監禁という名の強制安静
今回も三話分の投稿なので2つ前から読んでください。
手慰めに手にしている本をはらり、はらりと捲る。視線は確かに文字を追っているが、本の内容は頭の中にすでに入っているので文字通り目で追っているだけである。
縁は手にしていた本を下げた。
パサリと音を立てて布団に沈む本を見ながら自身も背中にある枕に静かに沈んだ。
「……暇だ、暇すぎる…………退屈だ」
ここ数日で見慣れた天井をぼんやりと眺める。
あの深窓や高貴と言った言葉を殴り捨てている姫──稲良姫との出逢いから早五日、体調もだいぶ回復した。
しかし縁は神薙と呼ばれる青年に絶対安静を命じられしぶしぶ寝台の上で大人しく養生している。
流石の縁も勝手に部屋から抜け出したことに対して罪悪感があったのか、まだ何の説明をしていない、されてないこの状況で静かにしている。
───単純に穂稀にガチで泣かれそうになり折れた感があったが。
その当の穂稀は怪我自体が軽症だった為、そうそうに部屋の外に出て神薙の下で働いている。
そもそも穂稀は稲良姫という姫の女房であったが件の出来事を知った神薙が稲良姫の父である阪部中納言と交渉して穂稀を己の女房として引き取ったのだ。
これには稲良姫が大反対したらしいが雇用の決定権を持っているのは彼女の父親だ。その父親は神薙からの話を聞いて神薙に此度のことを他言しないことを条件に穂稀を手放した。家の名誉と娘の不祥事を隠すことを優先した結果だった。
「………」
現在、縁は独りきりで部屋に籠もっている。
医者から全快の判断がくださられない限り、部屋を出ることすら叶わない。
コンコン、コン。と扉からノック音がした。縁は軽くどうぞ、と告げると扉の奥から神薙が現れた。




