迷子
暫くぶりの投稿で文章力が落ちてるぅ……落ちてるぅ……
暫く進化先の考え事をしながら歩いていたが、どういうわけかいつの間にか一人になっていたようだ。
(……あれ?)
周囲を見渡してもエニーやケイトもおらず、顔見知りの人もいない。見慣れた建物もなく、完全に迷子のようだ。
『きゅー。』
肩にフィルが乗っているが、エニー達とはぐれたことなど気にも留めず私の首に巻き付いて眠そうにしている。元から期待はしてなかったけど、フィルが道案内をしてくれる可能性は完全に絶たれたなこりゃ。
「……。」
何度も何度も挙動不審に見られるほどキョロキョロしても、道がわからない。当然街の知識がないから意味がないことはわかっていても、焦っていて単純なことがわからないでいる。
周りを見ても全く知らない人だらけ。沢山人は歩いているにも関わらず、酷く孤独に感じた。
そう言えばここに来てからというもの必ずといって良いほど誰かしらと一緒にいたし、私自身がそれほど積極的に人と話せる訳ではない。完全に孤立してるわ今。
と、とりあえず……何とかして皆と再会しないと。目立つ建物で合流できる可能性に懸けるのがいいか。いや、万が一向こうが探してたとしたら下手に動き回るのも悪手か?
えっと……えっと……
「おう、どうしたんだお嬢さん?」
「ひいいっ!?」
突然男の人に声を掛けられて思わず背筋が震え立った。恐らく私の姿が挙動不審に見えたのだろう。素直に迷子であることを伝えた方がいいか……いや、私の身なりが魔物なのは相手もわかっているだろうし、この街に住んでいながら魔物を嫌っている人だっていることは知っている。
メンリルさんの所で働いていたほんの少しの時間でそれが分かるくらいには色濃く根付いている。そんな状況で弱みを見せれば何をされるか解ったものじゃない。
「な、何でもないっ!!」
「あっ、ちょっと──────」
そう思うと堪らず、男の制止を振り切るようにバタバタと不格好に走ってその場を後にする。ヤベエ完全に怪しまれたよ、これ。周囲を見渡すようにキョロキョロとしている、独りぼっちの魔物なんて不審者でしかない。
更に声掛けに反応して逃げるとか、不審者を通り越して最早犯罪者のそれだ。向こうなら通報待ったなしな事をしでかしているとわかっていても、私の脚は止まることはなかった。一刻も早くここから離れたい一心でひたすら全速力で街を掛ける。
「ぜぇ……ぜぇ……」
脇目も振らず走った結果、更に奥まった方へと来てしまったようだ。身に付けているローブやマフラーがずっりと重くのし掛かってくる。外そうにも頬には大きな傷がついているし、ローブの下は布一枚なく到底脱げやしない。
『きゅー。』
ガタガタと揺れ動いていたことで、眠そうにしていたフィルは何処か不機嫌そうにしている。急に走り出したから怒っているのだろう。
「ごめんよ、フィル。」
私の言葉に、フィルが舌で私の頬を舐めた。次いで自分の頭をわしゃわしゃと振って頬擦りする。「気にしないで」という気遣いのつもりだろうか。
「……ありがと。」
『きゅいー。』
フィルの頭を左手でそっと撫でてやり、気を取り直して歩き出す。今度は誰かに道を聞けたらいいな、私は独りじゃないんだから。きっと次は聞ける筈。
そう考え再び周囲を見渡してみるも、人影が全く見えない。どうやらローセの反対側辺りまで来てしまったらしく、少々狭く寂れた印象を受ける。普段見ている露店なども全くなく、死角が多々あるように窺えた。
取り敢えず、来た道を戻ればさっきの場所にまでは辿り着けそうだな。
「ねえ、待ってよそこの方。」
身体を反転させて、いざ引き返そうとした矢先。路地のような建物と建物の隙間から、少女が姿を現した。
真っ白な肌に宝石のように輝く赤い瞳を持つ、幼げな顔つきをした薄い青髪の少女。あまりにも無機質で、血色がかなり悪いように見える。外見に加え身長も小学生低学年くらいと見受けられるが、服装は黒いゴスロリチックなドレスと少々現実離れしたものだった。
───人間じゃない、こいつ。一応解説だけ頼もうか。
【アンデッドドール】ランクC
《空っぽな器に仮初めの魂を入れたことで自我を持ち、自らの意思で自由自在に動き回ることができる魔物。》
《形は様々で、正規の方法で生み出されさえすればそれら全てが【アンデッドドール】の名を持つ。》
《故に生体である魔物から【アンデッドドール】へ変化することもなければ、【アンデッドドール】から別の魔物に変化することも叶わない。》
見た目からしてなんとなく思っていたが、やはりこいつも魔物だったか。変な禁術で作られた人形タイプのモンスターだが、操り糸らしきものは特にみられない。気配感知にも特に異常ものは引っ掛かってないな。説明文通り、こいつ単体で動いてやがる。
「アハ、綺麗。可愛い……です。やっぱり貴女、魔物よね?」
「……。」
【アンデッドドール】の少女は所々に敬語を交えてきてるが、取って付けたようなそれに凄い違和感がした。私の見た目もそれなりにモンスターしてるから、バレるのも無理はない。にしても彼女は何をもって私を呼び止めたのだろうか。
「ああ、そんなに警戒しないで……しないでください。ワタシは貴女の敵じゃないの……。」
少女は寂しいと言わんばかりに目に涙を浮かべ、今にも泣き出しそうだった。人形……って言われなくちゃわからないくらい良く出来てるなこの子。人間と見間違うほど精巧で、表情豊かで涙まで流すことができる。身体の中に水でも入っていて、それが分泌されているということか?凄いけど不気味だな。
「……なら何の用なの?私今、迷子なんだけど。」
「わかってる。寧ろ、貴女がここに来るのを待ってたの。ようこそ、【協力者】さん。」
間髪いれずに放たれた少女の言葉に、私は思わず身体が固まってしまった。
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