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ダンジョン創世記0068

この店を気に入った老婆は、後日に今回は店へと持って来なかった品も提供しようと嬉しそうに告げる。

今回の来店は小手調べ的な探りを入れる来店だったようだな。


店員達もそれに気付き、ヤラレタっ!っと言った感じで宙を仰ぎ見る。

完全に格下と思い込んでいた里人から齎された品が、まさかダンジョン内でも通用する品…いやさ、ダンジョン内でも高級品として扱われる品質の品が持ち込まれるとは想像だにしていなかったようだな。


だが遣られてばかりでは悔しいようで…

「ほなら、アタイらの方の品も見て貰いまひょ」っと老婆へと提案。

そして薬材として持ち込んでいる品々を紹介した訳だが…


「な、なんとっ!カカルコの実に、ガルナ草の葉に茎、根…」

老婆は案内されると、保存される棚を巡り次々に確認して行く。


「稀少薬材もさるながら…信じられん程の鮮度じゃ。

 まるで採取したばかりのようじゃてのぅ。

 しかも乾燥さすべき品は既に乾燥させてあのかかえ?

 ただ…ダンダリルの花弁に於いては乾燥物以外に生の品も欲しいのじゃがのぅ。

 それはないのかえ?」


老婆が告げると店員が不思議そうに告げる。

「ダンダリルの花弁って乾燥させてから使用するんちゃいますのん?」ってね。


「ふゃふゃひゃ、面白いことを言いなさるのぅ。

 ダンダリルの花弁は生花を蒸してからアルコール抽出したエキスにて得られる効能があるのじゃよ。

 これはロウダリム病の薬を調薬するための薬材の1つじゃてのぅ。


 しかし…此処はどうなっておるのじゃ?

 この辺りでは見掛けぬ薬材が四季をも無視して存在しておるぞぇ。

 しかも生の品の鮮度は考えられぬ程に良い状態に保たれておるわい。


 っと言うよりじゃ、伝承でしか知られぬような品も存在するようじゃが…これは本物かえ?」


薬材の棚にはそれぞれの名称が記載されており、どれがどの薬材かが判別できるようにもなっている。

老婆は薬材が入れられた器へと記載された名称にて薬材を知って仰天したと言う訳だ。


まぁその薬材はカルデラ地帯には存在しない品ではあるんだよ。

此処が隔離される前の世界に存在している品…いや既に失われた品も含まれている。

それをダンジョンコアの力で創生させて各層にて栽培させていると言う訳だ。


つまり、カルデラ地帯ではダンジョン以外から手に入れることは不可能だと言うことだな。

老婆も伝承にしか出て来ない薬材名が記されており、本物かを疑っているみたいだ。


「ああ、それやね、それはダンジョンコア産の薬材類の1つやねぇ。

 せやさかいに此処ら辺にはあらへんちゃいますのん。

 まぁウチん所では栽培に成功してますさかいに、普通に提供しまっせ」


しらっと告げているが、老婆は仰天顔で店員をマジマジと見ている。

「本当に…これらの品がこの値でかえ?」

器へと名と共に付けられている値札を指差し告げる老婆の声は震えている。

まぁ、伝承でしか伝わっていないような品が売られていて、尚且つ安いとなれば、なぁ。


「へぇ、大変お買い得になっとるさかいに買ってや」

そう告げる店員へ老婆が意気込んで告げる。


「買った!これと、これと、これ…これだけ欲しい!

 くぅ~、金が足りん!もっと持って来れば良かったのぅ…」


残念そうに告げる老婆へと店員の1人が告げる。

「あんなぁお婆はん、さっき買い取った薬の清算したいんやどなぁ、どうやろか?」ってな。


「それじゃっ!」っと嬉々と応える老婆が薬の代金を受け取り…

「いっひひひひひっ、これで、まだまだ買えるわえっ」っと非常に嬉しそうに舌舐めずりを、って怖ぇよっ!


そして老婆は大量の薬材を購入した訳だがな。

「ふぅ~むぅ…持てんのぅ…」っと困り顔。

いや、買い過ぎでんがなぁ~、流石に年老いた老婆が持てる量ではないぞ。


「なら、アタイらが届けますさかいに、家へ案内して貰えますやろか?」

そう店員の1人が告げる。


まぁ現在は老婆以外が店を訪れる気配すらないのが現状だからな。

そう考えると暇な店員は多いっと言えるだろう。

逆に言えば老婆の荷を届けると言う口実にて店から出れるというメリットがある訳だ。

結構待機時間と言うのはキツイもの、仕事なので遊んだり本を読んだり喋ったりして時間を潰すのは御法度に近いからな。

まぁ、お喋り程度は許容してはいるのだが…


そんな状態で外へ出掛けられるっと言うことにでもなれば…

「待ちや!アタイがお婆はんの接客しとったんやで、ならアタイが行くのが正しいやろが!」っと突込みがな。

「いえいえ、ウチが先に買取しとったささかいに、ウチが行くんが妥当やろ?」っと。


「なに言ってますのん?お2人は店の店長と副店長でっしゃろに。

 そんなお二人が開店したばかりの店を開けるなどありしませんわなぁ。

 せやさかいに、アタイが行こう言うてますんやで」

ドヤ顔で2人へと告げる店員。


「「ぬぐぐぐぐっ」」って唸っているが…いやマジで言うヤツも居るもんなんだな、ふぅ。


そう3人が言い争っている間に、他の店員でジャンケンして決めた2人の店員が既に老婆を伴い店から出ているのだが…良いのだろうか?

ま、老婆が無事に帰宅できれば良いと言うことにしておくかね、ふぅ。

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