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君逝く朝に  作者: 杉山薫
第二章 橋本龍之介編
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第三話

 ボクは電車に乗っている。この後小林さんと大宮駅で待ち合わせをして東京駅まで二人で行くことになっている。


小林さんいるかな⋯⋯。

あ、いた。


「おはよう、小林さん」


「おはよう、橋本君」


なんだろ。

すごく可愛い。


「遅れるといけないから行こうか」


ボクは動揺を隠すように大宮駅の改札の方へ歩き出していく。


「そういえば何がわかったの?」


ボクは振り向き小林さんに話しかける。小林さんはスマホを取り出しラインを確認している。


「へへへ、内緒」


 東京駅までの電車は大宮駅始発の電車に乗った。二人で隣同士で座った。


小林さん、近いんですけど。


「小林さん」


ボクが耳元で小林さんに囁いた。


「明日、嵯峨野で」


そして東京駅に到着し、新幹線のホームに集団で歩いていく。すると、南さんがボクたちに近づいてくる。


「おはよう、小林さん。よろしくね」


「こちらこそよろしく」


小林さんは南さんに愛想よく笑った。


新幹線がホームに到着したのでボクは自分の席へと急いだ。小林さんが旅行バックを棚に上げようとしていた。


「旅行バック貸して。棚に上げとくよ」


ボクはそう言って、小林さんの旅行バックを棚に上げる。新幹線は出発した。しばらくすると、小林さんはひじ掛けを上げる。


もう、それじゃ身体がくっつき過ぎだよ。


そう思いながらボクはさりげなくひじ掛けを下げる。


アレ、なんだろ⋯⋯。

小林さんの顔から目が離せない。


小林さんはひじ掛けをさっと上げ、ボクの方へと顔を近づけてくる。


アレ、スローモーションのようにこちらに近づいてくる小林さんにボクは何も動けずに⋯⋯。


ボクの唇と小林さんの唇が衝突した!


おかしい。

絶対におかしい。

この空間、何かが、いや何か大きな力に支配されているような気がする。

キスして気まずいっていうのもあるけど、キスの次ってなんだ。

ダメだ。

こんな公衆の面前でそんなこと。

よし、京都駅までずっと寝た振りしてよう。


 京都駅に到着すると清水寺に移動するためバスに乗った。ボクの隣の席は若林君。


「そういえば、お前ら東京駅から京都駅までどこで何してたんだよ?」


若林君がボクに話しかける。


「どこにって、ボクも小林さんもずっと席にいたよ」


「そんなことねえだろ。お前らの席はずっと空席だったぞ」


どうゆうこと?


 その後、清水寺を団体観光し昼食、八坂神社や金閣寺を団体観光してホテルに到着した。ボクの部屋は二人部屋で若林君と同室。若林君がシャワーに入っている間に班長の佐藤君からライン連絡が入った。


『明日の件でみんなと打合せをしたい』


佐藤君と川崎君、林君、四條君のボクたちの班の四人は四人部屋の同室となっており、打合せするには絶好の場所なのだ。ボクは四人部屋に赴いた。


へえぇ、和室なんだ。

アレ、ひょっとして枕投げできる?


「じゃ、五人揃ったので秘密会合を開催する」


秘密会合って大げさだよ。

佐藤君。


「そうだな。ギャルコバの機嫌次第で僕たちの今後の高校生活に支障をきたすからな」


ギャルコバってケンコバみたいに呼ばなくても。

四條君。


「嵯峨野と伏見稲荷をチョイスしている段階で橋本と二人にしろとアピールしている節がある」


そんなアピールしてないだろ。

林君。


「みんなはどちらかだとずっと言っているけど、ギャル小林は絶対に嵯峨野と伏見稲荷の両方で橋本と二人になることを狙っている。舐めるなよ。ギャル小林を!」


そんなこと狙ってないよ、小林さんは。

川崎君。


「一応、班行動だからね。ある程度、一緒にいないとね。こちらである程度プランを作っておいて小林さんをそっちに誘導したい」


班長の佐藤君のこの言葉で秘密会合が始まった。


「まずは通常の予定、これをAプランって呼ぶよ。まずは嵐山の渡月橋。できれば九時半には嵯峨野に向けて出発したいね。嵯峨野トロッコ列車の嵯峨野駅発十一時二分の列車に乗ります。嵯峨野で寄り道できるかは渡月橋を何時に出発できるかにかかっているけど⋯⋯。最悪、嵯峨野だから散策だけでもOKでしょ。JR馬堀駅経由で京都駅に戻ってそこで昼食。林がニシンそば食いたいって言ってるからできればそこで。その後、JR稲荷駅まで行って伏見稲荷大社で参拝する。今回は時間的に余裕があるはずだからここでかなり時間を割けるはずなんだ⋯⋯」


班長の佐藤君は口ごもる。


「問題はギャルコバの動きがまったく読めないってことだね」


四條君が苦笑いをする。


「とりあえず渡月橋のところでリリースしたら?」


魚じゃないんだから。

川崎君。


「そのほうがお互い気分よく自由行動できるんじゃない?」


林君が半笑いで言う。


「最悪、嵯峨野トロッコ列車は別々でもいいと思うよ。橋本たちは十二時二分発。これBプランね」


四條君も半笑いだ。


「そうだね。それだと遅くても十三時にはJR馬堀駅に到着できるからね。昼食の時間を考えても十五時には伏見稲荷大社にたどり着けるはず⋯⋯」


班長の佐藤君は苦笑いをする。


「ギャルコバは伏見稲荷でも何かやってくるはずだよ。橋本たちは千本鳥居辺りで引き返したほうがいいよ。これBプランね」


四條君はゲラゲラ笑い出す。


「もう、それで行くしかないね。今回は小林さんが気持ちよく旅行できるようにみんなで動こう。それから渡月橋ではお土産店を使う。外国人観光客が多いだろうからここではぐれるフリをしよう」


班長の立場ってあるんだよね。

佐藤君。


そうして秘密会合は終了した。

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