おっさん、現状の予定をまとめる。
本日更新1回目
次の日。
妻の作った最高に美味しい朝食を、家族三人一緒に食べると。
おっさんは早速、仕事に行く準備を始めた。
「アンクル、もう行くの?」
「ああ。
ソニア、リリスを頼むな」
「おとさん、いってらっしゃ~い!
がんばって~!」
おっさんは娘を抱っこした。
彼の太い腕に抱えられ、リリスは楽しそうだ。
「リリス~!
お父さん、頑張ってくるからなぁ~!」
娘に応援されたことで、彼の心はやる気に満ち溢れていた。
「リリスの為に、山中の木を薪にしてくるからなぁ~!」
「あなた、それはやりすぎよ。
ほどほどにね」
大切な娘が応援してくれるなら、自分は山中の木を一晩で切り倒せるかもしれない!
気合いの入り過ぎたおっさんを、ソニアが軽く窘めた。
「それと、これ」
ソニアが弁当を手渡す。
今日もおっさんの為に用意してくれたようだ。
娘を抱えていない方の手を伸ばして、彼はその弁当を受け取った。
「ありがとう、ソニア」
「いいえ。
妻として当然ことをしたまでよ。
それと――」
「うん?
どうした――」
完全に不意打ちだった。
気付けばソニアの顔が近付いて、
「っ!?」
おっさんは頬にキスをされていた。
「それじゃあ、行ってらっしゃい」
「……ああ、行ってきます」
一瞬、呆然としてしまうおっさんだったが。
直ぐに気を取り直して。
「おとさん、いってらっしゃ~い」
手を振る妻と娘。
二人の笑顔に見送られながら家を出た。
※
庭に刺さった聖剣を引っこ抜き。
おっさんは町に向かう。
魔法で移動してもよかったが。
まだ時間もあるので周囲を軽く散策してみようと思ったのだ。
『勇者様、私は朝から胸焼けしてしまいました』
羽をパタパタ羽ばたかせながら、げんなりするカティ。
『悪かったな……』
おっさんだって予想外だった。
まさか、ソニアがあんな行動を取るなんて。
『今後、食べ過ぎは控えないとですね……』
って、そっちか。
カティは昨日、原っぱでソニアの料理を食べて以降。
どうやら食事をすることにハマってしまったようだ。
朝食中、物欲しそうな顔で涎を垂らしていたので、料理を少し分けてやると。
ちっこい身体でバクバク食べていた。
食欲に目覚めた、腹ペコ妖精カティの誕生であった。
『それと勇者様、少し真面目な話を。
今のうちに、今後の予定について整理した方がいいと思うのですが、どうでしょう?』『そうだな……』
やれねばならないことは多いが、優先順位を順序立てる必要はあるだろう。
まずは優先順位を抜きに、おっさんの現状の予定を頭に思い浮かべる。
・仕事
・人攫いの捕獲。
・ソニアが生き返った原因の発見。
大きく分けるとこの三つだ。
『カティ、先に断っておくが。
まずは仕事が第一だ。
生活費の為にもな!』
『……そこはもっと勇者らしく、カッコいい発言を期待したかったです!』
勇者らしい発言がどういうものなのか、おっさんにはわからないが。
彼はフレイル家の大黒柱なので、仕事を一生懸命にこなさなければならないのは当然だった。
カティは残念がっているようだが、家長としては当然の発言だろう。
「次はソニアのこと。
その次は子供を狙う人攫いについて。
仕事は優先するが、この二つも並行して調べていくつもりだ」
『わかりました。
妥当な判断かと思います。
私も可能な限り、情報収集に励みますね』
『頼む』
『はい!
といっても情報を集められそうなのは、人攫いの方くらいだと思いますが……』
ソニアの件は、情報を持っている者がほぼ皆無だからな。
だからこそ手掛かりになるような物でも落ちていれば。
「昨日、ソニアが言っていたけどさ。
家の直ぐ近くで目覚めたって言ってただろ?
でも、やはりこの辺りには何もないか?』
『はい……。
少なくとも魔力を発しているような物は何もありません』
聖剣の力に呼応するような、何かが存在するなら手っ取り早いんだがな。
都合よく、何か見つからないだろうか?
そんなことを思うおっさんに、
『あ……――そうか。
今、いくつか納得がいきました。
ソニアさんが生き返った原因は、聖剣の力が何かに呼応したという推測は間違いないと思います!』
『どうしてだ?』
『ソニアさんの魔力が、普通の人間にしては高いと話したのを覚えていますよね?』
ああ、ステータスを見た時の話だったか?
『何らかの魔法道具が、聖剣の力に呼応することでソニアさんが生き返ったのなら、あの魔力の高さは当然かと思います。
そうなるとソニアさんが生き返ったのは、魔力による何かが関係しているのかも』
魔法的な知識が皆無のおっさんには、わからない話だったが。
もしカティの言う通り、魔法道具があるのなら。
やはりこの辺りをしっかりと探索すべきだろう。
『本格的な探索は、次の休日にでもするか』
『はい。
魔力を感じる取ることが出来ない以上。
地道に探すしかなさそうなのが辛いところですが……』
こんな感じで会話を進めながら。
町に到着するまで、おっさんとカティは今後の行動予定について話し合うのだった。




