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番外編3

久しぶりに番外編です。

誰の視点かは読んでからのお楽しみ。

 私は、ハヤトとユウジが仲良くしているのを見て妄想をしていた。

 そうボーイズラブ、禁断の愛。


 そんな二人を遠くから見つめるだけの存在。

 それだけが楽しみ、それだけが私の唯一の生き甲斐。


 二人の話を盗み聞きして妄想していた私はある日、二人がオンラインゲームをやってることを知る。

 そして、私は自分の正体を隠して二人に近づいたのだ。


 ――ケータとして。


 バレないように少し年上の男を演じることにした。

 とはいってもあくまでも自分のイメージする男でしかなかったが。

 女だと悟られないように積極的に下ネタの話をするようにもした。


 いつしかゲームの中だけでは私はハヤトやユウジと仲良くなっていた。

 本当の友達のように。


 そして、ユウジからもハヤトからも相談される立場になっていた。

 本来はそういうのを望んでいたわけではなかったんだけども。


 二人のやり取りをただ眺めていたい、それだけだったのに――。


 二年生になってから私だけクラスが別になってしまった。

 ものすごく残念である。

 傍観する機会が大幅に減ってしまったからだ。


 そして、ついにあの日が訪れた。

 ハヤトが突然無断欠席するようになったのだ。


 突然いなくなったハヤト。

 私としても楽しみが減ってしまう。


 しかし、ユウジは私以上に心配していたようだった。

 これはもしかすると、妄想ではなく本当に――?


 そう思うとニヤニヤが止まらなくなっていた。


 一週間で彼は帰ってきた。

 そして、なぜ一週間いなくなってたかをそれとなく聞いてみたのだった。


≪ここだけの話さ、俺異世界で勇者として召喚されてたんだよね≫


 ネット上だけの知り合いだからなのか、相談しやすい相手だったからなのか、普通にそう話してくれた。

 とはいえ、その時は私もさすがに信じてはいなかったが。


≪ユウジにはそのことを言わないの?≫

≪ああ、言っても信じてもらえないだろうしな、言う必要もないだろう≫


 ハヤトの話ならユウジは信じそうだけど。

 そう言いたかったが、あまり深入りしすぎないためにも特に言及はしなかった。


 そして、いつも通り二人は仲良くしているようだった。

 それなのに――。


 ある日突然、ハヤトがとんでもないことを言い出した。


≪俺、少し前から片思いの子がいるんだ、それで告白するかどうか迷ってる≫

≪どんな子? ユウジはそのことを知ってるの?≫


 なんですって!?

 ダメよ、ダメ! あなたにはユウジがいるでしょう!

 なんて言えるわけはなかった。


≪ユウジには言ってない、そういう話はなんとなくしにくいんだよなあ。ユウジに話したらからかわれそうだしさ≫

≪そうなんだ。でもさ、好きなら告白してみればいいんじゃない? 言わないで後悔するより言って後悔するほうがいいと思うよ≫


 ユウジは知らないのかあ。

 でもまあ叶わぬ恋なら早く諦めちゃったほうがいいよね!

 私の知る限り、ハヤトはモテるタイプではないし告白が成功するとも思えない。

 そうなれば、再びユウジとラブラブに。キャー。


 ハヤトは本気で悩んでるのにこんなんでよかったのかな――?


 そしてその翌日、ハヤトがログインすることはなかった。

 ユウジに話を聞くと、


≪なんかよくわからないが彼女ができたみたいだぜ! ものすごく可愛い女の子なんだ!≫

≪それって今日ハヤトがずっと一緒にいた子?≫


 あ、しまった!!

 つい、現実リアルのことを言ってしまった。

 バレたかな?


≪そうそう、ルシアちゃんって言ったかな? なんかいろいろあって途中で二人で帰っちゃったけどさ! 俺にはわかるんだ、あの二人相思相愛だよ、絶対!≫

≪へー、ユウジはそれでいいんだ?≫


 あれ、気づいてないのかな。まあいいか。

 そんなことより、ユウジはそれでいいの?

 ハヤトとられちゃってもいいの?


≪そりゃ親友に彼女ができたんなら喜ばしいことだろう! 俺も嬉しい限りだよ!≫

≪そ、そっか。ユウジは羨ましく思ったり、妬ましく思ったりしないんだね≫


 なんだー、私の勘違いかー。

 ハヤトとユウジのラブラブ妄想は今日でおしまい、かな?


≪そりゃあ、うらやましいけどさ。でもいいんだ。俺は彼女作る気ないし!≫

≪え! なんで? なんで彼女作らないの?≫


 や、やっぱりそういうことだったのね!?

 ふふ、私の思った通りだったというわけね!?


≪お? 今日は珍しく食いついてくるな。まあいろいろあるんだよ≫


 理由は教えてくれなかったが、つまりはそういうことだろう。

 それなら私はユウジを応援するよー、任せておきなさい!


 そして、しばらくしてハヤトが久しぶりにログインしてきた。


≪あれ? ハヤトがこんな時間にログインするなんて珍しいな≫

≪おう、ケータこそもう1時過ぎなのにまだやってたんだな≫


 いつもは自分からは話しかけずに傍観がメインだったけど、気になることもあったので声をかける。

 もう寝る予定だったけど、今はそれどころじゃない。

 せっかくハヤトがインしてるんだから、それとなく探りをいれなければ。

 ユウジが寝てる今がチャンス!


≪なあ。三日前のあれ、どうなったんだ? ほら例の好きな子に告白するって言ってたやつ≫

≪あ、あー。あれか……振られたよ。そりゃもうこっぴどく! トラウマが残るくらいに≫


 あれえ? 振られた!?

 ユウジは相思相愛だとかなんとか言ってたのに、おかしいな。

 それに私が見た限り、ここ最近ハヤトは女子と仲良さそうにしてたはずなんだけど。


≪あちゃー、そうだったのか。俺が告白しろっていったばかりにすまなかったな≫

≪いやいや、ケータのせいじゃないって。それに今はそれどころじゃなくなったし……≫


 ほほう、それどころじゃないとな?

 そうして今までのことをいろいろ話してくれた。

 なるほど、告白したのはアカネさんで、相思相愛なのが異世界のルシアさんなわけね。

 そういえば記憶喪失の転校生っていう噂があったけど、ルシアさんのことだったのね。


≪ほー、三角関係ってやつかあ。いやあ青春してるねえ。モテないっていってたわりに大人気じゃん≫

≪いやそれが俺にもよくわからないんだって。実際、俺のことを好きなのかどうかもわからないし≫


 私としては、そんなことよりユウジとの関係のほうが気になるんだけど!

 でもそんなこと聞いたら疑われちゃうよねえ。


≪それなら、直接聞いてみるしかないんじゃないかなあ? それで今はそのルシアって子のほうが好きなのかい?≫

≪うーん、俺も自分のことなのによくわからないんだよ。それでつい流されるままになって二人を傷つけてるのかも≫


 とりあえずハヤトはユウジの気持ちには気付いてないようね。

 傷つけてるのは二人じゃなくて三人よ!


≪直接がダメなら、間接的に探りを入れてみるとかはどうかな? なんなら今寝てるとこに突撃して襲っちゃうとか≫

≪それのどこが間接的なんだよ! まあ、少し遠回しに聞いてみるしかないかあ≫


 そうそう、いきなり襲ってすっぱり嫌われちゃえばいいのに!

 ハヤトには悪いけど仕方ないよね。

 これもユウジのため!


 ――翌日。


 うーん、ユウジとハヤトがよりを戻すにはどうしたら?

 でも私にできることなんて何も――。


「うわあ!」

「きゃあ!」


 そんなことを考えながらぼーっとしていたせいか誰かにぶつかってしまった。

 よく見ると、相手はハヤトだった。


「ご、ごめん、大丈夫? ちょっと考え事してて」

「わ、私のほうこそ前を見てなかったから」


 まさかこんな偶然があるなんて。

 そうだ、ユウジのことをそれとなく伝えてみようかな?


「あ、あの……、いえ、なんでもないです。失礼します」


 と思ったけど、やっぱりやめとこう。

 私がとやかく言えることではないし、言ったところでどうにかなるようなもんでもない。

 こうして私は、逃げるように立ち去った。


 そして翌日の昼休みにいつものように近くで眺めてると二人が言い争っていた。

 これはまずい。二人の仲が悪いところなんて見たくない。


「二人がケンカなんて珍しいですね」

「か、カズミ!? いつからここにいたんだ?」

 

 ユウジが去ったのを確認して、つい口を挟んでしまう。

 もうこうなったら私がユウジの味方になってあげるんだから!


「ずっといましたよ。少し気になることがあったものですから。そんなことよりいいんですか? ユウジはずっとあなたのことを心配していたんですよ?」

「は、知るかよ。あんないい加減なやつ。心配なんて上っ面だけで、本当は楽しんでるだけなんだよ。そういうやつなんだ」


 そんなことない、ユウジは本当にハヤトのことを心配していた。


「ふー、やっぱり知らないんですね。あの話のこと……」

「なんだ、あの話って。レイケツのことか?」

「レイケツ? なんのことですか?」

「え、ちがうのか。じゃあなんだよ」


 レイケツ? うちの担任のミスズ先生のことだったかな?

 先生が何か関係してるのだろうか?


「ハヤトとルシアさんの秘密を最初にバラしたのは、アカネさんなんですよ」

「え?」


 ユウジが秘密をばらしたとハヤトが怒っていたようなので、ユウジを問いただしたらそう教えてくれた。

 ハヤトには言うなよって言われたけど、そうも言ってられない。


「なぜかは私にもわかりません。でもユウジはアカネさんを庇ったんですよ。ハヤトとアカネさん、そしてルシアさんのことを思って、自分に怒りの矛先を向けさせたんです」

「な、何言ってんだよ、アイツがそんなことするわけが……大体隣のクラスなのになんでそんなこと知ってるんだよ」

「そんなことはどうでもいいんです。ユウジは、いつもあなたのことを心配していたんです、それだけは知っておいてもらいたかった。それだけです」


 ユウジはハヤトのことを思ってそうしてるんだよ?

 気付いてあげて、この秘めたる思いに!

 言いたいことはいったので、とりあえずその場を去ることにした。


 よーし、こうなったら私が二人の仲を取り持ってあげるんだから!

~登場人物紹介~

名前:カズミ

職業:高校生

年齢:16

背の小さなロリっ娘。

隠れ腐女子。ユウジがハヤトのことを好きだと思い込んでいる。

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