな気もしないので、結局ヨースケも色々ぼかして説明することにする。
「いや、実は魔獣飼育は気づいたらなんか習得してた技能なんだ。だからLv1だったし。むしろ技能の内容についてはそれっぽい本を読んでいるお前の方が詳しい気がする。」
「あら?そーなの?まあ、気づいたら技能が開花してたって話は割と聞くし……でも私も魔獣飼育については正直全然知らないわよ。」
「いや、俺が求めてるのはスキルの方向性のヒントになるような情報だ。
例えば『従魔と以心伝心する技能』ってことは、要はその技能を習得するには色々とそっち方向の事をさせたら良いんじゃないかってことになるだろ?
例えば芸を仕込むとか簡単な命令を出して目的を達成させるとか……。そんな感じのスキルをゲットしていけば技能のLvを上げていけるんじゃないかと思うんだ。」
「なるほどね……。つまりなんでも良いから一般的な魔獣飼育者や魔物使いがやってそうな技能についての情報が欲しいって事よね?えーと、それなら確か魔力を注いで従魔の運動能力や魔法力を高めるみたいなのがあったはずよ。」
「なるほど。けどそれはどーやるんだ?げるるんに魔力を注ぐって言われてもよくわからないんだが。」
そう言えばそんな感じのことが技能の説明文にあった気がする。ただ具体的な方法がまるでわからない。
というか魔物使いと魔獣飼育者は何が違うのだろうか?
「私もげるるんに魔力を注ぐ方法はわからないわ。
けど重要なことを忘れているみたいね。
私も魔術道具経由とはいえ立派な従魔の一種よ。
あんたは魔力操作の技能持ちなんだから、指輪に魔力を込めればその類の技能の使用感覚は培える気がするわ。
後はSPかMPが減る感覚があったらいつもみたいにLvアップさせて技能が入手できているかどうか確認すれば良いんじゃないかしら。」
おお。モジョモが立派かどうかはさておいて、珍しく役に立ちそうなことを言っている。
まるで知的な女性のようだ。
ん?でもそこそこの技術や知識を持つ死霊術士ってことは結構な知的ポジションじゃないのか?
ダメだ。普段のこいつを見てると無意味な実験を繰り返して怪しい液体を爆発させているイメージしか浮かばない……。
物凄いドヤ顔のモジョモは色々と知識が披露できて上機嫌なようだ。
なのでヨースケはこの際だからと、この状況に便乗して色々と聞き出しておくことにした。
「さっきチラッっと言ってたが、お前って従魔の一種になるの?」
「正確な分類だと特殊召喚獣に当たるはずよ。
本来、低Lvのテイマーは1匹しか従魔契約できないんだけど、私はその指輪に魂を封じ込められた存在で、指輪そのものが召喚の魔術の発動体になってるの。
要は指輪の使用者は基本的には単なる魔力の供給源なのよ。だからあんたが私を扱いつつ、げるるんと契約出来たんだと思うわ。」
気づいてなかったの?という顔でモジョモが説明してくれた。
「ん?でもただの供給源っていうが、お前は俺の命令に逆らえないんだよな?それは何でなんだ?」
「何言ってんの?そりゃ使用者の魔力で具現化してるんだから、魔力の性質的に使用者の介入を強く受けるに決まってるじゃない。魔術師の基本知識の1つじゃない。一瞬なら抵抗できるかもだけど、どうやったって最終的にはほぼ使用者の意思通りに動くわよ。」
「いや、そんなこと言われても俺、魔力の性質についてそんな詳しくないし。」
ヨースケはそう返しつつも、魔力が余剰魂魄の一種である事を考えれば、元はその魔力を行使する術者に属していたものである事からも、なんらかの形で術者の意思の影響下にあるというのは、それ程不思議な事ではないと思った。
「そう言えばあなたは技能をやたらと真言で使用する癖があったわね。
技能の多さから一部の技能は技能宝珠とか技能継承とか特殊な状況で手に入れたと思ってたけど魔術系がそうなの?」
いや、技能宝珠とか技能継承とか知りません。
いっそ全部説明してしまっても良いが、この島では良くてもここから何とか脱出して人里に行った時に言わなくても良い事をポロッとこぼしそうなんだよなあ。
「まあその辺はその内説明してやるよ。
と言うか良く考えたらお前が儀式で自分を幽霊にした事を考えれば、その辺の事情に詳しいのは当然か……!
ん?なら何で魔力強化すれば自分ができる事が増えそうなのにその辺の話をしなかったんだ?」
まあこいつの事だから単純に忘れてたって事だろう……。
とヨースケが何の気なしにモジョモの方を見るとわざとらしく視線をフッと外された。
あ、これは何かくだらない理由があるやつだわ。
「喋れ。」
ヨースケは指輪に魔力を込めつつモジョモそう告げる。
「あー、指輪に魔力を込めて命令しないみたいな事を言った癖に。」
そんな感じの事も言ったかもしれないが、確認しておかないと後でめんどくさい事になるのは明白だった。
「いいから喋れ。指輪の使い方を詳しく話さなかったのは俺がきかなかったから、とかじゃないよな。お前の事だ、どうせくだらない理由で喋らなかったんだろ。」
「くっ。何という屈辱。
けどくだらない理由なんかじゃないわ。
いいわ、言ってやるわよ。
恐らくだけどLvを上げたり、魔力強化を頑張れば私に具現化能力がつく可能性が高いのよ。」
「何だ?便利じゃないか。それなら指輪が壊れない程度にLv上げるのも1つの手じゃないか。」
隠す理由にはならない気がするが……?
「いやよ!だって今はのほほんと眺めているだけで良いから気が楽だけど、私は貴方みたいに黙々と単純作業をする事に喜びを見出せるようなドMではないの。」
堂々と最低なニート宣言をされた。
この指輪が意のままに操れるっていう鑑定の説明に深く疑問を感じる。
いや、少しは抵抗できるみたいな事言ってたしな。だとすると今の言葉も嘘ではないが全てではない可能性もある。「喋れ。」としか命令してないわけだし。
「ほう、なんかもっともらしい感じで言っているが他にもまだ隠してそうだな。」
そうやってもう一度指輪に魔力を込めようとすると、渋々といった風にモジョモが喋りだした。
「だ、だって……具現化能力よ。
私が自分以外を触れるようになるって事は、貴方も私を触れるようになるのよ。
貴方はきっと逆らう事のできないしもべである私に抑えきれない欲望をぶつけるに決まってるわ。
きっと昔手に入れた本に書かれていた変態貴族みたいなプレイみたいなのを。
きっと私は あのメイドみたいに……。」
と自分を抱きしめる様なポーズをしてモジョモがくねくねと変な風に身悶えている。
「いや、そんな事は考えた事もなかったぞ。」
「嘘ね。こんな孤島に男女が2人だけ、しかも私に一度は獣の様な目を向けた男よ。
とても信じられないわ。
きっと私をアレコレして未知の扉とかを開かせるはずだわ。」
「ぐっ……。いや、何なのお前。何でそんなにドヤ顔で俺を糾弾してるの?
何を期待してるのかこのむっつり魔女め。」
「いや、むっつりはそっちよ!」
と、そのままモジョモとヨースケの2人はギャーギャーと全く生産性のないアホな言い合いを始めてしまった。
そのまま5分ほど経った頃。いい加減言い合いが治まってきた頃合いにげるるんが申し訳なさそうな感じで念話を送ってきた。
『あのー、突然ですけど該当の技能を持つ私の同族を探してみたらどうでしょうか?
もちろんそんな個体がいない可能性もありますが……。
もしいれば私が融合してスキルの詳細を確認すれば、
少なくともLv3までは何とかあげらるのではないでしょうか?』
「それだ!」
と、乳に目を奪われた前科がある為珍しく口喧嘩で劣勢だったヨースケがその案に飛びついた。
相変わらず自分で読み直すたびに文章をごちゃごちゃといじってしまい、いろいろな部分が余計にひどくなっている気がします。
まあその辺はいいかげん後でちょこちょこ直していく事にして、とりあえず話をどんどん進める事にしました。
未熟な文章ですが何とか改善して行くつもりなので宜しくお願いします。




