表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コミュ障魔女の推し活動〜最強の隠密バフで推し騎士を完全無双させていたら、扉を物理破壊されて求婚されました。  作者: あめのしずく


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

26/26

第三章3「お守りの魔石」

「ハハハッ! 脆い、脆すぎるぞ、人間ども!」


 高位魔族のデビルがその漆黒の爪を振るうたび、大気を引き裂くような衝撃波が放たれる。生徒や騎士団達の悲鳴や苦戦の声が響き、防衛線は崩壊しかけていた。


「クッ……! 皆、下がれ!」


 クラインは瞬時に前に出ると、魔力を込めた剣でデビルの爪を受け止めた。激しい金属音が響き渡り、火花が闇を照らす。しかし、デビルの圧倒的な質量と魔力を前に、クラインの足元がズズズと地面にめり込んでいく。


「ほう、オレ様の攻撃を受け止めるか? だが、これならどうだ!」


 不敵に笑うデビルは、その身から濃密な瘴気が爆発的に膨れ上がった。


「しまっ――」


「ドォン! 」と激しい衝撃音と共に、クラインの身体が後方へと吹き飛ばされる。


「クライン様!」


 レインが叫び、すかさず回復と防御の支援魔法を展開しようとするが、デビルの放った衝撃波がそれを阻む。

 一方で、別方向から回り込んでいたジェイドが、炎を纏わせた大剣を執念深く振り下ろした。


「調子に乗るなよ、化け物がぁッ!!」


 渾身の一撃。しかし、背後に目を向けることすらなく、漆黒の翼を一閃させてジェイドを叩き伏せた。地面に打ち付けられ、荒い息を吐くジェイド。


「クソ、何だこの強さは……! 掠っただけでこれかよ……!」


 ジェイドは痛みに顔を歪め、剣を杖代わりにしながらどうにか膝をついて踏みとどまる。しかし、そのプライドの高い瞳には明らかな動揺が走っていた。

 実力差は歴然だった。王国騎士団長であるアルスが前線で他の魔物を食い止めているが、デビルわ倒せる保証など無い。


 息を荒くし、地面に這うクライン。その視界の端でゆっくりと、レインや周りへ狙いを定める。


(まずい……このままでは全員、消し飛ばされる……!)


 不甲斐なさと焦燥感がクラインの胸を焦がす。彼は無意識に、己の胸ポケットへと手を伸ばした。そこには、昨日ルウシェから返してもらった、あのピンク色の魔石がある。


「……っ」


「ルウシェ」と彼女の名を心の中で呼んだ、その瞬間――。


 ポケットの中で、ピンク色の魔石が爆発的な輝きを放ち始めた。


「――な、これは?!」


 クラインが目を見張る暇もなく、魔石から放たれた眩い光の柱が、クラインの目の前の空間を包み込む。それはまるで、世界の理を書き換えるかのような、圧倒的で神聖な魔力の奔流だった。


「な、何だいこの光は!?

 ぐあぁぁぁ!!」


 魔族が忌々しげに顔を腕で覆う。

 そして、光が収まったその中心には――なぜかポカンとした表情で、手にクッションを抱えたままのルウシェが立っていた。


「……へ? あれ? 

 ピィちゃん、水鏡の画質が良くなりすぎて立体に見え……って、あれっ!?

 というかここどこ!?」


「ルウシェ……!?

 なぜここに!」


 背後から聞こえたクラインの驚愕の声に、ルウシェは勢いよく振り返る。そこには、傷つき、泥にまみれた最推しの姿があった。


「え、クライン様!? 

 ……待って、リアル!?

 転送魔法? あの魔石が原因って事?」


 頭の整理が追いつかないルウシェ。

 しかし、そんな彼女の前に、巨大な影が立ち塞がった。


「よく分からないが、増援か? 貧弱そうな、お前から細切れにしてやろう!」


 狂気に満ちた魔族の爪が、容赦なくルウシェの頭上へと振り下ろされる。


「ルウシェ、逃げろ!!」


 ドンッ


「え……クラ、イン様?」


 振り下ろされた爪は、クラインに突き飛ばされルウシェに当たる事は無かった。その代わり、クラインの背中に鋭く重い爪が鈍い音と共に切り裂いた。


 バタンと倒れるクライン。レインとアルスが息を呑む。ジェイドが目を見張る。


(――は? 今、私の目の前で……クライン様が……)


「クライン……さ、ま……?」


「…………」


 返事のないクライン。

 ルウシェの目から光が消え、辺りが一瞬で凍りついた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ