第85話 分かるか?
「赤ちゃんを作る以外? どんな理由?」
めっちゃ澄んだ目。
俺はこの純粋な瞳を前に、これからものすごく恥ずかしい話をすることになる。だが俺はワナビの彼氏だ。ここで逃げては男が廃る。
この知識偏向型天才少女に、平凡な恋愛というものがどういうものか、教える義務が俺にはある。
「あのな、ワナビは俺の事を好きなんだろ?」
そう問いかけると、少し頬を染めながらもはっきりと頷いてくれる。可愛いなぁ……。
ってデレてる場合じゃない。
「好きだから手をつなぎたくなったり、腕を組んだりして体に触れたくなるんだろ?」
「うん。……お兄さん以外の人にそんなことできないよ」
モジモジしながら返事をするワナビ。コイツ……俺のツボを心得ているのか?
どちゃくそ可愛すぎて今すぐ抱きしめたいんだが。
いかんいかん。ここで俺が理性を保たないと。順序をわきまえないとな。
「その『触れたい』っていう気持ちが一番大きくなった時に、『もっと深く触れあいたい』って気持ちになるんだよ。だから赤ちゃんは『愛の結晶』って言われたりするんだ」
は、恥ずかしい……。
経験もないくせに恋愛について熱く語っちまったよ。殺してほしい……。
ワナビは俺が懊悩しているのを無視して、腕を組み深く考え込んでいる。
お願い。もう斜め上の質問をするのは勘弁してください……。




