第四十七話
アーハーがストレージからテーブルと食料、飲み物を沢山取り出した。
他の人にも分け与える為かかなり多目に買ってきたようだ。
「うちの団員が経営してる飲食店で買ってきたものです。一度王国に戻ったから少し遅くなりましたが他の皆さんも良かったら食べて下さいね!」
うーん…アーハー性格良すぎでは?
勘違いしてたのかな、私…
人間として出来すぎている。
これでストーカー行為が無ければ素直に賞賛出来るのだけど…
「アキ…じゃなくてアーハーは昔からあんな性格なんです。クラスに馴染めない子や不登校気味な子にも分け隔てなく接して皆の距離を取り保とうとするんですよ。ハルカちゃんには少し迷惑を掛けてますけど、それでもアキは結構良い所も有るんですよ?」
幼馴染として一番近くで見てきたステラちゃんの言葉に納得した。
アーハーの買ってきたハンバーガーを一つ手に取る。
あ、私の好きな照り焼きバーガーだ。
ステラちゃんをみるとBLTサンドを頬張っている。
アーハーは…あ、私と同じ照り焼きバーガーだ。
味の好みが近いのだろうか。
そんなどうでも良いことを考えながら近くに来たアーハーに一言。
「ーーふーん…良い奴じゃん。…でも食べ過ぎて試合でミスしたら許さないからね?覚悟しなさい?」
あ…思わず自分らしく無いことを口走ってしまった…
しかし後悔先に立たず…これじゃ私ツンデレみたいじゃん…
アーハーは凄くいい笑顔で大きな声で返事した。
「はい!精一杯頑張ります!」
ふぅーん?お手並み拝見ってやつ?
それから時間が過ぎて私達の試合になる。
あ、いきなり天上天下だ。
さっきのイライラぶつけちゃえ!
「ハルカさん!ここは僕にお任せを。最優の騎士の名に恥じぬ戦いをお見せします!」
「あんまり期待しないで待っとくよ。まぁ…私が楽できるならそれでも良いんだけど。」
アーハーはお任せ下さい、と目の前に立つ獅子丸にガンを飛ばし始める。
「チィ…いきなり面倒な奴らと試合かよ…しゃあねぇ…テメエら気合入れろよ?」
「自分の行いを悔い改めよ。たかが一国の頂点に立っただけであまり僕のハルカさんを舐めるなよ?」
「いや…アーハーのじゃないし…一国のトッププレイヤーなら十分凄いと思うよ?」
「あー…アキ、スイッチ入ってるねぇ…ハルカちゃん、無視して大丈夫だからね?」
『試合開始!』
始まった瞬間アーハーが飛び出す。
「うおおぉぉあー!《勇気乃旗印》発動!〈跳躍〉〈連撃〉インフィニティオーラ!セイクリッドソードッッッ!!」
「アキの馬鹿!〈大地の祈り〉〈流水の祈り〉〈烈火の祈り〉《光神》シャイニングギフト、からの〜、〈女神乃息吹〉!」
スキルを発動しながらも獅子丸に猛攻するが避けられるか、獅子丸は別メンバーを盾にしてアーハーの攻撃をいなした。
相変わらずひどい人だな、獅子丸。
ステラちゃんがバフをアーハーに掛けた。
光神持ちはステラちゃんだったのか。
今まで使ってなかったよね?
神系の固有ってどのくらい出たんだろ?
確か12系統だったはず。
もうプレイヤーは出揃ったのかな?後で確認しよっと。
今は試合に集中しようか。
早くも3対1となるが獅子丸は避け続ける。
「んな、へなちょこ攻撃食らうかってんだ!《憤怒》起動!〈雷火〉〈身体能力強化〉〈制限超過〉食らえッ!レオネルクロウ!」
獣化した獅子丸が物凄い加速でアーハーに攻撃を当て始める。
「くっ…まだまだッ!《勇気乃旗印》第二段階!」
ウィンドウの端に表示されているアーハーの体力ゲージを確認。
ダメージ量が約3割となったアーハーが固有スキルを再使用すると身体の輝きが少し強くなった。
割合ダメージで強化される固有かな?
今までほぼ一撃で決めてたから良く分かってなかったな。
例外はシクステットの時に皆でダメージを与えてた時くらい?
「だぁぁぁッ!しゃらくせぇ!先ずはステラからぶっ飛ばす!死ね!レオネルクロウッ!」
焦れた獅子丸がバフを掛け続けるステラちゃんに標的を切り替える。
ステラちゃんは維持するのに動けない!?
「ステラちゃん、危ない!クイックコマンド…バイカーシュート!もう許さない!《創造》〈因子結合〉土・モード=山界女狩人!巨岩乃盾!」
シャクヤクとの初めての〈因子結合〉をした姿。
弓を持った遠距離攻撃型でバイカーシュートは殆ど使えない状態。
けどその代わりに自在に土や石を操る事が出来る。
私の弱点、遠距離攻撃の少なさを補った姿だ。
ちなみにまだ因子結束出来るまで好感度を上げ切れていない。
誰にでも懐くのに一定まで溜まると緩やかになっていくんだよね…困ったものだ。
「ハルカちゃんありがとう!」
「ふおぉぉあー!ハルカさんの新しい力をすぐ近くで見れるなんて幸せだッ!新しい従魔のシャクヤクちゃんとの〈因子結合〉の姿か!好感度上げるの早すぎる!流石ハルカさんだ!森と同色系の厚手のワンピースに膝丈ブーツの組み合わせか、素敵過ぎる!一緒にピクニック行きたい!あの弓は弱点を補っている?いや、しかし近距離の性能はどんな物だろうか…ブツブツ…獅子丸、僕はお前が羨ま…じゃなくて、ぶっ飛ばす!」
なんか見た目とか考察とか全部説明してくれたんだけど、嬉しいというより殴りたいって思うのは何故だろう?
「土楼壁!アーハー、とっとと終わらせて。」
「はい!うぉぉぉぉッ!セイントッ、スラーーッシュ!!」
「ぐあぁあッ!」
獅子丸が断末魔を挙げて試合終了。
なんか最後の一撃、斬撃がエネルギー体で飛んでたんだけどあんな事も出来るんだ、アーハー。
一戦目を終えて待機室に移動。
甲斐甲斐しく世話を焼きたがるアーハーを完全に無視して私は掲示板を開いた。




