スーパーカミオカンデへ
ガイドの人に続いて歩いて行くと、次第に照明も増え、秘密結社の地下基地という雰囲気が高まる。
緊急脱出用の車両が並ぶスペースがあり、スタッフの所在がすぐに把握出来るようなボードもある。立入禁止の表示も多くなる。勝手にうろつかないように監視するようなスタッフの姿も多くなる。きっと、勝手に道を外れたら、何百年もかけて掘り続けた地下迷宮から抜け出せないに違いないと勝手に妄想をふくらませる。
スーパーカミオカンデに向かう途中には、沢山の浄水器が並んでいる。
この場所が選ばれた理由のひとつには、きれいな水が豊富にあるということもあるらしいが、そのきれいな水を10種類もの浄水器等を通して、超純水を作っている。不純物がほとんど無いので、一般的なプールの二倍近い40メートル先までくっきりとクリアに見えるらしい。
スーパーカミオカンデの施設は、岩盤むき出しの壁に変わって、特殊な灰色の塗料が塗られている。岩盤から出るラドンをおさえている。勿論、空飛ぶ大怪獣ではない。
ラドンは、わずかだけども普通にある、気体の放射性物質で、岩盤やコンクリートから放出される。ラドンが崩壊する過程で電子を出し、観測の邪魔になるために、施設内の空気もはるか鉱山の外から取り入れているという。
入口は防風室のようになっていて、素早く通って下さいと、念を押される。坑内のラドンを施設内に入れないための配慮だ。
観測室の扉には、著名な訪問者のサインが、所せましと書かれている。スペースが無くなると扉を取り替える。取り外されたサインでいっぱいになった以前の扉は、並べて展示されている。このやり方がここでの流行りらしい。色紙をラップで包んで壁に並べているラーメン屋とは違う。場所を取るので、ラーメン屋では真似ができない。
途中には、説明のパネルや、光電子倍増管の実物が並んでいるが、入れ替えの時間の都合上なのか、足早に通り過ぎなければならない。
直径、深さ、約40メートルの大きなプールの上のスペースで、プロジェクターで説明を受ける。天井も周りも薄暗いく、工場のような無骨なドームは、作りかけの体育館のように見える。
この上には1000メートルの岩盤がある。そう思うと、ニュートリノは感じなくても、1000トンの圧力を感じる気がする。
残念ながらというか、当然ながらというか、スーパーカミオカンデの本体を見ることはできないのだ。
この下には、25メートルプールが250個分の50000トンの超純水と、11200個の50センチ光電子倍増管が取り囲んでいるはずだ。
実感はわかないけど、大変な装置なのは確かだろう。
ちなみに、ノーベル賞のもとになったとも言える先代のカミオカンデは、3000トンのプールに1000個の光電子倍増管というスペックだった。
1983年から始まった当初の目的だった核子崩壊の発見は、スーパーカミオカンデになった今も確認されていない。




