ドタバタハッピーバースデイ1
「一般国民からの贈り物は何番までリストにまとめ終わったの?」
「えーと、1番から50番までです!」
「ならもう倉庫に移動させましょう」
「いいのですか?」
「いいのよ。所詮あれはピース様に贈り物を送れる立場だと言い張るための表面上の品物だからね」
「分かりました。あ、先輩聞いていいですか?」
「なに?時間ないんだから手短にね?」
「この51番から100番のリストに付けてある赤い印はどういう意味ですか?」
「それは一般国民の中でもピース様とここ一年で関わりが強くなったところから送られたって印よ。例えば納品時期的にお誕生日パーティで着られることになるドレスや靴を搬入した商会とかね」
「なるほど」
「さ、無駄口をたたいてないで仕事に戻るわよ?ピース様が芸術品にご興味を持たれたという噂が広まって、去年みたいにほとんど金貨ではないのだから」
「はい!でも倉庫内に入りきるのでしょうか?」
「それは大丈夫よ。メイド長がこうなることを見越して半年ほど前に第二倉庫建設を国王陛下に進言してそれがもう完成してるから」
「え?メイド長って何者!?」
「あなた知らないの?結構有名な話よ?メイド長は──」
そのメイドさんと入れ替わるように新しい来客が来た。
コンコンコン
「わたくしの名はケイト、ラルム様のメイドをしております。ピース様、ただ今お時間よろしいでしょうか?」
「いいけど、どうしたの?」
「外が騒がしい…」
『王立古代魔法魔道具保管室』に入室してから数日が過ぎた日の朝、私は廊下の喧騒で目が覚めた。
『チリーンチリーン』
起床した私はいつもの様にベッドから降りてベルを鳴らすと、部屋に入ってきたメイドさん達に任せっきりで着替え終え、朝飯のために大食堂に移動した。
食堂には既に数人のメイドが待ち構えていて、私が姿を見せたのとほぼ同時に一斉に頭を下げた。
部屋を見渡してみると普段なら王宮にいる兄姉達の内の何人かがいるはずだが今日は誰一人としていなかった。
そのメイドさんの一人が引いた椅子に座ると、彼女達による給仕が始まった。
『新米のメイドさんが飲み物を含む全ての料理をカートに乗せて運んできて、それをレティシアが受け取って私の前に置く』その繰り返し。
ナプキンなどが必要になったらそばに控えていたメイドさんがさっとレティシアに手渡してレティシアが私に手渡す。
私に対する全ての給仕は最終的にレティシアを介して行われる。
「ごちそうさま。レティシア?そういえば今朝、部屋の前が騒がしかったのだけれども何かあったの?」
「それは、ピース様がもうすぐ十一歳のお誕生日を迎えるじゃないですか。それで各方面から贈り物を届けに来る方々が門の前に列を作っているのです」
「あー倉庫街のとこね?」
「はい。それで王族の皆様が成人されるまでは規則としてはお誕生日の贈り物は一旦特別な倉庫に保管して国王陛下と共に観覧の後『献上品保管倉庫』へ移すのですが、今年はピース様が様々なものにご興味を持たれたという噂が流れておりまして数もさることながら絵画や美術品など収納面積を大きく取るものが例年以上に届いておりまして…」
「メイドさん達の雑談によればあなたはそれを見越してお父様に倉庫を増設するように進言したらしいけど?」
「はい。噂は私が流しましたから」
「でしょうね!ありがと」
「いえいえ。従者として主人の欲するものを調達することは当たり前のことですので、お気になさらずに」
「何かお礼をしないとね。欲しいのも倉庫から持ってく?」
「はぁ…全く…どうやったらそんな発想が出でくるのやら……はぁ。そうですね。でしたら私にピース様の手で付与魔術が施された剣を作ってくれませんか?」
「分かったわ。元となる武器とかある?」
「お恥ずかしながら今はないです」
「なるほど。レティシアが本気で振っても耐えれる『武器』を作るわね!」
「ありがとうございます」
そんなこんな話しながら部屋まで移動しくつろいでいると父さんからの使いがやってきた。
「ピース様。国王陛下からお誕生日パーティの段取りの書かれた書状をお預かりしてまいりました。お受け取り下さい。」
「ん。ありがとね。ご苦労様」
私はそう言うとあらかじめ用意しておいた革袋を使いにあげた。
「ありがとうございます!」
「独り占めはだめよ?ちゃんと仲の良いお友達と分けてね?」
「もちろんそのつもりにございます。では失礼いたします」
なんて会話をして使いの人は去っていった。
「あんまり実感なかったけどもうそろそろ誕生日か~」
「左様でございます。ただ幸いなことにドレスやアクセサリー類の準備は滞りなく進んでおりますのでご安心ください」
「深淵の黒真珠とそれに合うドレスや靴が届いたのね?」
「はい。ドレスと靴を仕立てた商会には近いうちに簡単なものでいいので仕事をやってください」
「仕事?」
「はい。探し物をさせるでもいいですし、ピース様が主催されるパーティの食材の調達を任せるでもいいです。友好的な関係であると対外的にアピールができればいいのです」
「じゃあ防寒着とこんな感じの棒がーとりあえず見本で二本欲しいからそれをそれぞれに頼もう」
そう言って私は登山に使う棒の制作を依頼することにしたのだが
「これは護身用でしょうか?それにしては中に剣を仕込めるようなスペースは無いような?どのように使うのか見当が付きませんがパーティの際に書状を渡せるように手配しておきますね」
「よろしく」
レティシアの言っていることはイマイチ分からないがこんな感じでいいだろう。
話が纏まったので十三王女殿下の直筆の手紙であることと、公文書であることを証明する蝋印を押し、書状をメイドさんへとレティシアが渡した。
そのメイドさんと入れ替わるように新しい来客が来た。
コンコンコン
「わたくしの名はケイト、ラルム様のメイドをしております。ピース様、ただ今お時間よろしいでしょうか?」
「いいけど、どうしたの?」
「主より『お誕生日プレゼントを渡したいから私の所に来てね!道案内は使いに送ったこにしてもらって!』との言伝を承りました」
「分かったわ。案内して?」
そうして私は急遽外出することになった。




