第二十四話
戦場となる本陣前にて色鮮やかな魔術が撃ち交わされる。
弓矢に魔銃なども混じり戦況は膠着していた。
「行くぜ!熱々鉄鍋インパクトォ!」
「まだまだ行きますよ!精密射撃!」
「……狙い打ちます!!」
「行くよ!月夜に輝く☆僕!」
ハヤトさん、チキさん、メニーさん、ソレビさんの後衛組が技を放つ。
着実に敵の数を減らしていく。
「前衛、前出ろ!被弾した敵を集中的に狙え!数を減らすぞ!」
「「「おう!!」」」
セガールさんの号令で前衛が前に出る。
ハルナちゃんはソウジロウさんと一緒に本陣守備という名の後方待機。
セレーネさんとサクヤちゃんに護衛を頼んでいる。
今度こそは死に戻りせず最後まで戦況を見守ってて欲しいし。
百鬼夜行の面子は18人。
エトワールさんともう一人、水色髪に犬耳の双剣使いのお兄さん以外はそこまで脅威じゃない。
尻尾もふもふじゃん、獣人もありだったかな?
じゃなくて、そんなエトワールさんと水色髪のお兄さんはアカネさんが抑えている。
舞侍さんも後方から風で匂いを散らしてサポートしている。手助けするならアカネさん一択だ。
「ton点館寝返ったー!絶対倒~す!!」
ton点館さん…クレモンに出てたリスナーの人だ。
無口な人だったけど視線は常にスノウさんに向いていた気がする。
「うるせぇ。ひか…エトワールに頼まれたんだよ!ここじゃ敵同士ってこった!」
「フフン…アカネ、君には私のテンは渡さないよ!いつまでも大学時代に浸っている場合じゃないんじゃないのかい?」
「アカネさん!援護します、バイカーシュート!」
「ナイス、ハルカちゃん!《必殺》夢幻流…迦楼羅ッ!」
「おわッ!おっかねえな、アカネ!だが、俺にはその技は効かねえ!《伝技》蒼装・氷牙連閃ッ!」
ton点館さんの持っていた双剣の刃が光輝くとその刃渡りが倍以上に伸びてアカネさんの刀を往なし避けきった。
隣で見ているエトワールさんがニヤニヤと面白そうな顔をしている。
「おや、テン。もう切るのかい?ならば私も乗るとしよう。《雷神》金剛招来・伊綱落し!」
エトワールさんが叫ぶと紫雲が集まり天から雷が落ちてくる。
「危ない!ごめんなさいッ!」
アカネさんを蹴り飛ばし直撃を避ける。
「ハルカちゃん助かったよ。しかし神シリーズ持ちかよー。エトワールめ、豪運の持ち主めー!」
神シリーズ?初めて聞くワードだけど今はそんなの気にしている暇はない。
この二人…強い。
連携も上手いし、アカネさんの細かい癖なんかも読まれ切っている。
私の動画を見て興味を持ったみたいな事をエトワールさんは言ってたから多分私も研究され尽くされている筈。
ならば見たことのない技で対応するべきだ。
そして蹴る相手は…ton点館さん。
アカネさんと視線が合う。
私の意図を汲み取ってくれたようだ。
「《因子結合》…ユウヒ、力を貸して。《魔纒・闇》モード=ダークスタイル 〔常世夜女帝〕…少し痛いですよ?……バイカーシュート!」
・ふつくしい…
・サァァァアア……←砂化
・額縁に飾って一生うっとりしたい
・猫耳!二股尻尾!ユウヒちゃん様の因子がハルカちゃんに…お胸も!お尻も!
・閃いた
・↑通報した
漆黒のティアラを挟むように猫耳を生やし、黒の革ジャケットにライダーパンツ。
腰からは二股の尻尾が伸び、顔を半分覆い隠すは黒猫の面。
高く跳び上がる。
夜闇を散歩する様に軽やかに上空を舞うとバック宙するかのように縦回転する。
連続サマーソルトでton点館さんを空中へ打ち上げると急制止し、今度は前に回転する。
インベントリからいつぞやの大剣を胸目掛けて投げ、柄に踵落としをお見舞いする。
ton点館さんのHPは全損し、光のエフェクトとなって消えていった。
うえー…これ、めっちゃキツいんですけど。
感覚100%にしてるから今すぐ吐きそう…
でも配信してるし、我慢しないと。
そんなこと考えてたらアカネさんがエトワールさんを文字通り一刀両断した。
・うおーーー!!勝った!
・おめでとぅーー!!!
・闇の戦闘員A ¥50000 流石は我等が領主様!!最強!圧勝!大勝利!!
・新技ヤバヤバでハルカちゃん強すぎ
・アカネあっさりと勝ったのも忘れないで
・串刺し系ヒロイン爆☆誕WWW
「ふぃー…ハルカちゃんのお陰で何とか勝てたよぉー。ton点館の野郎、私メタビルドとか鬼畜生かにゃー?」
「うっぷ…即興で技作ったんですけど、これ暫く封印します」
「あはは、そういやハルカちゃんも感覚マックスだったっけ。慣れないとキツそうだね、あれ。セツカの時とは動きが全然違うもんね。」
『ホウゼン家当主エトワールが敗北を受諾し、ホウゼン家との戦に勝利しました。以降ホウゼンの地はフジミヤ家のものとなります。尚現在フジミヤ家の所有する領地は四つです。』
アナウンスが流れる。
これでようやく今回の遠征は終わった。
ニコニコと同盟メンバーを引き連れたセレーネさんが手を振りながらやって来る。
「ハルカさん!やりましたわね!」
「あ、セレーネさん!少し無茶しちゃいましたけどね…たはは。そっちも片付いたみたいですね!」
「ええ。あの程度の雑兵ごとき私達の力を合わせれば余裕ですのよ!さぁ、勝鬨をあげましょう!」
少し恥ずかしいけど…今だけは恥を捨てて声をあげよう。
「私達、フジミヤ家の勝利だー!!」
「「「うおおぉぉあー!!」」」
こうして私達は勝利した。




