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はち。

 コホン。

 わざとらしく咳払いをして、お父様の意識を戻してみる。ハッとしたお父様を見てから告げた。


「お母様は最終的にお父様とご結婚されているので気にしないことにしましょう。それでも気にするのでしたらお二人でゆっくり話し合ってください。話を戻しますが、先ずは私のお茶会デビューをどうするのかということ。その方針をお聞かせ下さい。それから王家と我がレバーム家の役に立っていることは理解できましたが、どこまで影響しているのか教えて下さい。また、先程の『魔力と魔法士』という書籍に書かれていた仮説に関しては仮説ですので魔力量について正しいとは言えません。可能ならば魔法士として研究してみたいと思います。それに」


 此処まで怒涛の勢いで話を戻していましたが。不意に言葉を切ってお父様をジッと見ます。


「それに?」


 お父様がすっかりと私の話に意識を戻したことを確認してから、続きを伝えました。


「それに。もし、ハイドという魔法士の仮説が正しいのであれば。私と殿下が結婚し、子が生まれたとしても魔力持ちの子であっても魔力量が多い子ではないだろう、と予測します」


 お父様とお母様が盲点だった、とでも言うように目一杯驚いた表情を浮かべました。……公爵と夫人であるお二人が感情を表に出すことは本来ならマズイことですが、まぁここは家族と信頼する使用人のみですからね。いい事にしましょう。

 貴族って感情を悟らせることが足を引っ張ることになる、と表情を知られないように教育されるんですが、その教育がどこに行った? というレベルで感情が表に出てましたからね。私や弟なら教育係に叱られる類です。


「驚いてしまったけれど、それはそうよね。ブランカとダンから報告は受けているし、ポリーナからも話を聞いているから理解しているわね。未だに初対面の暴言に謝られることはなく、ポリーナが歩み寄ろうと努力していることを無碍に扱い、今となっては無言でお茶を飲んで帰るだけの間柄のあなた達。確かに魔力持ちの子は生まれる可能性はあるでしょうけれど、魔力量は仮説を信じるならポリーナよりも子の方が魔力が少ないだろうと推測出来るわね」


 お母様がややしてから訳知り顔で頷いた。

 そうなんですよね。

 親の愛情をもらえない子どもが生まれて来る可能性が高いので仮説から考えると魔力量は少ないとしか思えないのですよね。

 というか。


「抑々、殿下はどれくらいの魔力量で何の魔力持ちなんでしょうね?」


 水とか火とか、そんな属性も知らないですね。魔力量ももちろん知りませんけど。でもまぁ、国王陛下も王妃殿下も愛情は有りそうだから……それなりに魔力量も多いのかもしれませんね。


「……そういえば、殿下は魔法士から魔法を習い始めた、と聞いている。属性は大地だと聞いたな。魔力量は分からない」


「そうですか」


 大地の属性。魔力量は不明、と。

 聞いておいてなんだけど。婚約者、という立ち位置ではあるけれど、それだけの人としか思えない。

 改めてそんな風に思ってしまった。

 さておき。


「まぁ殿下の魔力の質や量はさておき。陛下との契約は魔力持ちが生まれること、です。魔力量に関しては言及されていません。お父様のご判断にお任せしますが、この仮説についてお話されて陛下とご検討されるのか、教えてください」


「ない」


 お父様。

 私の要望をぶった斬りましたね……。


「陛下に相談もしない。魔力持ちが増えることを望まれての婚約だ。それはもう覆らない。だが、魔力量に関しては何も言われていない。こちらからも伝えない。これが殿下とポリーナの関係が良好であれば陛下に奏上した可能性もあるが、現状、有り得ない」


 お父様がご決断されたのであれば、私も従いましょう。尤も、お父様の決断に私は大賛成で反対する気はまるでないですから、お父様に感謝しますけどね!

お読み頂きまして、ありがとうございました。

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