ダンジョン創世記0009
取り合えず現状についての説明を終えることはできたんだけど…まだ準備期間のダンジョンにて広大な5層構造ダンジョンと知り驚き呆れる一同に戸惑ったのは内緒ってことにね。
兎に角、水没ダンジョンっと化した俺のダンジョンの攻略は、普通は難しいとのことだが…魔導スーツや魔導アーマーなる物を装着した者ならば容易く攻略可能なのだとか。
って…魔導スーツに魔導アーマーって…何、それ?
話を詳しく聞くと…パワードスーツ系のギミックらしい代物でした…マジでぇ!?
勿論、科学文明的な代物ではなく魔術技術にて造られた代物なのだとか。
魔導スーツを別名に言い表したら魔導甲冑だろうか?
人が纏う全身鎧の1つと数えても良い品なのだけれども…防御だけに特化した品ではないらしい。
人工筋肉などを配したアシストシステムにて装着者をサポート。
この魔術技術にて甲冑に配された魔導筋肉なる代物が人の動きに合わせ動くことで、人成らざる御技を可能とするらしい。
ようは人工的な筋肉補助で馬鹿力が出せますよってことかな?
それだけではなく、重量軽減や四大元素の力を纏い素早く動き、部分硬化なども可能。
スーツ自体は密閉型なので汚染された空気の中や水中であろうと自由に活動できるのだとか。
内部は四大元素の力を利用した魔術にて快適な状態へと保たれるため、長時間に渡る活動も保証されているらしい。
っかぁ…なんてぇ、鎧だよ、本当に…
そして魔導アーマーとは…1人乗りの人型戦車と考えたら良いのかな?
魔導スーツを纏い搭乗するタイプの代物で、腹部に人がスッポリと収まる感じなのだとか。
そして、手足は人とは独立した形にて形成されているため、人という括りの制限が廃されたと言えるらしい。
つまり…魔導スーツでは内部の人間が耐えられなかった動きも可能となった、そう言うことだね。
武装も様々だけど…移動速度が速いだけではなく、なんと空まで飛ぶタイプまで存在するんだとさ。
とは言え、これらは非常にお高い代物となるため、一般的には普及されてはいないらしいぞ。
富裕国の軍部へ配属され始めているのが現状らしいわ。
っか…なんでこんな情報を知っとるの、君達?
明らかに可笑しい…創生して産まれたばかりの存在だと思うのだが…どう言うことなんだろうな?
すると、バンパイア令嬢が疑問に応えてくれる。
「基本的な知識を有して創生されねば役に立たぬ存在となりますわね。
ダンジョンを育てるのど同時に赤子のような状態の創生生物を育てるなど…厳しいと言えましょう」
いや、それって…厳しい所の騒ぎじゃないよね、絶対にぃっ!
だけど…
「それって基礎知識を持って産まれるってことだよね?
でも…先程の知識は基礎知識を超えているような気がするんだけど?」
そう疑問を投げ掛けると、バンパイア令嬢はニッコリと微笑んでから告げる。
「淑女の嗜みですわっ!」っと。
いや…出たよ…メイドの嗜みとか淑女の嗜み系の不思議理論がね。
あれで押し通されるのだから、参ってしまうよねぇ…本当にさぁ。
俺が困っているとドワーフ殿がね。
「いやいや、儂の鍛冶屋としての基礎知識に含まれた知識が同時創生時に共有されたのであろうて。
現に、儂に必要なのない知識を得ておるでな」
そのようにフォローを。
って、知識って同時創生時には共有される物なんだねぇ…覚えておこう。
「まぁ、この話は此処までとして、生活環境の向上を図りたいんだよ。
先ずは食事のことなんだけど…現在は調理器具などは存在しない状態なんだよ。
原始的な農法で芋などを育てたり野菜を育ててはいる。
鶏系の生き物を飼い、それから卵を得てもいるんだが…
飼うっと言うよりは放し飼いで放置に近いか。
まぁ、コボルトとゴブリンに面倒を見させてはいるけど…成果は芳しくはないなぁ」
そう告げると、困ったように4人が俺を見ているが、姫騎士さんが代表して尋ねて来た。
「食料は、それだけで御座いまするか?」っとね。
「いや、水源部屋には水生動植物が豊富に存在するから、それを得て糧にしているんだ。
最初は、そちらだけで生活していたんだけど…矢張り別の食べ物も欲しくなってね、それで試している最中なのさ。
まぁ、それよりも問題なのは…道具が一切ないっと言うことが切実なんだよ」
調理器具どころか食器類まで存在しない生活…初期に存在した机、椅子、ベッド以外は家具も存在しない。
残るはコアとブックに燭台のみなんだからなぁ…困ったことだよ。
それを聞いた面々が驚いたように俺へと確認してくる。
「ダンジョンブックに道具精製についての記載はないのでしょうか?」ってね。
ブックに…ねぇ…
「取り合えず、最初にザッと目を通した限りには無かったね。
食料と水を得るために色々と探したんだけど…水だけは項目として存在しても食料は皆無だったんだ。
だけど水は得られるってことで精製しようと思ったんだけど…水を入れる器がないことに気付いてね。
水を入れる器をブックにて探したけどなかったんだよ。
だから、水源から直に飲む形式として水源部屋を造ることにしたのさ」
道具がない生活…その素材もない現在って言うのは、切実なんだよねぇ~