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よん。

 毎年恒例の私の誕生日の食事会。十三歳の誕生日からレイラを招待している。唯一の友達枠で。


「ねぇ、今年もセスター殿下を招かなかったの?」


「そうね」


 レイラはパーティーを開かない私に、十三歳の誕生日の時に疑問をぶつけて来た。第一王子殿下の婚約者の足を引っ張りたい者を招く気はないし、何より殿下を招きたくないから、と正直に告げ。レイラは何があったのか尋ねることはしないけれど、それでいいの? とは毎年確認はされる。


「何があったのか知らないけれどもう十五歳でしょう? 公務を開始する年齢よね?」


 陛下の決断である私の公務参加は全ての貴族に通達済み。だからレイラも心配しているのだろう。


「そうね。でも第一王子殿下も私も公務の時は仮面を被れると思うわよ。……多分ね」


「いやいやいや、ポリーナがセスター殿下の名前も呼ばない事自体、上手くやれてるとは誰も思ってないから! 何があったのか聞く気は無かったけれど名前すら呼ばない理由はなに?」


 レイラにとっては気になる程度の質問なのだろうけれど。


「逆に質問するわ。レイラや他の皆が第一王子殿下の名前を呼べるのは何故?」


「えっ、それはセスター殿下が気楽にそう呼べばいい、と王家主催のお茶会で許したからよ。あくまでもお茶会は公とは言いつつも成人前の子息令嬢のみだからって。成人した後やきちんとした公の場では名前を呼ぶことは許さないけれど、お茶会は気楽で良し、との事だったし、公の場では無いなら他でも名前を呼んでいい、という許可があったからよ?」


 レイラはそこまで口にしてから、まさか、という顔になった。


「まさか、ポリーナに名前を呼びを許可していないなんてことは言わない……わよね?」


「許可されてないわ」


 レイラは唖然とした表情で「嘘でしょう」と呟き三回、嘘よね? と確認された。嘘ではないし、お父様でもお母様でもパッドリーでも尋ねてみて構わないわ、と答えるとようやく「信じられない」と呆然とした顔で顔を曇らせた。


「ねぇ、何があってここまで拗れているのか聞かない方がいいかと思っていたけれど、名前を呼ぶ事すら許されていないって、あなた何かしたの?」


「したと思う?」


「……いいえ。私が見ているポリーナでは有り得ないわ。でも私の知らないポリーナは分からない」


 本当にハッキリと言う友人にクスリと笑む。


「そうね、そうよね。でも、断言するわ。私は何もしていない。そうね。第一王子殿下が顔合わせの際にある言葉を言われた。幼いからで済ませられる言葉ではあるものの、幼いからとはいえ、私は傷ついた。でも相手は王子。謝られたら許さないわけにはいかない。でも許すも許さないも謝ってもらって初めてあること、だと我が家は全員思っているわ」


「それって……未だに謝ることをしていないって聞こえるのだけど」


「そう言っているわね」


「えっ、いや、嘘でしょう? さすがに頭は下げないけれどご自分が間違っていたら済まないとかごめんとかも立場上は言えないけれど、指摘は感謝するとか意見を聞いておこうという形で、間違いをお認めになられる第一王子殿下が?」


 レイラはそんな噂しか聞かないわよと言い、信じられないと呟く。あなた表情に出ているわよ、と言えば扇子で目から下を隠して動揺していた。

 王族は頭を下げたり謝りの言葉を言ったり、と簡単に謝ってはならないと言われている。簡単に謝るということ、特に頭を下げるということは、臣下を不安にさせるからとも言われるし、臣下が立場を弁えずに図に載るからとも言われる。だから遠回しな言い方で自分の非を認めるのが王族だ。


 そして王太子の位に着いていない第一王子殿下だけれど、周りと上手くやれていて何故王太子位に任じないのかと囁かれ始めてもいる、らしい。

 ……私の知る第一王子殿下とは程遠い。

 まぁ私が王太子妃になりたくないと我儘を言ってごねていると思われているらしいけれど、その辺のことを含めてさっさと婚約者を辞退すればいいのに、と思う貴族達は契約書が公文書として公開されているから、先ずはそれを目にすると、仕方ないと諦めて黙るそうな。

 そりゃそうよね。陛下が婚姻まで必ずする、と決められているんだもの。

 ……もうね、そのまま黙っていてくれないかな、ずっと。私だって諦めているのだから。


「第二王子・トレリー殿下と第三王子・ファジー殿下と年齢があまり変わらないのに、このままでは王太子位の争いが始まりそうで怖いわ。ポリーナとセスター殿下との婚約の要って魔力持ちの子を増やして魔法使いを増やすこと、よね? だからトレリー殿下とファジー殿下の婚約者も魔力の強そうな令嬢を探して、トレリー殿下はこの前婚約が発表されたわよね。ファジー殿下はまだ慎重に探しているみたいだけれど」


 レイラが溜め息と共にそんなことを溢した。レイラ自身は魔力量が少ないことからトレリー殿下とファジー殿下の婚約者は第一王子殿下の時と同様にお断りしている、と教えてくれた。

 私、第二・第三王子殿下のお二人からは名前呼びを許可して頂いているのよね。それも王家主催のお茶会の時なので第一王子殿下の目の前で許可を頂いた。それなのに、とは思うけれど、まぁそれも諦めたわ。

 さておき。

 トレリー殿下の婚約者様は私より魔力量は少ないけれどでも多い方。爵位は侯爵家だからまぁ後ろ盾にもなり得るわね。つまり、レイラの懸念通り王太子位争いが起きないとも言えない。

 ……まぁ私はそれに巻き込まれたくないから出来れば五年以内に三人の子を産みたいのだけどね。

お読みいただきまして、ありがとうございました。

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