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ピースの楽しい王都外生活2

 直後探知魔法に何かが向かってくるのが引っかかったので横っ飛びで回避する。

 何かは宝箱にぶつかり消滅した。

 ん~頑丈だね~

 おや今度は2つ飛んできたがこちらも発射元の特定に成功した。

 骸骨が黒いボロボロのフードを被り、魔術師のような格好をしている。

 たしかリッチとかいうやつだ。

 ワイトよりは格上、エルダーリッチよりは格下。

 そんな立場の魔物だが決して弱いわけではない。

 剣での刺突は意味をなさないし、斬撃も骨が異様に硬く有効打になりにくいため、ダメージを与えるには打撃が最も効率的だ。


「マノシンズイヲタンキュウスルモノヨ」

「しゃべったーーー!」

「ワレト オノガイノチヲカケタバトルヲシヨウ ソシテワレノカテトネレ」

「いいねぇ!今すぐやろう!」

 こうして(はか)らずも私の人生初の魔法戦の火ぶたは切って落とされたのだ



「デスサイズ」

「お~それがさっき飛ばしてきた何かの正体か~!」

「サキホドカラヨケテバカリデハナイカ?オマエハマジュツシデハナクキョクゲイシダッタノカ?」

「うっさいうっさい。ならこれでどうよ?」

 ソフトボールほどの大きさの石を3つ生み出しストーンエッジを放つ。

 質量のある石をある程度の速度でぶつけたら打撃になるっしょ理論である。

 こちらの世界でも1/2mv^2が役に立つとは…


 3つのストーンエッジのうち2つはデスサイズとやらで砕かれたが1つは肋骨(ろっこつ)に命中した。

 どうやら同時展開は2つが限度のようだ。

 このまま物量で押し潰してもいいがそれでは味気ない。


「ん?速度?」

「ハヤサガドウカシタノカ?」

「骨のあなたにこんなこと言うのもなんだけど肉弾戦としゃれこみましょう?」

 対レティシアで幾度となくやってきた身体強化で一気に距離を詰めた。

 これにより魔法戦の距離(レンジ)から近接戦闘(C Q B)距離(レンジ)に移る。


 拳を魔力で保護しながら水の魔法と風の魔法で氷を生み出しリッチに対し休みなく殴り続ける。

 んー壁を殴り続けてる気しかしない。

 前世()感覚(センス)を取り戻すのにはちょうど良かったが決め手に欠けると判断した。

「ワレハリッチ ツカレナドトハエンドオイソンザイ」

「シカシニンゲンノムスメヨキサマハチガウナ?」

 向こうも同じ結論に至ったようだ。


「ナイトメアデスサイズ」

 おややいばが1本に減った代わりに飛んでくる速度と魔力密度が上がったようだ。

 最初に飛んできたのがこれかな?

「結界」

「フム デハオシアイトイコウ」

「相撲かな?」

 まさかの結界を使っての押し相撲の開始である。

 でも好都合。

 これでリッチくん?ちゃん?の結界を観察できる。



 結界というのは魔力量よりも魔力操作技術のほうが重要な魔法だ。

 優れた結界は正六角形をしている。これが何枚も連なっていわゆるハニカム構造ができあがる。

 よって正面に張る時も半球状や球状に張る時も最も耐久性が生まれる。



 なので結界の押し合いでは勝負はつかない。

 精々次ラウンドの先手を取れるくらいである。

 なので私は最初に却下した物量攻めを敢行した。

「流星群!」

 やり方は超簡単。ダンジョン上部に土の魔法で岩を作りあとは自由落下(フリーフォール)


 後は簡単あら不思議。

 張ってた結界もろとも体が粉々になった元リッチさんの出来上がり。

 結界の押し合い含めて3分クッキング終了~



「ゴーマーダレー」

 今回はちゃんと宝箱は開いた。

 中には古びた短剣が1本入っているのみだった。

 それを取ると宝箱は地中へと沈みここはただの洞窟に戻った。

「【白銀】式ダンジョンの効率のいい狩り方」に書いてあった通りで安心した。



 外に出ると空が夕焼けに染まっていた。

 飛行魔法で急ぎ王宮へと戻った私は、大慌てで大浴場で汚れを落とし夕食の席に着いた。



「ピースよ。無断での外出は楽しかったか?」

「⁉」

「森で魔物を狩りダンジョンを1つ攻略か。腕はいいが周りへの配慮が欠けている」

「ごめんなさい」

 夜。父さんから書斎に呼び出された私は、今日の詳細な行動記録を読み上げられながらお説教をされていた。

 どこで監視されていたのか不明だが、流石に無断で王宮から飛行魔法で飛び出したのはやり過ぎたらしい。

 誰にも見られないように配慮したが穴があったか?


「こんなことをしでかしたのもワシが与えた試練のせいだろう。ただもう危ないことはしないでくれよ?」

「分かりました」

「数日間外出を禁じる。王宮の中で頭を冷やしなさい」

「はい」


 やらかしたがまぁ向こう数日は今回手に入れた短剣をこねくり回したり、残る魔術書を読み深める時間に充てる予定だったので罰は実質無いに等しくて助かった。




 時はピースが書斎に呼び出される少し前に(さかのぼ)

「それで?この報告書は全て事実なのか?」

「はい。本日ピース様は『試したいことがあるからしばらく訓練できない』と私に申されましたので以前より陛下から仰せつかっていた「手の空いているときは騎士団や警備兵団の臨時講師をやってほしい」という仕事に取り掛かっておりました」

「そうか。ワシも常に数名の【(かげ)】をピースに付けている。ピースが初めて市場に行った際にお前が仕組んだ過剰警護の時もな」

「・・・」

「攻めているわけではないし、そう萎縮せんでいい」

「かしこまりました」

「それで?魔法はピースの独学、武術は小さいころにあまたの武人から吸収した知識を改良、剣術はお前の筋をまねて試行錯誤の段階だと?」

「はい。陛下のおっしゃる通りです」

「で、森の魔物は力で粉砕。その後動物たちと優雅に食事、ダンジョンを攻略か」

「その通りでございます」

「ダンジョンの知識はどこで手に入れた?ダンジョン攻略は力技でどうにかなるものではないだろう?戦闘に巻き込まれる危険性があったため【(かげ)】達は戦闘の詳細を把握できていない。想定しゆる可能性をいってみよ」

「数年ほど前に私が書いた本、『【白銀】式ダンジョンの効率のいい狩り方』という本から知識を得られたと推測いたします。」

「あれか」

「ピース様の戦闘力ですが、中にどの程度の魔物(モンスター)が生息していたか不明のため戦闘の詳細は分かりかねます。ただ対魔物の戦闘力はかなりのものと思われます」

「しかしお前には勝てていないのだろう?」

「それは相手が私、いえ人間だからでしょう」

「ピースは優しいのだな」

「はい。訓練にて直接的な攻撃魔法は使われたことはございません」

「なるほどな。いいことだが有事の時までかごの中の姫で居られては困る。何か対策を考えねばな」

「私にできることならなんなりとお申し付けください」

「死ねと言ったら死ねるのか?」

「ピース様のためでしたら」

「ワシのためではないのがお前らしいな。そういうところをかっているピースを頼んだぞ」

「この命に代えましても」

GW最終日いかがお過ごしでしょうか?私はGWを走り切り一案心しております。

明日は本編をお休みいたします。

閑話休題として登場人物をまとめて紹介しますので、そちらを読みながら明後日からの本編を読んでいただけると幸いです。

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