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じゅういち。

 本日は、お茶会デビューの日。

 我がレバーム家で開催することでデビューも考えたのですが、お父様とお母様から猛反対されて招待状を頂いた公爵家二家のうち開催日の早いリカーデ公爵家に参りました。

 尚、我が家で開催することを猛反対された理由は第一王子殿下の存在に他ならない、という。我が家で開催するなら殿下を招待しなくちゃならないですからね。お父様もお母様も交流会以外で殿下を我が家に招きたくない、とお怒りなんです。

 もちろん、あの初顔合わせのやらかしを未だに謝罪されてないから、の一言に尽きます。まぁ私も同じことを思っていますが、両親はそろそろお怒りを解いた方が良くないですか? それでいいんですかね?

 そう思いながらやってきたリカーデ公爵家のお茶会には侍女のブランカを伴っています。お母様も行くわ、と仰ってましたが十歳より前ならば兎も角、もう十二歳なので丁重にお断りしておきました。

 爵位は同じですが、ウチの方が格が上です。ケンカを売られても破格の値段で買い取れます。


「初めまして、リカーデ公爵夫人。そしてリカーデ公爵令嬢。わたくしレバーム家が娘、ポリーナと申します」


 体幹バッチリの私のカーテシーはブレることが無いので綺麗に見えることでしょう。

 親娘はとてもよく似ています。

 同じ焦茶色の髪と濃い青の目で鼻が高いのでツンと澄ますとちょっと……いやかなり勝ち気な印象を受けます。既婚者を示す高い位置のお団子ヘアーの夫人と髪をハーフアップにした令嬢は扇子で口元を隠して表情が見えないようにしていま……せんね。扇子を取りました。

 挨拶を返してくれるようです。


「はじめまして、レバーム公爵令嬢」


 にこやかに笑みを浮かべてリカーデ公爵夫人が挨拶をしてくれるが、目が笑ってない。ふむ、どういった意味合いなんでしょうね。


「はじめまして、ポリーナさん」


 こちらは悪意ある嘲笑で私を“さん”付けか。同じ公爵家でも我が家とリカーデ家では格が違うのに、その差をご存知ないのかしらね。

 具体的に言えば王族に挨拶をする順番は我が家が最初。リカーデ家は五番目。その間に元王族で現公爵家という家もあるのに。

 ……そして、娘が“さん”付けで呼んでいるのに嗜めることもしないリカーデ公爵夫人。無言だから表立って娘に肩入れしていないけれど実際は、娘の言動を擁護している、と。

 という事は私を下に見ているのかな。

 ……おっと違う。

 目が冷静だ。娘の言動を容認して優越感に浸っているというより、娘の言動から私がどう対処するのか静観しているといったところ。

 ああ、ポリーナとして……治療魔法士としての活動は耳にしていてもレバーム公爵家の名を背負って社交を開始した貴族家の娘としての私を見極めたいわけですか。ふぅん。

 ーーあら。そういえば、我が家じゃないのに私はこんなに冷静に相手の思惑について思考出来てますね。ということは、それなりにはポンコツを返上出来ているのかな。

 まぁその辺は後でお母様に報告する時に考えるとして。


「ふふ。リカーデ公爵令嬢ともあろうお方が、筆頭の二文字を背負う我が家に対して対等……いいえ、私を下に見る発言をするだなんて。面白いこと」


 訳。お前より私の方が立場は上なんだよ? 下に見てイイと思ってんの?

 ……ええ、紛う事なきケンカです。売ってます。

 さて。私に見下されたご令嬢はどう返すのか。


「ふふふ。ようやく出て来た社交嫌いの引きこもりと言われていたレバーム公爵令嬢がこんな楽しい方だとは思わなかったわ。改めてポリーナ様、よろしくね。リカーデ公爵令嬢なんて他人行儀に呼ばないで、レイラって呼んで」


 楽しそうに目を細めてそんなことを言い出したところを見ると、こちらも私の出方を窺っていた、ということかな。


「ええ、私もポリーナで構わないわ」


 レイラは確か、私の一歳年上だったかな。第一王子殿下の婚約者候補として名前も挙がっていたと聞いている。


「ポリーナ、今日は楽しんでね」


「ありがとう、レイラ。お茶会デビューを飾るにリカーデ家で良かったと思えるように楽しませてね」


「ほんと明け透けに言うわね。いいわよ。我が家でデビューしたことを後悔させないわ」


 そんなわけで、お茶会デビューの挨拶はクリアしたようです。

 夫人も楽しげに目を細めて私を見てたしね。

お読み頂きまして、ありがとうございました。

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