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ミラーリング・ナウ

 鏡だ。しかも姿見だ。駿太の全身が上から下までくまなく映されていた。


『これはあなたが10秒後に欲しくなる商品です』


 同封されていた紙にはそう書かれていた。


 通学路のど真ん中である。同じ学校の生徒が、駿太をチラチラと見ていた。

 Awazonの言わんとしてることはわかった。しかし、自分の過ちに気がつくまで10秒も要らなかった。この鏡が届く前に気がついていた。


「ふむ……」


 駿太は思案する。一旦帰るか、このまま学校に向かうか。一旦帰れば遅刻確定で、このまま学校に向かっても、怒られることは間違いない。

 始業のベルが鳴るまで残り3分。駿太が決断しようとした瞬間、腹の当たりに衝撃が走った。

 女が、尻餅をついていた。()()()()同じ学校の生徒だろう。


「ちょっとアンタ! なんでそんな場所で《《そんな格好》》で突っ立ってるのよ!」


 駿太は質問には答えなかった。この女にだけは言われたくなかった。

 鏡を女に向ける。女は、驚きのあまり呆然としていた。


 きっと、今の今まで、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 駿太は姿見を抱えて、自宅に向かって歩き出した。どっちにしろもう遅刻確定だ。それなら自宅に帰って制服に着替える方が良い。


 鋭い風が吹いて、駿太は身を震わせた。パジャマのままで歩くには、4月の風は冷たすぎた。

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