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「わかっているわよ」

ルーファスに言った。

うん、きれいな顔、輝く長い銀髪、すらりとした長身。ルーファスは「どきどきキュンキュンしたい乙女のためのゲーム」に出てきても不思議じゃないくらい美しい姿をしている。

「生徒会を抜けてほしいって思っているのは、あなたじゃなくて、あなたの上司だってこと」

「・・・」

「抜けてもいいわよ」

ルーファスは私を見た。その表情は訝しげでもあり、警戒しているようでもある。

「いきなりどういう心境の変化なのかな」

「さあ?あなたに板挟みにさせて申し訳ない気持ちだからって言ったら信じるかしら?」

ルーファスは目を細めた。わたしは微笑む。

「でも、わたしだって身を守る手段を手放すわけなんだから、かわりにってわけじゃないけど、あなたにちょっとしたお願いを聞いてもらいたいのよ」

「お願い?」

私はにっこり微笑んだ。

「難しいことではないのよ。あなたが約束を守る男だって信じるわ」



夢で見た少女の顔を思い出した。幸せそうに、楽しそうに話す少女の顔を。

「どきどきキュンキュンしたい乙女のためのゲームだよ!」


ゲームの主人公レオノーラ・ケリーはきっと素敵な女性なのだろう。

レオノーラはこの学園で誰かと結ばれ幸せになる。

私はその対象相手を知っている。


クリスティーナの婚約者、生徒会長レナードはだめだ。クリスティーナが不幸になる。

私の元婚約者、副生徒会長ブライスもだめ。私を好きだといってくれたたった一人の人なのだ。

隠しキャラという養護教諭、ルーファス。彼の行動を私の「お願い」である程度操作できたら、主人公と恋に落ちたりはしないだろうか。ルーファスも今はつらい立場だ、気分転換も必要だろう。


……などといって、実のところ、わたしも『ヤドリギの下で永遠に』という「乙ゲー」なるものが気になっていたのだ。


私の破滅は避けられない。義父と義母は潔白が証明されることはない。この逮捕は権力闘争の一環なのだ。義兄だって巻き添えででっち上げられたのだろう。たまにあることだ。

このまま、捜査が続けば、私や義父の不法入国や偽造戸籍のことがばれるのも時間の問題で、私を義父におしつけた人間にもたどり着くかもしれない。

私の保護者だった男は、私のもつ闇魔力をさしだせば身分を与えてくれるといった。わたしは男に差し出し、残り香のような微々たる闇魔力だけが残った。

もしかすると、義父母の容疑は、完全なでっちあげではなく、この男がやったことなのかもしれない。私がクリスティーナの親友になり、生徒会に入ったのもその男の指示だったし、当局の見立ては正しかったのかも。私にその意識がなかっただけで。


前世と同じパターンなら、きっと近いうちに口封じにその男に殺されるのだろう。


きっと、前世の夢は、私に役割を与えるためだったのだ。

ゲームの主人公の攻略ルートを誘導することが私の存在理由だったのだ。




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ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。


ユミリアは前世は両親が犯罪者で、子供のころから犯罪に加担していたんです。で、つかまって矯正施設にはいって、今までのことを反省して知っていることを供述するようになったんです。で、口封じに施設内にて殺されることになったという設定でした。


ハッピーエンドにしたかったのですが、力尽きてしまいました。

普通にハッピーエンドが私も好きなのに……。



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