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第87話 お願いしますよ、ワナビさん?

「ち、違うんだよ……」


 自分で言ってはみたものの、何が違うって言うんだ……。

 咄嗟に否定をしては見た者の、これ以上どうすればいいのか分からない。

 これ以上ワナビの純粋な質問に対し、言い逃れを繰り返すことなんでできる訳が……。

 こいつが俺に寄せる好意が本物だって言うのはいくら俺でも理解できる。純粋な気持ちで真っすぐにぶつかってくる相手に対して、のらりくらりとかわし続けるのは正しい事なのか……?


「違うってどういうこと? わたし、お兄さんともっと触れ合いたいよ」


 そう言って縋り付くワナビは、もう幼さなど微塵も感じさせない、女としての雰囲気を醸し出している。

 だけど、ワナビの知識が中途半端な以上、このまま流れに任せるのは違うよな……。


「あのな、ワナビ。それだけ俺に好意を持ってくれているのは正直、嬉しい。ありがとな。俺もお前の事が好きな気持ちに嘘はないよ。だけどな、そういった行為は興味本位やその場の勢いでするようなことじゃないと思うんだ。古臭い考えかもしれないが、男女がそういった関係になる以上、完全にお互いを信頼し合って、将来にわたっても大切にしあえる関係というのが前提になきゃいけないと思う」


 俺の言葉に真剣に耳を傾けるワナビ。俺の気持ちが少しでも伝わればいいんだが。


「だからこそ、こういった行為は時間をかけて、もっとお互いの事を理解した上でするべきことだと思うんだ。それは臆病なんじゃなくて、お前を大切に想うからこそ、俺たちの関係性も大切にしていきたいという気持ちがあるからなんだよ」


 じっと目をそらさずに聞き入っている。分かってくれたのか?

 ワナビは少しだけ感がる姿勢を見せると元気よく顔を上げた。


「分かった! そうだよね。もっとお互いの事を知らないと。お互いの未知な部分を理解し合う時間を計算すると、実行に移すのは来月あたりが最適だね!」


 どういう方向で理解したんだよ!

 これだから理系人間てのはよぉ!

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