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第二十八話:転生先で貴族令嬢としてラブロマンスに挑戦する・十一の段



 シン王子の命令の下、救国の3騎士とロイの国賓待遇としての準備が進められる中、私たちは観光を楽しみまくっていた。


 私達も色々と準備をする必要があると思ったが、面倒事は全てシン王子がやってくれるとのこと、ここは任せて遊び倒すことに決めたのだ。


 そしていよいよ……。


「ほほう、夜の街並みも中々に活気あってにぎわっていますなぁ」


 そう、今度は念願の夜の街を散策することになった。


 熱気があって、人通りが激しくて、雑多な雰囲気が心地よい。


 そこかしこで喧嘩も起きているが、取り締まる憲兵も「人のいないところでやれ!」と蹴とばして終わり、うんうん、ルカンティナでは考えられない光景だ。


「そんなわけで食べ歩きツアーよ!!」


「「「どんどんパフパフ~♪」」」


「ってお嬢様、大丈夫なのですか、まだ秘匿されているとはいえ、こんな大っぴらに観光なんかして」


「ダイジョブ、ダイジョブ、いざとなればラニと私が何とかするし、とりあえず、おばちゃーん、これ一人前ね!」


「あいよ!」


 と皿に乗っかった料理を貰う。


 さて、食べ歩きに大事なのは、どんなに美味しくとも一度でたくさん食べないことなのである!


 そしてそれを分け合うのだ!


「ほほう、このしつこくない辛味に(もぐもぐ)」


「はう! このまろやかなコク、うまいですよ(もぐもぐ)」


「私は前の屋台の方が美味しいかと(もぐもぐ)」


「ううむ、酒は飲みたいところだけど、セーブしないとね」


 とキャピキャピしているが……。


「ラニ、どんな感じ?」


「はい、相変わらず監視が数名ついていますね、その他の不穏動向については現時点特にありません」


「…………わかった、ごめんね、警戒を続けてね」


「分かりました、まあ、お嬢様に何かあれば大ごとですからね、仕方ないかと」


「そうね……」


 私は無敵の戦闘能力を持っているが、それは単純に物理的に強いというだけで、第六感が強いという訳ではない。


 ラニは、狩猟民族であり、身体能力の才能と幼いころからの環境が培われた野生の勘がある。これはラニの兄であるテラのお墨付きだ。


 イレタ宰相の時は攻撃を許したとはいえ、「石を投げる」という一番殺傷能力が低い攻撃手段を取った輩のみを残し、武器を所持していた他3人をあっという間に無力化している。


 石なら当たってもケガで済む、ならばトオシアが治してくれると、クレバーな判断ができるのだ。


 そんな事を考えながら食べ歩きを続けていた時だった。


「お嬢様、前方の路地から不穏な気配がします」


「…………不穏?」


「殺気の数は3ですね、どうしますか?」


 喧嘩もそこかしこで起きている中でのこの言葉、ラニは「何か」を感じ取ったという事だ、先ほど言った動物的な勘、なれば信用に値する。


「何もせずに看過するのは目覚めが悪いわね、状況を見て判断しましょう。まあどっちもどっちだったらそのまま食べ歩きを続けましょう」


 とこっそりと路地を覗いみるとそこには、



「ようねーちゃん付き合えよ!」

「俺達は有名人知ってんだぜ!」

「ぎゃはは! 優しくするぜ!」



 とチンピラ3人が女の子にナンパ、というよりも本気でナンパする気があるのかという感じで絡んでいた。


「「「「…………」」」」


 そして私たちはお互いにコクリと頷くとこう言い放った。




「「「「凄い!! こんな漫画みたいに絡んでいるチンピラ初めて見た!!」」」」




「なんだてめぇら!!」

「俺達に言ってんのか、ああん!?」

「ぎゃはは!!」



 と今度は3人は、近づいてくる。



「お! 上玉が四人! 俺達に付き合えよ!」

「俺達金持ち知ってるんだぜ!」

「ぎゃはは! 優しくするぜ!!」



と分かりやすく私達をナンパしてきた。


 私はここでラニを見るが、彼女は首をかしげている。


「お嬢様、申し訳ありません、判断ミスを」


「いいえ、貴方の判断は正しいわ」


「え?」


「だから言ってちょうだい」


 ラニはじっと3人を観察する。


「ただのチンピラです」


「……なるほど、なれば3人相手だとどう?」


「凶器を持っていたとしても問題ありません」


「捕獲できる?」


「ほ、捕獲!? 何故です?」


「出来る?」


「……無力化するという意味でしたら、逃走された場合、取り逃がす恐れがあります」


「分かったわ、なれば私も加勢する、リズエルとトオシアは2人は下がってあの子を守って、万が一の時の為には一目散に逃げること」


「「はい、お気を付けください」」


 と2人並んで対峙する。


「お! 2人で相手してくれるのかよ!」

「大丈夫! 有名人連れてきてあげる!」

「ぎゃはは! 優しくするぜ!」





 ナンパしてきた3人の男達は、縄で縛り上げてぐったりとしている。


 パンパンと手を払う私とラニは、絡まれていた女の子を介抱してるリズエルとトオシアの下へ行く。


「大丈夫?」


「いえ、それが」


 と何処か歯切れの悪い2人を余所に、助けた人は笑顔で頭を下げてくれた。


「助けてくれてありがとうございます」


 と見上げるは若い可憐な……



 男だった。



((おとこかーーい!!!))←キョウコ、ラニ



「ま、まあ、いいのよ、おほほほほほほほ、大丈夫?」


「はい、とっても、怖かったです(可憐)」


「ぐあああ!!」←中身は干物女の30代女子


――とっても、怖かったです


 そんな圧倒的ヒロイン力っっ!!


 やばい「なれば私も加勢しよう」なんてヒロインの言葉ではないということに今更ながらに気付く。


 どう見ても可憐な少女、だが男だ。


 女よりも女らしい、だが男だ。


 巫女服が似合いそうだ、だが男だ。


 今日も天気がいい、だが男だ。


(ハッ!! ちょちょちょっとみんな!!)


 と思わずリズエル達を目で制してしまう。


(((え? ハッ!!)))


 そう! 圧倒的ヒロイン力の前に無意識に私たちは胸を揉んでしまっている!


 おやめなさい、はしたないわ、うんうん、大丈夫よ、そんなことしなくても私たちは女よ、私たちはヒロイン、花も恥じらうヒロインなのだから!!


「って、危ない危ない、トオシア、どう?」


「はい、怪我はありません」


「良かった、君、立てるかい?(爽)」


 と手を差し伸べる私、いやいや、だから何で私が男役やねん。



「あ、ありがとうございます、なんとお礼を言ったらいいか、キョウコお嬢様」



「…………」


「あ、えっと、その、そうですね、失礼しました、その」


「大丈夫よ、「私も貴方の事を知っている」し、お互い様よ」


 そう、だが男だ、ではあるが、確かに資料を読んで顔は知っていて女顔であることもわかっていた、だけど実際に会ってみてこんなに可憐だとは思わなかったけども。


「あのさ、私のことはシン王子から聞いたってことでいい?」


「はい、キョウコ嬢のことは、そのシンから、いえシン王子から聞いています」


 改めて握手を交わす。


「私の名前はウルイ・レーベン、王族直属の医師をしています」





 クーデターに際して前国王に与した人間が全て処刑されたわけではない。一部の人間は今の国王への忠誠を誓う事と、その忠誠が認められれば生き残ることができた。


 それもその筈、政情が不安定の中での人材育成は困難、故に前体制から続く優秀で有能な人材を失うのは単純に「惜しい」からだ。


 ウルイ・レーベン。


 彼の生家であるレーベン家は前国王の治世から続く医師の家系の名門で、「前当主は前国王の主治医」でもあった。


 クーデターが成功後、主治医も当然に国家反逆罪に問われたが前国王への忠誠心を翻すことをせず結果処刑された。


 しかし前当主は処刑の際、家族の助命を嘆願、家族もまたランツ新国王に忠誠を誓う事を宣言、それはランツにより許されることになった。


 結果、当主の息子であるウルイ含めた家族は生き残ることとなり、新生アファド王国の為に尽力することになった。


 ウルイはその中で才覚を発揮し、医学では世界最先端を走るベレシアナレド国のベレシアナレド大学医学部に留学し、9席の成績で卒業している。


 ベレシアナレド大学の医学部にはルカンティナ公国からも医師を志す留学生がおり、学生だけではなくヴァフォルア大学の医学部の教授にも同大学出身者もいるほどだ。


 そしてウルイの才覚は医師としてはもちろん、現在アファド王国は自国内に大学を作る計画があり、その中で医学部の中枢人物としての活躍が期待されている。


 ウルイは生まれは上流ではあるが、シン王子やイレタ宰相とは違う、能力で今の地位が認められたエリート中のエリートだ。



 そしてシンとイレタとウルイは3人は幼馴染なんだそうだ。



――「イレタとウルイは幼馴染なんです! 本当にいい奴らなんです! 気がよくて優しくて! 私が世界で唯一信用する2人の親友なんです!」



 これはシン王子とデートをした時の言葉だ。


 前国王の治世の時から、ずっと仲が良く一緒に遊び、それは今でも続いている。


「トオシアさんさっきの回復魔法、凄いですね、才媛だと噂には聞いていましたが」


 ウルイはトオシアに話しかける。


「本業の医者には遠く及びません、凡才を自認していますよ」


「いいえ、医学の訓練を受けていないのにこれだけの回復魔法が使えるとは、是非我が王国の医学部に欲しい人材……」


「…………」


「っと失礼しました、つい」


「高く評価していただけることは光栄に思いますが、私はキョウコお嬢様の侍女ですから」


 とそんな会話を横でラニが私に話しかける。


「それでお嬢様、このチンピラ共、憲兵に引き渡すのですか?」


「…………」


「お嬢様?」


「ウルイさん、この後の予定を伺っても?」


「え? 今日ですか、特に」


「そう、なれば城に帰るまでに私に付き合って、いいかしら?」


「は、はあ、別に、構いませんが」


「よし、予定変更、食べ歩きは中止」




「ルカンティナ公国大使館へ向かうわ」




「「「ルカンティナ公国大使館!?」」」


「そう、この狼藉者を連れて行くの」


 ここで発言するのはトオシア。


「お嬢様、よろしいのですか、下手をすると外交問題になりかねないと思うのですが」


「いいのよ、いい加減腹も立っていたのだから、やり返さないとね」


「え?」




――アファド王国、ルカンティナ大使館




「こ、この度は、なんと申し上げればいいか、その、あの、4大貴族の、ユト公爵家の方々に、その、あの」


 額から汗を拭きながら、弁明する駐在武官である空軍中佐殿、気が小さそうな感じだけど、駐在武官は他国の窓口となる立派な出世コースであり大佐昇任の第一候補群、粛々とミスなく駐在武官の職務を続けられれば昇任が約束される。


 故に今回の出来事は「粛々と」の彼の軍人人生に大きな災いとなるかもしれない。彼は参謀総長から直々に「便宜をはかれ」と言われているのだから。


 態度こそ申し訳なさそうにしているが内心は「それみたことか」と思っているのだろう。


 しかも、これだけ騒いで結局は……。


「あれがただのチンピラとだけ分かって良かったです、もし万が一があればユト公爵家になんと申し開きをすればいいか」


 汗を拭きながら話す駐在武官殿、連れてきたチンピラ3人はアファド王国の憲兵に引き渡すことになったのだが、当然にそんなことは分かっていた。


 本番はこれからだ。


「こちらこそ、仕事を増やしてしまい申し訳ありませんでした。今は両国の敏感な時期、タイミングを考えればあの3人がただの狼藉者かどうか判断がつかなかったものですから」


「賢明な判断だと思いますよ、いやはや」


 とホッとしている様子の駐在武官。


「私もホッとしましたわ、個人旅行を楽しんでいたのですが「私が狙われる」なんて思ったら、非常に怖い思いをしましたから」


「ふむ、確かにキョウコお嬢様を狙ったというしたら、何かしらのテロ行為かもしれないですから」


「私の個人的な旅行で迷惑をかけてしまって重ねてお詫び申し上げます、是非軍令部にはそう伝えておいてください、それと……」


「私が「ラニ少尉には本当に感謝をしております」と、併せて是非元帥閣下に私がそう言っていたと、私も生家にそう報告します」


「は、はい! その際は是非私めの」


「もちろんですわ、とても真摯に対応していただいたことも、併せて報告します」


「きょ、恐縮です」


 と最初とは違い真に満足そうな駐在武官に会釈をすると立ち上がり、執務室を後にすると。


「お嬢様」


 控室にいた、ウルイ含めた4人が待っていており、彼らと合流する。


「お待たせ、立場上報告をしておかないとね」


「は、はあ……」


 まだ呑み込めない様子のリズエル達に心の中で「事情はあとでちゃんと説明するから」と頭を下げる。


 その中でウルイが私に話しかけてくる。


「あの、キョウコ嬢、どうして」


「ん? 今は両国が敏感な時期でしょ? 対策はし過ぎても足らないということはないわ」


「…………」


「さあ! 城へ行きましょう!」




――王城




「キョウコ嬢!! 話は聞きました!! 大丈夫ですか!?」


 大使館から連絡が入ったのだろう、城に戻った私達を慌てた様子でシン王子が出向かてくれた。


「いいえ、傷一つありませんわ、ラニ少尉のおかげです」


「それは良かった! ウルイも大丈夫か!?」


 シンがウルイに話しかける。


「うん、なんとかね、怪我はなかったよ」


 というウルイの言葉でホッとした様子だったが、顔をしかめる。


「それにしても、情けない話ですね、キョウコ嬢を守るのが私の役割の筈なのに」


「いいえ、王子の心配していただいたのに、それをおして私が勝手に歩いていたのが悪いのですもの」


「あの、キョウコ嬢、やはり、その」


「分かっております、今後は城で滞在させていただきますわ」


「よかった、その犯人はルカンティナ大使館へ連行したと伺いました、結果ただのチンピラだったようですが」


「本来であれば即座に憲兵に引き渡すところだったのですが、申し訳ありません、タイミングが良すぎると思い、私を狙ったと思いルカンティナ大使館へ行きました」


「いえ! 責めているわけではありません! そう考えるのも当然です! 武勇に優れているとは聞いていましたが、親友を救ってくれたこと、忘れません!」


 力強いシンの言葉に横で落ち込むウルイ。


「本当、情けない話ですよね、男なのに」


 と落ち込むウルイに私は首をふる。


「あらあら、殿方はそういったことをとても気にされるので、助けようかどうか躊躇しましたわ、それと、ウルイさんは医者だと伺いましたが」


 私の問いかけに王子が答える。


「ええ、ウルイは腕力は貧弱ですけど、頭脳はピカイチなんです、ゆくゆくはアファド王国初の王立大学の重要ポストについてもらって」


「こ、こら、シン! 先のことはまだわからないだろ!!」


「っと、そうだな」


 とお互いに笑いあう2人を見る。


「本当に仲が良いのですね」


「ええ、前に言ったとおり、俺達3人は幼馴染なんです!」


「まあ、それは、羨ましいですわ」


 幼馴染か……。


 私には幼馴染なんていないからわからないけど……。




――その日の夜・王城・貴賓室




 貴賓室。


 シン王子が用意してくれた貴賓室に、私たちは滞在することになった。本来だったら私と侍女の部屋は分けられるものだけど「友人」ということで無理を言って同じ部屋にしてもらった。


「…………」


 私の身分が公表されるのが既に数日後に迫っている。そして人の口に戸は立てられぬ、救国の3騎士が入国すること、既に私が婚約目的で入国していることは暗黙の了解とまでなっていた。


「お嬢様」


 心配そうに私を見るリズエル。


「大丈夫よ、何かあれば、私が守るから」


 ここで貴賓室の扉がノックと共に開くとトオシアが入ってきた。


「お嬢様、たった今、救国の3騎士が入国したとのことです、現在は城に向かい、そのまま男性用貴賓室で就寝、明日シン王子と面会予定です」


「わかった、折を見て皆と会いましょう、ってなわけで~」



「夜も遅いし、寝ましょうか、日本の諺に「果報は寝て待て」なんてのがあるのよ」




――同時刻・旧城・




「救国の三騎士が入国したそうだ」


 中心人物が発言する。


「三騎士たちは現在、城に赴き、シン王子と面会している。明日、救国の三騎士の来訪及びキョウコ嬢への身分公開へ踏み切る、そして3日後に歓迎を兼ねての社交が開かれる、それを見越して現在上流は準備に追われている状態だ」


「上手い具合に気が逸れている、それでも奴らの動向に注意をしなければな」


「ヴァイシュ公爵は予定通りか?」


「はい、条約締結の3日前に来訪すると」


「さて、となればそろそろだが」


 ここで扉が開き、イレタと……。



 ウルイも入ってくる。



「おお、イレタ様、ご機嫌うるわしゅうございます」


 全員が跪きそれを手で制すると早速とばかりに発言する。



「お前たちに朗報を持ってきた」



 イレタの言葉に周囲は色めき立つ。


「おお! まさか!」


 イレタはウルイに発言するように促す。


「ランツ国王が今しがた死にました」


 その言葉で全員が歓声を上げる。


「素晴らしい!」

「タイミングは完ぺきだ!」

「よし! これでいよいよ最終段階だ!」

「外れた道を元に戻す時だ!」


 お互いが興奮する中、中心人物、前国王の秘書官であるナルラがウルイに話しかける。


「奴の死についてはまさかシンに知らせてはいないだろうな?」


「無論です。面会謝絶とだけ伝えてあります、タイミングが重要かと」


「うむ、しかし実に素晴らしい死なせ方だ、病気であることは事実だから死のタイミングを調整する、流石レーベン家の次期当主、見事だった」


「おほめに預かり光栄です、私は完全にランツの信用を得ていましたから」


「ははっ、その信用で利用し、陰では毒を盛り、死に至らしめるタイミングを計っていた。これ以上愉快なことはない、お前も顔に似合わず十分な腹黒だ」


「ナルラ秘書官に比べれば、秘書官、もしクーデターが成功した暁には」


「言わずともわかっている、イレタ様」


「ああ、新生アファド王国の大学の学長の地位を保証しよう」


「ありがたき幸せにございます」


「イレタ様、お言葉を」


 イレタは、その言葉に頷くと、高台に上る。


「アファド王国の憲法により王位は王位継承の儀をしなければ王位は譲ることができない。ランツはこの王位継承の儀を経ないで王位についた、つまり自称の王にすぎない、つまり現在は空位であり」


「その継承の儀は、王の血を引く者の立会いが必要である、そしてそれは私しかいない」



「これは立派な国家反逆罪である! これをクーデターの大義とする!!」



 イレタの宣誓に力強く頷き、ナルラ秘書官がまとめる。


「奴が方便に使った法律で処刑される、これは愉快だな、さて我々の計画を再度確認する。空位の王座の場合は、王位継承権はイレタ様にある。その為に条約改正の前日で王位継承の儀の終了を発表し、シンを追い出せばよい、あの者に味方はいないのだから」


「イレタ様、ヴァイシュ公爵への根回しは?」


「完了している、ウルイ」


「はっ」


「まだランツの死は伏せておけ、タイミングがあり、私が指示をする」


「はっ」



「私もウルイも、実の父親をランツに殺されている、その恨みを遂にはらす時が来たのだ!」



 ここで勝鬨を上げると、決行の日までと、現場は解散となる。


 ここですっとウルイはイレタに近づく。


「イレタ」


「ああ、分かってる、長かった」


「うん、いよいよだね」


「それで、お前の見解はどうだ、キョウコ嬢について」


「……城に帰った時、シンに対してカマをかけていたよ」


「カマ?」


「うん、キョウコ嬢がチンピラに襲われた事実なんてない、それをシンが知っているかどうかについて」


「結果は?」


「もちろん引っかかってたよ」


 イレタはため息をつく。


「なるほど、だからルカンティナ大使館にただのチンピラと知りつつ連行したのか」


「イレタ、その顔、何か動きがあったの?」


「件のヴァイシュ公爵家より伝達があった、キョウコ嬢に何かあった場合、こちらは非情な決断をしなければならないと」


「そうなんだ、でもキョウコ嬢もヴァイシュ公爵家をアテにするあたり、やっと動きが読みやすくなったよね?」


「…………」


「イレタ?」


「……とにかく、気を付けるのは救国の3騎士だ、特に勇者ナオドは、ルカンティナに身を寄せているだけで、国籍による制約がない上に、我が国への入国したことがあり、シンとも面識があるから、一番動きやすい立場にあるからな、さて」


「どうしたの?」


「社交の準備だよ、歓迎のために、ね」



 と2人は目的の為に動き出したのであった。



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