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第三十三話:転生先で貴族令嬢としてラブロマンスに挑戦する・最終段



――「すべて秘書がやったことです」




 さて、皆さんはこの言葉を聞いてどう思うだろうか。


 お決まりの政治家の言い訳、責任逃れ、なすりつけ、身の保身、汚いの代名詞だ。


 これは学生時代と大きく変わった見方の一つだ。


 学生時代は、それこそこの言葉に対して軽蔑していた、政治家は国民の方を向いていないとか思っていたっけ。


 だが社会人になって経験を重ねていくと、お互いの足の引っ張り合いなんて日常茶飯事、責任のなりつけあいなんて日常茶飯事、テレビに出てくるような責任逃れの上司と同僚もゴロゴロいる、それこそ政治家も裸足で逃げ出すようなことをやってのける奴なんていくらでもいる。


 だからちょっとしたことで素直に世間に公表して裁きを受けなければならない政治家を大変だと思うようになった。

 

 でもそれが分かっても何処か自分達の中にある根源的な政治家への嫌悪感、それがどうして残るのか。



 それはテレビを見ている政治家の実生活は、多分私達とそう変わらないから。



 そういった上司や同僚を思い出すから。



 現に私は、それに早々に嫌気がさして、仕事にだけ集中するようになった。


 だけど、そういった政治稼業が「肌に合う」人物は必ずいるから、放っておいても出てくる。



 だが真に恐ろしいのは政治家たちの中で絶対に必要である「嫌われ役」である。



 何故ならその嫌われ役は無能ではできない、有能でなければならない、精神力も強くなければならない。


 人を超えなければならない、倫理も何もかも……。


 そして目の前にいる人物は、その「政治家の秘書」である。


 何が言いたいのか。



――「すべて秘書がやったことです」



 つまり、これが真実であるということ。


 恨みはすべて自分で止める嫌われ者。


 彼を罵倒する言葉は、枚挙に暇がない。


 彼は数多くいる秘書の中で交渉事を専門としている。その中で汚職をしていても、誰も不思議に思わない、死んだら周りは「死んで当然」「報い」と誰もがささやく汚れ役。


 そんな彼はルカンティナ公国ではこう呼ばれる。



――悪魔



 自分の呼びかけに一切表情を変えず、笑みを崩さないクロルソン男爵。


 悪魔か、だが実際に会って分かった、これは覚悟を決めている人間の目だ。


 そんなことを考えていると、クロルソン男爵は少し考える素振りを見せると。


「人とは」


「え?」


「どうしても陰謀論に発想が傾いてしまうものです。政治家われわれは、ただ会食しているだけで大衆は想像を膨らませ、想像で叩く」


「…………」


「私たちは民を憂い、国を憂い、その為に身を捧げているのに理解されない、実に悲しいことです、そうは思いませんか?」


 はん、実に悲しいことです「大衆」が、じゃなくて「私が」ってことか。


 しかし、これは……。


(これは正真正銘の古ダヌキだわ)


 揺さぶりは通じないか、ま、しょうがない、元より期待なんてしていない。


「とはいえキョウコ嬢の推察のとおり、今回のゴタゴタはどの道、私の出る幕ではなかった、実にいいことです、それと」


「なんでしょう?」


「「尽力」感謝いたしますよ」


「どういたしまして「全てを自分で止める覚悟」もまた、私は素晴らしいことだと思います」


「過分な評価です、今後も良き付き合いを」


 とお互いに握手を交わす。


 握った手、ゴツゴツの手、苦労知らずに育ったエリートの手ではない。


(政治家になる前では貧民街でずっと暮らしていた、という徹底ぶりよね。しかも政治家で貧民街で暮らしておきながらマフィアとの繋がりが全くないのだから筋金入りだ)


 エリートは反感を買う。


 そしてエリートにはロクでもない人間が群がることを良く知っている。


 さて、もういいだろう、私が知っていることを知らせるだけで十分なのだから。


「それでは失礼いたします」


「はい、タダクス公爵閣下によろしくお伝えください」



――キョウコ退室後・執務室



「それにしても、キョウコ嬢は何の用だったのでしょうか」


 側近の1人が話しかけ、男爵は周りの側近たち見るが、全員が同じような顔をしている。


「愚か者めが……」


 突然低く響く声に言葉を失い震える側近たち。


「お前達は不自然に思わなかったのか、キョウコ嬢が侍女を1人しか連れていなかったことに」


「そ、それは、帰国のための始末をしているのでは」


「その程度の嘘を見破れないとは情けない限りだ」


「え?」



「あの時のキョウコ嬢は、私ではない、お前たちの表情を見ていたのだ」



「「「っっ!!!」」」


 忖度を逆手に取る方法、政治家に必須である空気を読む、つまり「他人の顔色をうかがう技能」を逆手に取る形、今回の核心をつかれた時、側近たちは無意識で男爵の顔色を窺っており、自分の発言の真偽を、あのお嬢様はそれで計っていたのだ。


 リズエルは嘘が苦手だと聞く、故に表情に出てしまう、ラニは雰囲気でそれが察してしまう、だからこの場から外したのだ。


 キョウコ嬢の傍に常に微笑みを足さないまま立っていた…トオシアとか言ったか、自分も同じことをやり返させてもらったが、張り付いた笑顔で視線も表情も微動だに動かなかった。


 なるほどなるほど、そういえば仕事も早く有能だと聞いている、だからか、あのアバズレを採用したのか。


 となれば別の侍女、落ち目の貴族令嬢も、落ちこぼれの軍将校も評判で採用したわけではないということ、数で二乗の力を生む人事、これがキョウコ嬢の採用する基準だったということか。


 組織における理想論だが、それを成しえたという事になるのか、確かにこの理想論は少人数を1単位で完結させれば実現は不可能ではないが、本来それもまた理想論。


 ということは、キョウコ嬢は信用のおける良い仲間に恵まれたという事。


 仲間、仲間か。



 政治の世界では、鼻で笑われる言葉だ。



 ギギギギとそんな音を立てて吊り上がっていく口元。


「ひっ」


 軽く息を飲む側近たち。



「久々に、本当に久々に、いい気分だ、おい、葡萄酒を、私の秘蔵の一本を開けるとしよう、特級畑グランクリュのな、持って来い、それが終われば、お前たちは帰るが良い、今日は1人で飲みたい気分だ」



 凄惨な笑みを浮かべるも、何処か満足気な男爵だった。




――キョウコサイド




「ふう」


 待機させておいた侍女達と交流した瞬間、緊張が一気に解かれる。


「あれがルカンティナ公国の悪魔とまで言われるほどの政治屋か、こりゃ敵に回すと厄介どころの騒ぎじゃないわね、嫌われ者なんて誰もがやりたがらない役割を、天職だと思っているぐらいだからね」


「大丈夫なんですか、本気でちょっかい出されたら、正直対処のしようがないですが」


「私の出る幕ではないって言っていたでしょ? あれは今回の件から手を引くって意味よ、その言葉だけで十分よ」


 これで本当の終わり、長かった。


 まさかこんな政治的に陰謀にガチに巻き込まれるとは思わなかったけど……。


 今私の思うことは。



「初めての海外旅行、楽しかったわ、皆はどう?」



 そんな場違いにも聞こえる私の質問に、3人はちょっとびっくりした様子だったけど。


「今度は観光でゆっくり来たいですね」


「何人か気になる男がいたので、交流を深めたいです」


「温泉にのんびりつかりたいですね」


 とあっさりと3人それぞれの感想を述べる侍女達を微笑ましく思い、私はシン王達に想いを馳せる。


 そう……。





 黒幕と敵は違う。








――シン王サイド




 キョウコの「推理劇」の後すぐに、まるでタイミングを計ったかのように側近より連絡が入った。


 それはアファド王国に入国していた国賓の男と側近の男が明日の朝、母国に帰国するという一報だ。


 挨拶は良いと言っていたが、そんなわけにはいかないから、引き留め簡単な席を設けたが……。


 憂鬱、その一言に尽きる。


 何故なら、あの2人の男の目を見なければいけないからだ。


 その1人、目の前で座っている国賓の男は温和の笑みを浮かべている。


 だが分かる、その温和な表情、その瞳に宿る青い炎が。この男は国益のためなら躊躇なく自分の首をはね、明日には私のことなど忘れてしまうだろう。


 そして国賓の男の傍らに立つ側近の男。


 一見して凡庸ともとれる風貌だが、数々の黒い噂が付いて回る男で、国賓の男が直々に側近として取り立てたと聞いている。


 場が整ったとばかりに、国賓の男が話し始める。


「さて、丁寧にも挨拶の席を設けてもらった事、深く感謝しよう」


「とんでもない、大したもてなしも出来ず、申し訳ありませんでした」


「なに、こちらこそ大変な時期に訪れたことを詫びよう。何の力にもなれなかったが、諸問題が解決したようで何よりだ」


「…………」


 諸問題、そう、今回のゴタゴタについてだ。


 当然に把握はしているだろうが。


「それにしても珍しいこともあると思ったんだよ」


「え?」


 国賓の男は後ろに立って控えている側近の男を見る。


「コイツの勘が働いておきながら、我々が何も絡めなったことだ」


「…………」


 何が言いたいのかと無言のシンとイレタを見て側近の男が発言する。


「上手くやられた、ということですよ、私の出番はそもそも必要ありませんでした。とはいえ、それが最良の結果であったということは誰の目にも明らか、となればこれも神のお導きかと存じます」


「ほう、お前の言う、上手くやられた、とは?」


「私のやり方は、深く食い込んだ爪を傷がつかない様に剥がすわけでもなく、痛みを覚悟で引きちぎるわけでもなく、食い込んだ肉をそのものを失くすといったものです。良くも悪くも変革をもたらせてしまうのですよ、アファド王国のような新興国に合わないのではないかと考えていたことも事実です、そして……」




「「彼女」は、多分、それを上手にはがしたのでしょう、私にはできないことですよ」




「「っ」」


 緊張が走る、今回の件は、表向きは勇者ナオドの手柄となっている筈だ。


 しかもまだ数時間しか経っていない筈なのにどうしてキョウコ嬢が絡んでいたことが分かったのだ。


 しかも口ぶりからすると具体的な手口も分かっている様子、一方で自分たちは結局キョウコ嬢がどうやったかなんて分かっていないのに。


「調べるなんて簡単な事です、この目で見ればよい、彼女にもその「能力」があるのでしょう」


「っ!」


 いつの間にか側近の男がじっと見つめている、そうか、この側近の男、ハッタリやカマかけではなく、会話の中で自分たちの反応を見て適宜言葉を選び変えているのか。


 やはり見破ったのはこの側近の男で間違いないのか。


(噂通りの凄まじい権能だ)


 そう、この側近の男は常人には考えられない程の凄まじい功績を短期間であげ続けており、それは能力を通り越して「権能」とまで言われている。


 そしてこの側近の男が言ったとおり新興国である我が国においての「変革」は、害悪しかもたらさない。


 だからこの敏感な時に2人の入国は断りたかったのだが、それは自ら弱みを見せるようなものだ。


「今シン国王が考えたとおり、新興国であるアファド王国では、変革は毒にしかならなりません、故にこちらもホッとしております」


「っ……」


 発言をしようとしてかぶせるように国賓の男が応える。


「その点については私も同意見だ、とはいえ今回の黒幕、クロルソン男爵についてだが、下手をすると強国側の理屈を通される、あの男は厄介だ、今後あの人物を頼るのは辞めた方がよい、それこそ、食われることになるぞ」


「……御忠告ありがとうございます」


 いちいちこちらの思考を先読みするかのような会話、やりづらいことこの上ない。


「とはいえ、新生アファド王国の誕生を嬉しく思う、今後も我が国とも良き付き合いを続けられればと考える」


「はい、こちらこそ良き付き合いを」


「さて、その新たな付き合いを記念して、土産を用意した、是非受け取って欲しい」


「え?」


 土産? 全く聞いていないことを突然言い出す国賓の男、何のことだと考える間もなく、国賓待遇の男は側近の男に命ずると懐から何かを取り出し、鷲頭掴み手を放して机の上に落とす。


「こ、これは!!」


 思わず目を奪われるシン達。


 確認するが間違いない、国内で把握しているマフィア組織全部のエンブレムだ。


「な、なぜ!?」


「悩みの種だったと聞いております。とはいえお急ぎください、壊滅させたのは昨日の話、既に他国のマフィアもこれを知っている、となれば食指を伸ばし始めるのも時間の問題でしょう。そうすればこの土産の意味がなくなります。何故なら善良な民の中にですらマフィアを必要悪と評する程に人の心は誘惑に弱いですからね」


「…………」


 アファド王国のマフィア達は、クーデター直後の無秩序状態になった時、荒くれどもをまとめ上げて、勝手に治安維持を買って出たのが発端だ。


 当然にここで了承してしまえば、一生の付き合いになってしまうのは分かっていた。


 だが、国力がない当時は断ることができない、何故なら断ると内乱を起こされると脅されてしまい、結果屈することとなってしまったのだ。


 そしてその付き合いは続き何度も切ろうとしたがその度に「俺達を利用するだけして捨てるのか」と脅かしてきていたのが現状。


 とはいえこんなことをして相手に何のメリットがあるのかが分からない。


「……我が国の治安維持の為に協力していただけるとは、意外です」


「シン王、はっきり言えばこれは予定外の出来事だったんです。宿泊先でマフィアが愚かにもハニートラップを仕掛けてきたのですよ。我々と「付き合い」を持ちたいと思ったのかもしれませんが、我々の侮ったツケは見てのとおり支払ってもらいました」


 弱みを握らず放さないのがマフィアのやり方なのは分かっている。そしてこの側近の男のやり方はその弱みを握ってきた手を潰して抉り取る、母国の暗黒街で顔役の1人だという噂は本当だったのか。


「後はそちらにお任せします、我々から火の粉を払っただけなのですが……、ひょっとして御迷惑をおかけしましたか?」


「……いいえ、感謝します」


 とここで国賓の男が立ち上がる。


「さて、名残は尽きないが、これで失礼するよ、素晴らしい国だったよ、行くぞ」


「はっ!」


 と側近の男を連れて部屋を後にする。



「…………」



 シン達はじっとりと手に汗をかいていた。




――国賓の男、側近の男サイド




「「…………」」


 国賓待遇の男と側近の男は、無言で歩いていたが……。


「「ふるふる」」←感動している


「なんかいいですな! 何か真の黒幕っぽくて!!」←側近の男、カグラ後輩


「うんうん、やってみたかった! この悪役な感じ!!」←国賓の男、フォス先輩


「それにしても何か妙な感じにビビってましたね、あの2人」


「ゴタゴタがあったばかりだから色々ピリピリしていたのだろう、ああいう時は、相手を変に強く意識してしまうものだ、だからそれを利用させてもらったのだが」


「それにしても陰謀論って現実には存在しないんですけど、それが分かっていてどうして揺さぶられてしまうのでしょうね」


「人の心理はマイナスに振れやすいからな、私も着をつけないとな、まあでも凄い楽しかった」


「さて先輩」


「なんだ後輩」


「最後の打ち上げはどうしますか?」


「ドヤァ」


「おお!(パチパチ)」


「面白い趣向の店があってな! そこの最高級部屋をとってあるぞ!!」


「マジすか!! どんな趣向ですか!?」


「まあそれは道すがら話していこうぞ!」




「「ウヒヒ」」




((うわぁ))←周りにいた淑女達



 お前たちここを何処だと思っているんだよ、だから相手にされないんだよ、分かれよ。






――ルカンティナ公国・キョウコ自室






 色々あった、海外旅行も無事帰国、結婚の話を断ることになったので色々な面倒な手続きもあったが、何とかさばき切り終わり、手に入れた穏やかな日々。


 さて、私達はというと。


「ふんふんふーん♪」


 私はベッドで寝そべりながら漫画を読み。


「えへへ」


 リズエルは、ニヤニヤしながらBL本を読み漁り。


「…………」


 ラニは黙々と王道ラブコメを読みふける。


「ゴキゲン中飛車は私好みね」


 トオシアは、将棋本の有段者篇を見ながら研究している。


 よきよき、仕事が自分が組んだ段取りどおりに進むと凄く気持ちがよいものだ。


 はぁ、平和な日々よ、さて、この後は恒例となった乗馬がてらのピクニック、そういえばキャンプはいつにしようかなぁ。


 と思った時、来往者を告げるベルが鳴った。


 ベルを聞いた侍女達3人はいつものとおり支度して「失礼します」と部屋を後にした。


 そして自室へ扉を開けて応接室に入ってきたのは。



「おお侍女達よ!! 元気にしていたか!!」



 当主タダクスだった。


 来訪者を知り侍女達3人は優雅に頭を下げる。


「ようこそ当主様、ご用件を伺います」


「用件も何も娘に会いに来たのだ! 後始末に追われていたがやっと一息ついたのだ!  異国の地で私に会えなくて寂しくて泣いていたのだろう!? こんな感じで!!」



――「お父様ぁ、寂しいよう、帰りたいよう、会いたいよう、グスッ、ヒック」



「「「…………」」」←侍女3人組



「そうだもんね!?」


 とリズエル両肩をガシっと掴むと半端ない目力で見る。


「…………………………………………はい」←目が泳いでいる


「やはりそうだったか! 娘はか弱い乙女、例えるのならそう、触れるだけで折れてしまうような嫋やかな一輪の花! その姿はまさにルカンティナに舞い降りた天使! そうは思わないかい?」


「…………………………………………はい」←目が泳いでいる


「そうだろう、そうだろう、そんな天使を守る騎士はパパある私なのだ! だが私には公爵という立場がある! その時に私に代わって守ってくれたのは、娘が全幅の信頼と信用を置くお前達なのだろう?」


「…………………………………………はい」←目が泳いでいる


「やはり! 父親として礼を言わせてもらおうぞ! さあ! 我が天使にパパが会いに来たと伝えてくれたまえ!!」


「「「…………」」」←侍女一同


 どうしよう、実は政治的陰謀に立ち向かって勝ったとか知ったら、この人は死んじゃうんじゃないだろうか。


「わわ、分かりました、す、すぐにお嬢様に申し向けてまいります」


 とササッと私室に戻り、ベッドに寝そべってバリバリ菓子を食べている触れるだけで折れてしまうような嫋やかな一輪の花に報告するのであった。


「あーー、そうだった、またすっかり忘れていた、お父様へのフォローをしていなかったわ」


「どうします?」


「どうしますというか、前と一緒、父親に対しての対応は一つじゃない?」


「まあ、そうですね」


 とそんなわけで「お父さま、寂しかったわ」とかクネクネしたら「泣きたい気持ちをよくぞ我慢した! 父の胸で泣くがいい! おーいおいおい!」と父親が号泣した。


 そしてひとしきり私を抱きしめた後に上目遣いで「シン王よりパパがカッコいいよ」という言葉でトドメを刺す。


 結果ありえない程鼻の下を伸ばしながら大満足した様子で帰っていくのであった、ふっチョロいぜと、めでたしめでたし(雑)。


 とまあ、いつもの日常を謳歌する。




 そんな世界屈指の強国であるルカンティナ公国と言えど、当然に醜聞には無縁ではない。




 それは上流に限らず存在するもの。




 シン王達の、敵、そう、それは。





 ルカンティナ公国を含めた全ての国だ。





 だからこその損得抜きの友人は得難い繋がり。




 友人が困っているのなら助ける。




 それが私のしたいこと。




 必要な時が来れば、私が私がやりたいようにすればよい。




(頑張ってね)




 と、乗馬の準備をするために着替えを始めるのであった。



:おしまい:

キョウコの世界が広がるお話でした。


ラブロマンス要素がないのは突っ込まないでください(´;ω;`)ウゥゥ。


尚、フォス先輩とカグラ後輩の「打ち上げ」がどうなったかについては、同時連載中の「ワイルドカード」の最新話「異世界レビュアーズ」に落ちがありますのでよろしければ。


ただ冴えない男2人がひたすらに冴えない事をして「そんな自分達が大好きさ!」という話ですけど( ゜д゜;)


でわでわ。


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