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「ガーネット・ポーク嬢?」
私とヴィユノークは十五歳になった。
オーキッド陛下もだいぶ王として貫禄が出てきた頃だろう。
次代育成の意味も込めて一年程前から私とヴィユノークが父に代わりフィンスターニス家の役目をこなしている。
カリュクス魔法学校入学を一週間に控えている時、オーキッド陛下から王宮に呼び出された。
ああ、言い忘れていたけど乙女ゲーム世界らしくこの世界には魔法が存在する。
貴族は十五歳からカリュクスに通い、魔法を学ぶ。それまでは使用することも勉強することも、魔法に関する本を読むことも禁じられているのだ。
そしてオーキッド陛下から話が出たガーネット・ポークは乙女ゲームの題名にもなっている通りこの世界のヒロイン。
聖なる乙女の候補だ。
聖なる乙女は稀な植物育成の魔法に適性が見られ、それは世界樹を育てることができるのだ。
世界樹が育てば田畑が潤い、豊作となり、国が潤う。結果として国の繁栄に繋がるのだ。故に育成の魔法が使用できる者を聖なる乙女と呼ぶ。
ガーネット・ポークはその候補だ。
候補に留まっている理由は彼女がまだ魔法を学び、使用したことがないから。
それでも適性が分かったのは平民も貴族も関係なく十五歳になれば教会に行き聖なる乙女になれるのか教会で確認を行う為だ。
十五歳からが魔法を使用する上で体の発達に問題ないとされる年齢の為である。
それより下の場合は未発達な体が魔法についていけず粉々になるケースもある。昔はそれで亡くなる貴族が多かった。
どんなに注意喚起しても野心故に十五歳未満の子供に魔法を学ばせる親が多かった為法律で禁じられたのだ。
「彼女は聖なる乙女の候補だ。特別枠でカリュクスに入学することが決定した。君たちと同級生になる。そこで君たちに彼女の護衛及び監視をお願いしたい」
幾ら聖なる乙女候補でも学校の中に護衛は連れて行けない。
そして彼女が正しくその力を使えるとは限らない。悪用とする人間は必ずしも周囲の人間とは限らないのだ。本人が悪用する可能性がある。
「分かりました」




