第63話 どんな認識だ?
「へ、変な物……」
「うん。お父さんがお風呂上りによく裸で出てきたから見たことあるけど、なんか私にはない変な物ぶらぶらさせてるよね。聞いたらお祖父ちゃんにもついてるって言ってたし。確か名前はち……」
「言わなくていい! いいか、そういう男女の身体のことについては人前で堂々と言うようなことじゃないんだ。それは恥ずかしい事なんだからな」
おいおい、お父さんよ。娘にそんなもの見せつけるなら正しい性教育くらいしておけよ。
確かに風呂上りに全裸でうろつく父親は多いと言うが、俺はそんなことできそうにない。ましてや娘がいたらなおさらだ。
「でも、あれって生物が繁殖するためには必要なものでしょ? 実際にどうやるかは知らないけど、女性の体内で受精しないと子孫を残すことはできないって書いてあった」
その本って絶対に学術書だろ。
なんてこった。生殖に関する知識はあれど、それはあくまで生物学的な物であって、男女の恋愛の延長線上にある行為としての意味までは知らないらしい。
ある意味何も知らないより厄介だと思うのは俺だけだろうか。
「あのな。本来異性に裸を見られるというのは恥ずかしいという感情があるものなんだ。人間は動物とは違う。そういう行為だって、ただ生物として繁殖するためだけに行うものじゃないんだよ」
なんだか子育てをしているような気分になってきた……。




