じゅうさん。
「ん? あら、でもその考え方でいったらレイラも第一王子殿下の婚約者候補として名が挙がっていたでしょうに。私の足を引っ張らなくていいの?」
明け透けに言う方がお好みのようなのでお好み通りに尋ねてみる。
レイラが本当に明け透けね、と一瞬だけ呆れた顔を見せてから扇子を口元に当てて、その話は後ほどと先程までとは打って変わって淑女らしい口調で澄まし顔を見せてきた。
直後。
「リカーデ公爵令嬢・レイラ様。お久しぶりですわね。アルデ家が娘・ミサーラがご挨拶を申し上げますわ」
チラリと見下すような視線を私に向けてからオレンジがかった金の髪と薄い緑の目をした令嬢が背後から声をかけてきた。
談笑に割り込んできたところを見るに、自分はそれを許されるとでも思っているのかもしれない。
「ようこそいらっしゃいました、アルデ公爵令嬢。アルデ様、随分とお元気になられたようで良かったですわ。ご病弱と耳に入っておりましたので」
あー……この方がお父様とお母様の仰っていた“病弱”な公爵令嬢……。健康そのものにしか見えないけどね。
レイラも病弱って割に元気そうね、と嫌味を垂れ流してるなぁ……。病弱説は嘘か。ということは。何を隠したいのかなぁ。
「わたくしが病気がちなことをご心配をおかけしたようで。ご心配ありがとうございます」
コレ、嫌味を受け取っての返しなのか本当に心配されていると思っての返しなのか。
うーん。判断つかない。
「アルデ様」
「あら、ミカーラと呼んで?」
「いえ、アルデ様。ご紹介致しますわ。こちら」
「嫌ですわ、レイラ様ったら! わたくしとあなたの仲ではありませんの! 名を呼んでくださる?」
わぁ。メンタル強いなー。
レイラが名を呼ぶことを拒否してるのに名前呼びを強制してるし、レイラが私を紹介しようとしたことを遮っているし。
名前を呼ぶことを断った時点で親しく付き合っていないのに、或いは親しく付き合う気がない、とレイラは言っているのと同義。
親しく付き合った上での名前呼びをする可能性はあるかもしれないけれど、今はないよ、と言っているのにね。
オマケに私のことを紹介しようとしたレイラの言葉を遮ることも有り得ない。同じ公爵家の家でも格というものがある。私とレイラの家に格の差があるように、レイラの家・リカーデ家とアルデ公爵家の格の差が。
それは国王陛下に挨拶に伺う順番がソレであってリカーデ家より数えて三番後に国王陛下に挨拶が許されている公爵家。それがアルデ家。つまりまぁ我がレバーム家から数えて八番目ということでレバーム家とはそれだけ格差がある。
紹介されていないからといって、私を無視するのはこの目の前の令嬢にとって不利ではあるけれど、紹介されていない以上、私が誰かを知らなかったと言われてしまえば不敬ではなく注意で終わる。
……さて、わざと紹介されることを遮ったのか、他意なく紹介されることを遮ったのか。
チラリとした視線は、上から下まで私の姿をチェックしたなぁ。……その上でフンと私の存在を無視してレイラに話しかけている。
ということは、私が誰なのか推測したのかな。
その上でのこの態度ということは。
さぁて。
どうしようかなぁ。
病弱も設定なのか、それとも一時的に病弱にしておきたい理由があったのか。本当に病弱とは思えないんだよねぇ……。
まぁ何にせよ。
……私が怒るより先にレイラの方が苛立っているのを見るに、レイラはアルデ公爵令嬢を嫌っているようだわ。
お読みいただきまして、ありがとうございました。




