2.真尋
暑い、暑すぎる。これだから夏の日の晴れは嫌い。
頼んでもいないのに勝手に暑くして、人は倒れるし...人っていうか、自分だけど。
人肌を照り付けて、黒くするし。良いことなんて、一つもない、たぶん。
「まーーーひろちゃん!おはよう!今日もかわいいねー。」
「おはよう、全然そんなことないよ、でもありがと、太陽君」
朝から暑くてテンションがただでさえ低いのに、名前からしてこいつは今日も暑苦しい。太陽に朝から何度も苦しめられるなんて、私はついていないのかもしれない。
かわいいといわれることについては、もう何とも思わないことを、こいつは多分知らないのだろう。太陽はたまに時間を合わせて一生懸命に話しかけてくるが、そのたびに、顔が赤くなっている。
「今日も暑いね、なんだか顔赤くなっちゃったな。」
「熱中症かもしれないよ?大丈夫?」
たぶん、いやほぼ100パーセント熱中症でないことを知りながら、一応気を使ってみる。(素振りをする)
太陽は季節が夏だろうが冬だろうが赤いから、ほかの理由だろう。
そこまで私が考える必要は、お互いに取ってないから考えないことにするが。
分かっているのに分からないふりをするのは、わからないことをわかったふりをするのよりずっと大変なのである。
私の周りに気が付くとなぜかいる、太陽。一年中夏みたいにうるさくて暑苦しい男も、夏だとウザったさが倍増して、それだけで学校に来た意味を探したくなる。
誰も夏に太陽は求めていないぞ。
......やっぱり嘘、たぶん誰もじゃないけど、とりあえず私はあんたを憎んでいるよ。
今までいくらあんたに困らされてきたと思ってるんだ。
たちの悪いことに、もともとの私の肌が白すぎるうえ、紫外線を長時間浴びても赤く痛むだけなので、どんなに友人に肌が焼けたことを主張しても理解してもらえない。そのうち主張することもあきらめた。仕方がない、肌が黒いよりはいいだろう。
そんなことを考えながら、痛いほど照り付けてくる太陽を睨む。
あんたに照らされたくないから私は早起きして急な坂を上っているというのに。こんなことならもっと仮病でもして一日寝ているんだった。
息がはずむ。最後に力強くこぎきってから、ふと後ろを見ると、やっぱり急だなぁと思う。ほんとに疲れるな、これじゃ足太くなってもしょうがないよね。それにしても、これから学校なのに、朝からなんで疲れなきゃいけないんだ。朝から不満たらたらだが、もうつくから切り替えよう。
「あーーー!やっぱ疲れる!」
早くクーラーに当たりたい、そういえば今日の一時間目はプールだ。やった、涼しい。といいな。そう思うと単純で、クラスのある四階までの階段を上る足取りは軽い。
上機嫌になり、二段飛ばしで登ってみる。腕も揺らしながら、階段を上るにつれて気分は上がっていく。なんだ、やっぱり私体力あるんじゃん。
「おはよ~~!」
明るくクラスに入り、友達と話す。誰かがつけてくれた冷房のおかげで、汗が引いていくのが分かる。自分の席に戻り、気づく。
なんでこうついてないんだろうか。お弁当、自転車の前かごに忘れた。最悪だ。
登って浮ついた気持ちが、風船の空気を抜くようにしぼんでいく。
しょうがない、とりにいくか。
そんな自分をごまかすために、ちょっとかっこつけたくなって、三段飛ばしで階段を下りてみる。
............転んだ。




