第三十七話
温泉で覗きに失敗し茫然とするユウジとハヤト、そこに現れたのはネッケツだった。
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「な、何も見えないじゃないか! 騙したなあああ!?」
「せ、先生!? なんでこんなところに、っていうか教師が一緒になって覗こうとしないでくださいよ!」
俺の担任でもあり、ユウジの親でもあるネッケツが何故か俺たちの横で女湯を覗こうとしていた。
さすがは親子、ユウジと行動パターンがそっくりだ。
まあ、ネッケツは親子であることを知らないらしいけどね。
「う、ごほん。つい出来心でな。このことは内緒にしといてくれ! 何故か知らんが女子生徒から温泉に行きたいと頼まれてな。そんなこといわれたら断る理由がないだろ? ふふ、今夜は楽しみだ!」
アカネたちを連れてきた元凶は貴様だったのかネッケツ。
だが言いように扱われてるネッケツも少々かわいそうだ。
まあ、自業自得か。教師のくせに何を考えているんだ、全く。
ユウジが気まずそうだったため、俺たちは温泉から出ることにした。
「ぷはー、風呂上りのコーヒー牛乳は最高だぜえ!」
「それやらなきゃいけない決まりでもあるのか?」
ユウジが腰に手を当てて、瓶のコーヒー牛乳をぐいっと一気飲みしている。
ユウジはまるでおっさんのようだ。
「あら、ハヤトくんこんなところでのんびりしてていいの?」
「なんですか、また僕をからかうつもりですか?」
俺がマッサージチェアに座って安らいでいると、レイケツが声をかけてきた。
浴衣姿で前かがみになってきたので、慌てて目をそらすとクスクスと笑ってくる。
「ふふ、ちょっとくらいなら触ってもいいのよ?」
「じょ、冗談でもそういうことは言わないでください!」
本当に教師なのか、と言いたくなることばっかりしてくる。
そんなでかい胸を見せつけてくるんじゃない、邪念を抱くわ!
それよりもルシアの姿が見えない。レイケツと一緒なのかと思ってたのに。
「彼女なら先に部屋に戻ったわよ、早くいってあげたら?」
俺がきょろきょろとあたりを見渡していたせいか、レイケツはそう言ってきた。
くそう、俺の思考が完全に読まれてる……。
ルシアはもう部屋に帰ってるようだ。仕方ない、俺も部屋に戻るとするか。
俺が一人で部屋に戻る途中、あまり会いたくないやつが現れた。
「僕とルシアさんを賭けて卓球で勝負だ!」
将棋部部長のマナブだ。
放課後に何故か将棋で勝負を挑んできた少し頭のおかしなやつだ。
もうなんでいるんだよ、とは言わない。
だが一つ、言いたいことがある。
「将棋じゃないのかよ!」
俺がツッコミを入れると、マナブはフッと笑った。
「温泉といえば卓球だろう? 卓球で勝負しようじゃないか!」
「なんだよそれ、前は将棋以外は認めないとかなんとか言ってなかったか?」
おそらく、将棋では勝ち目がないと判断してのことだろう。
でも卓球は俺も得意なんだよね。
――そして、またしても無意味なバトルが始まったのであった!
と、思いきやあっさり勝ってしまった。
マナブのやつすげえ下手くそ。
サーブもろくに決められずに勝手に自爆していった。
「おいおい、そんなんでよく卓球で勝負しようなんて言い出したな?」
「うぅ、くそう。せっかく漫画を見て勉強してきたのに……」
手と膝を地に付けていかにも凹んでます、というようなポーズを取るマナブ。
もうツッコミを入れる気にもなれない。
「ふはははは! ついに僕も本気を出すときが来たよう……あれ、どこいくんだ? 勝負はまだまだこれから……おーい……」
凹んでいたと思いきや、急に立ち上がりまたいつものテンションで叫んでいるマナブ。
これ以上関わるのも面倒なので、俺はマナブを無視してさっさと部屋に戻ることにした。
ルシアが待つ部屋に――!




