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安眠のコツ
向井は寝返りを打つと頭を掻き毟った。
「……寝れねえ」
時刻は23時を回っていた。
目は、冴えに冴えていた。
明日は5時に起きなければならない。寝なければ。思えば思うほど、眠気は遠ざかっていく。
「痛っ!」
不意に、額に固い物が当たる。箱であった。Awazon超お急ぎ便、そう書かれていた。
「……んだよこんな時間に」
開封する。中には「脳高次機能に関するPSGおよびHSATから紐解いていく不眠解消への導線に連なる行動療法」というタイトルの本が入っていた。
「……へえ」
向井は「不眠解消」の部分だけを見てページを開くことにした。
飛び込んでくる、人体の正式名称、医学用語、作者の造語の羅列。
向井が眠りに落ちるまで、1分とかからなかった。




