休暇
6月14日今日は陰陽道の計らいで観光などの時間を設けてもらった休息日である。
——昼の12時14分
プルルルル……ガチャ『はいはい天城でーす』
僕は天城さんに電話をかける、何故か?
それはその様な契約を交わしているからだ、陰陽道が管理する敷地外に出る場合は天城さんの許可と、例外を除いて小野目先生の同行が条件だからだ。
『分かった、じゃあ小野目ちゃんをそっちに送るよ、僕の能力ですぐ送れるから伏見君はもう友達と行動しちゃって良いよ。
小野目ちゃんには影で見守ってもらう様にするね』
「ありがとうございます」
『その代わり、19時にはホテルに帰るんだよ』
19時までなら色んな所を回れそうだ。
『じゃあ楽しんでおいで〜、それと僕のオススメはブラックバスバーガーかなぁ〜食べてみるといいよー』
そう言ってプツッと電話が切れる。
「明ー準備出来たかー? 宇多姫達待ってるぞー」
「うん、今行くよ」
今日は皆んなで嫌な事は忘れて楽しもう……。
——同時刻関東本部
「本部長、誰から電話ですか?」
「うん、ちょと生徒からの相談」
天城の側近のポジションにいる田生ですら伏見のことは知らされてはいなかった。
「それよりも、田生君……今日生徒達皆んな休息日なんだってー
「はぁ……そうなんですか」
天城のこの発言に田生は嫌な予感しかしなかった。
「だからね、僕らも今日20時位に呑みに行こーよー! ねぇいいでしょー、まさか1日で鬼喰の件が解決すると思ってなかったからさ、しょーじき暇なのー」( ´Д`)
天城が駄々をこねたら、もう手がつけられ為、田生は最近になって抵抗する事を諦めていた。
「分かりました……じゃあお店はいつもの居酒屋【酔どれ屋】で良いですね。
予約しますので人数はどうしますか?」
「えっとねー」( ̄▽ ̄)
——同日20時05分居酒屋【酔どれ屋】
「いやーいいね皆んな来てくれてありがとねー」( ˊ̱˂˃ˋ̱ )
「全く、天城あんたに無理やり連れてこられただけなんだがな、皆んなもそんな感じだろ」
個室の中で顔を合わせるのは、小野目、北原、東山、信条、田生、天城そして、下国本部長であった。
「じゃ皆んな飲み物きたね〜、えっと……お疲れ!」٩( 'ω' )و
何か語ろうとしていた素振りを見せたのだが、右手に持つジョッキの中に注がれている黄金色の誘惑に耐えきれず労いの言葉を吹っ飛ばし乾杯をするのであった。
ゴクゴクと喉を通る音、夏場に呑む冷えたビールは依存性が高く手が止まらないものである。
「ひぃゃ〜生き返る〜」(*´ω`*)
それに対し下国が即座に突っ込みを返す。
「ジジィかあんたは」
「もぅ僕は女だよー、それともぅ料理も頼むね……えっと、枝豆、塩辛、酒盗、ししゃも、本日の魚の煮付け……」
「ジジィの頼み方だな」
「それといつもある?」
「はい! イナリの皮だけを10枚ですね、ご用意してあります」
この時、小野目、下国は思う、本当に狐っておいなりさん好きなんだな……っと。
側近である田生はこれはもう当然の様に振舞っていた。
「ほら、ジジィだけでなく若い者も頼みな、なんでもいいから」
すると小野目がそっと、北原、東山にメニューを渡す。
「すみません……じゃあ、アボカドのサラダ、ポテトフライ、鶏の唐揚げ」
天城、下国は気にしてはいなかったが信条、田生は、若い……っと思ってしまう自分にそういう歳になってしまったんだなと、少し心が哀しくなっていた。
だが1人そんな事は気にしてはいなく、感情を押し殺している者がいた……2人共もち肌の様にスベスベした白い肌、艶のある黒髪を束ね目に留まる頸、幼さがまだ残る顏……そう、小野目にとって大好物の素体であった。
小野目は体は抑えているが、心の中では今にも抱きつきたい一心を抱え2人を見続けていた。
そして料理を頼み終えると、申し訳なさそうに信条が天城に疑問をぶつける。
「自分なんか普通に呑んでますけど場違い感半端ないんでよね……」
「まーまー、そっちでのうちの生徒のことも聞きたかったし……まぁ素直に言うと小野目ちゃん迎に行った時丁度いたから……ついでに」
「ついで……ですか、まぁ本部長が2人居る呑み会なんてそうそう無いんで嬉しく思ってますが」
「そうだそうだ! 呑め呑め」٩( ᐛ )و
そして呑み会が始まり1時間が過ぎ……。
「うぃ……」
田生が少し遠い目をし、鍛えられた大きな背中が丸まり小さくなる。
「もぅー田生君は本当にお酒弱いな〜、雪ちゃんを見習いなさいよー。
もぅ1人で日本酒8合開けてるんだよー」
「うぃ……下国本部長には申し訳ありませんがそれは異常です……」
「確かに私と呑む隊員は全員潰れていたな……」
「うん、そうだよねー今の若いのは、弱すぎ! お酒2升位僕らには当然なのにね〜」
この会話に周りは苦笑いしか出来なかった。
下国と天城の目の前にあるお酒がまるで水かの様な勢いで無くなっていく。
「それにしても、今回は小野目ちゃんよくやってくれましたよ。
君達のお陰でこんなにも早く任務が遂行出来ました! お手柄だね」(o^^o)
「有り難う御座います、でもこれはこの子達が私に付いて来てくれたから出来た事です」
北原、東山に小野目は顏を向け、微笑みかける。
2人は嬉しさで顏を赤め、「あっ有り難う御座います!」と店内に響く声量で応える、個室の中とはいえ、店内に響くほどの有り難う御座います、は他のお客さんの会話をピタッと止めさせ数秒の間無音の空間となっていた。
先程より2人の顏は耳まで赤く染まっていた。
「……そういえば2人は何歳になった?」
「あっはい私は19です、今年の8月で20になります」
「私も北原と同じ19です、偶然なのですが私も8月で20になります」
手に持つグラスには可愛らしくオレンジジュースが注がれている。
「若いね〜、……そういえば後2人の西野ちゃんと、南川ちゃんは今日どうしたの?」(´・ω・`)
「あの子達は明日東北本部に出張で今日中にやらないといけない仕事があるらしく……」
「……そういえばそーだったねー、いっけねー忘れてた」♪(´ε` )
「うぃ……本部長後で説教で……す……」..zzzZZ
「あや、田生さん力尽きてしまいましたわ……」
それから呑み続ける事2時間……。
田生はいびきをかきながら爆睡中。
下国はひたすら呑みまくり1人で日本酒四升突破……途中からお猪口で呑むのが面倒になったのかジョッキに注ぎ呑んでいた。
信条はうつむきながらぶつぶつ「ほんま……なんなんやろなー」と繰り返し呟きながらテーブルに額をドンッドンッと自傷行為をしながら遠い目をしていた
そして小野目はテーブルをバンバン! と叩きながら泣きじゃくっていた。
小野目は酔うと泣き上戸となりめんどくさい人種へと変貌を遂げる。
その小野目を見ながら天城は爆笑しながらお酒を水の様に呑んでいた。
そんな個性の強い大人に囲まれた未成年2人は黙る事しか出来ず、子鹿の様に震えていた……。
これが俗に言う地獄絵図と言っても過言ではないだろう。
「だがら、もぅ嫌なんでずぅ」
「どしたのー小野目ちゃ〜ん」
流石の天城も3時間以上呑み続け理性は吹っ飛んでいた。
「ぐすっ……最近また、昔死んだ仲間が鬼になってわだしの前に敵としてあらわれだんでず
それをわだしは、わだしは……あぁぁぁ……」
「まぁねーこの仕事してたらよーくあることよ、上司、後輩、部下、同期、死んでいった者が鬼にならないほしょーはないからね〜」
「うぐっ……なのでぇ信条しゃん、明日わだしもそちらに行ってもいいでしゅか?」
「なんや、いきなりなんや! 別もぅどーでもいいけど、来たきゃきー」
「いいでしゅか? 天城ほんぶちょー」
「ええで!」( ̄▽ ̄)
「なぁーんで関西弁なっとるんですかー」
3時間過ぎた頃になって3人共テンションが未だ上がる一方
北原、東山の心の中では【帰りたい】の思いが強く強くなっていくのであった……
——6月15日真夜中1時15分滋賀県大津駅
深夜となり、電車は動いておらず人の気配が全くない駅の前に一台のワゴン車が止まっていた。
「いやー御殿場殿、滋賀まで運転お疲れ様でした」
車の中には大柄の男、リライブ教団の御殿場、楠那そして、まだあどけなさが残る黒髪でおかっぱのせいか日本人形の様な少女が1人……。
「伊豆殿、体の調子だどうだろうか?」
「好調、至急、任務、遂行」
「まぁーそんな焦らず待って下さい」
「了解、待機、一時、睡眠」
そう言うと伊豆と呼ばれる少女はこくんっと楠那に寄りかかりスースーと寝息を立てる。
「伊豆寝るのはえ〜な、それにしてもあーあ雨降って来ましたね〜嫌ですね今日は止まないみたいですよ」
「良いではないですか御殿場殿、雨は涙の象徴、陰陽道に裏切り、恐怖、そして死……色んな涙を見せていただきましょう」




