ろく。
「王家は、婚約の主目的である魔力量の問題を提示出来てることに評価を得ている、と。でも、公爵家の書斎の書籍を読み漁って気づいたことがあるのですが」
「なんだ?」
お父様も自分は読書家だと自負していらっしゃるようですが、私程では無いとも仰るくらいには、私は読みまくってます。自分の変な能力のおかげで読み返す事もなく要点のみ覚えておけるから、というのも読みまくれる理由かもしれませんが。……お気に入りの本を読み返すことはしますが、大抵の場合は一度読めば要点のみ覚えてます。一言一句とは言いませんけど。
その読んだ書籍にあった記述を思い返しながらお父様に伝えます。
「魔力の種類は大地・水・風・火に分かれます。その魔力の質判定と魔力量判定は、教会で行われますよね」
「そうだな」
私も生まれた時にコレを行って、魔力量が多いことからこの婚約は成立している。
「師匠が教えてくれたのですが、魔力量というのは生まれた時に決まって減ることはあっても増えることは無いそうです。枯渇すれば即ち死と同じこと。ただ、減っても寝てれば回復します。或いは魔力譲渡といって魔力を持つ人から魔力をもらって回復します」
私が魔法士の資格を得て、でも任命式の前に師匠と行った魔獣討伐の時の魔力放出によるぶっ倒れからの回復は、師匠からの魔力譲渡による。
他にも魔獣討伐の時に出る魔力の詰まった石……魔石から魔力を得る方法もあるけど。
そしてこの魔石の魔力を使えば、自分の魔力を使わずに魔法が使えるから、そういう意味では魔力が増えたと表現出来るかもしれないけど。
基本的に魔力量は生まれた時に決まって使えば減るけど増えることはない。
器に水を満たして飲めば減る。でもまた水を足せばその分は増えるけど器以上の水は増えないで溢れるのと同じようなもの。で、この器の水が空っぽという状態が枯渇であり、死に直結する。
それを回避するために魔獣を討伐した後に出る魔石の魔力を消費することは出来るけど、それは器そのものの大きさが変わっただけじゃなくて新たな器で代替品としているだけのもの。
人の中の魔力量とはそういうものである。
「ジランがそう言っていたか。だが、そうだな。そう聞いている」
「私がお父様より魔力量が多いのは器が大きかったということで。その器の大きさは魔力を持つ人同士が結婚し、子を生すと、その可能性が大きくなるというだけで、絶対では無いということはお父様もお分かりですよね」
「うむ」
「そこで書籍の話になるのですが。書籍の題名は確か『魔力と魔法士』というものでした。どちらかと言うと世間で知られている『魔力の質と量』という題名の書籍より知名度は低い書籍だったと思うのですが」
「『魔力と魔法士』? 知らない題名の書籍だな」
私が思い返しながら題名を伝えればお父様が首を傾げた。……まぁ書斎の奥まった棚の一番下の隅にあったような本ですからね。
「『魔力の質と量』では、魔力量は生まれた時から決まっているとか、水や風などの魔力の質についての説明が書かれていました。対して『魔力と魔法士』の方は、魔力量が生まれた時に決まるのではなくて、生まれる前に決まる可能性がある、と書かれていました」
「なに?」
お父様とずっと黙って聞いているお母様と弟も驚いた顔で私を見ました。
まぁ、仮説の一つ的な内容だと思うのですけど。
お読み頂きまして、ありがとうございました。




