第二十三話
ホウゼンに到着。
目の前にソウジロウさんと舞侍さん、モハメドさん、ヤンスヤンスさんが私を囲んでいる。
舞侍さんは刀ではなくて猫じゃらしを持っていて、モハメドさんは魚の切り身、ヤンスヤンスさんに至っては木を削って器を作ろうとしていた。そしてそれぞれの傍らにはお猪口。
どういう状況?
「お、おぉハルカ殿よ。無事だったのか。私達は決してサボっていないぞ?処で他の戦場は形が付いたらしいな。報告は聞いているぞ!良くやったな!」
少しおかしな様子のソウジロウさんが私を誉める。三バカ…(でいいよね?)が手に持っていた物をさっと後ろに隠した。あぁ、これは現行犯ですね。
「みゃあ」
およ?指輪に帰還させたはずのユウヒが突然飛び出して肩に登ってくる。
勝手気儘な行動だがこれこそ猫たる所以だろう。
可愛いなぁ、頭撫でちゃお。
「アカネさんから確認して来いとのお達しで見に来ました。どうやら随分と余裕の様ですね。舞侍さん後で報告書を上げてくださいね。」
「ひぃッ!あ、わ、分かりました…!」
・ダンスダンスビビってて草
・舞侍だ、二度と間違えるな!
・ハルカちゃん呆れてらぁww
・これ、ソウジロウさん酒飲んでね?
・ほんとだ、後ろに徳利とお猪口見えらー
・まぁ目出度いしな!
・お師さん来た!
・メニーも一緒だ、小動物みたいで可愛ええのう
「ハルカ殿よ、もう館も陥落する。お主もそんなに気を張らず、一献…どうだ?」
「遠慮します。あぁ、此方私の師匠となったリンドウ・ライカン様です。」
「ぬぅ…!リンドウ…だと?やはり…兄上!」
・ファッ!?
・2~4までは居るのに1が居ないの気になってた
・お兄たま…だと?!
・ハルカちゃん固まってて草、そのまま一生部屋に飾っておきたい
・↑猟奇的兄貴は帰ってどぞ
「ふっ…俗世は捨てた。我はただ武の道を求道する者。そこなハルカの師であり、それだけだ。」
「フジミヤ家の事は……もう、貴方の中にほんの一欠片もないのですか…!?ゼンイチロウ兄上…!」
「その名は既に捨てた。…今はリンドウ・ライカンを名乗っている。…だが、ハルカがフジミヤを継ぐと聞いている。我はほんの少しだけ手助けをしてやろう。ソウジロウよ、戦場に酒など持ちよりおって…府抜けては居らぬな?」
「もう既に戦は我等の勝ちにてございまする。時期に伝令がーー」
「殿!急報に御座りまする!〔百鬼夜行〕を名乗る謎の集団がホウゼン領主を殺害し、本陣に向かってきております!」
「ん…百鬼夜行?もしかしてエトワールさんかな?」
「ふぇ?ハルカさん知ってる人ですか?」
「サンガで戦ってる時にサンガの領主を殺して地位を奪った人。アカネさんに執着してるみたいで私にも目を付けたみたい。ペルソナ・ガールズのサクヤちゃんって子が割り込んでくれなかったらやられてたかも。」
「ハルカ殿知っているのか?もし良ければ情報共有をしてくれ!」
「分かりました。エトワールさんはーー」
それから短時間だがエトワールさんの事を話す。仲間ぽかった人たちの特徴も覚えてる限りを話す。
前線で頑張ってるセガールさんに個チャットを送り、一般兵を下がらせ同盟に入っている名持ち武将達で当たらせた。
厳しいだろうけど少しでも時間稼ぎをしてほしい。
ついでにメニーさんに同盟チャットにホウゼン襲撃を報告してもらった。
「伝令!百鬼夜行、目前に迫っております!」
「ハルカちゃん、俺達が行ってくる!何、俺は刀と風魔法を使うからエトワール女史の策には嵌まらんよ。」
「私も行きましょうぞ!セザンヌも今宵は血に飢えておるぞ!」
「ぐぉぉおおー」
「あっしも支援くらいなら行けるでゲス。行ってくるでヤンス!」
三バカがやる気を出したのか、立ち上がり言葉を残して走り出した。少しは時間稼ぎが出来るだろうか。
そんな事を考えて居ると本陣の幕が上がり一人の少女が私の前に膝を着いた。
「ハルカお姉様!貴女の僕、サクヤがお呼びにより参上しましたわ!」
「ほえ?来てくれたのはすごく嬉しいんだけど、サクヤちゃんを僕にした覚えはないよ?」
「私が自分自身に誓ったのです。あぁ…何てお優しいのでしょう…!ハルカお姉様、一生推します!」
「だ、大丈夫!?鼻血出てるけど…!!」
「仕様ですわ、お姉様!はぁ…てぇてぇ…!」
てぇてぇ…?どういう意味だろ。
それよりも、びっくりした!
急に鼻血を出して引っくり返るだもん。
リスナーのコメントも荒ぶっている。
美少女の鼻血姿から得られる成分って何だろ?
サクヤちゃんを介抱していると次の待ち人が幕を潜る。
「おう、戦況はどんな感じだ?」
「ハルカさんお待たせしました!」
「チキも頑張るよ!」
「やぁやぁ、ハルカちゃん。ボクの出番はあるかい?」
「ハルカさん、すみません。死に戻ってきました。ペナルティ中ですがまだ戦えますよ!」
はやとさん、ショミーさん、チキさん、もッセルさん、そして全線で時間稼ぎをしていたが死に戻ったセガールさんが駆けつけてくれた。
「今は三バk…じゃなくて舞侍さん達が足止めに出ている感じです。はやとさん、ショミーさん、援軍行ってもらっても良いですか?」
・三バカって言い掛けてて草
・セガールナイスファイトや!
・到着から速攻で駆り出されんのか。まぁモハメド達だけじゃ厳しいわな
「おうよ、任せとけ!」
「自信は無いけど、精一杯頑張りますね!」
はやとさん達と入れ違いで心強いサンガ遠征組もやって来る。
「ユイちゃん様が態々アイゼンから来てあげたのよ!?感謝して喜びに震えなさい!」
「アハーハー!ぼぉくの出番かい?宵闇に輝くぼぉくの魔法を見せてあげようじゃーないかッ!」
続々と集まる仲間。
フジミヤ家門には各地の防衛を指示している。
そして最後の三人が現れる。
「ハルカちゃん!お待たせー!」
「エトワールをぎったんぎったんのぼっこんぼっこんにして差し上げますわ!」
「ハルカ殿!わらわも共に行こうぞ!」
「アカネさん、セレーネさん、ハルナちゃんも!来てくれてありがとう!じゃあ…皆準備は良い?絶対勝つよ!」
「「「おおー!」」」




