不敵
6月4日いつもの様に目覚ましが鳴り起き上がる。
どうも、住む場所を変えても週始めの月曜日は苦手の様だ……今日からまた僕の学園生活としての1日が始まる。
「リライブ教団か……」
あれから僕は結局の所、リライブ教団という敵について何も知ることはできなかった。
——「じゃ話すね、僕らに牙を向けた宗教団体【リバイブ教団】について」
「……すみません、少し発言よろしいでしょうか?」
「何? 小野目ちゃん」
「伏見君はまだ学園生です、敵の情報は控えさせて頂いてもよろしいでしょうか?」
「先生……」
「伏見君ごめんね、でもこの話を聞いて君は何ができるの? 変にストレスになるだけなら、まだ知る事はないと思うの……」
——確かにその通りなんだろうな……、よし気持ちを切り替えよう
そろそろ体育祭もあるらしいしな。
今は強くなるために勉学、体作りに専念しますか。
ガチャ
「行ってきます」
寮から校舎まで7分の道のり、それまでの距離でも汗ばむほどに日差しが強く、そろそろ夏服に衣替えを始める季節になってきている。——
教室の扉の前……2カ月も入院していた設定になっている僕は久しぶりの教室、どの様に入るのが合っているのだろうか?
いや、色々考えなくてもいいんだ……普通に、そう普通でいいんだ。
ガラガラ、ゆっくりと扉を開ける
「おひゃ……おはよう」
緊張でまさか噛むとは……。
「……えっ、明!」
「久しぶり遊馬、おはよう」
僕を心配してくれていたんだな、僕の顔を見て安堵の表情を見せている。
遊馬は明るく接して、いつもと変わらない。
けどこのガラガラの教室は話を聞いて覚悟はしていたのだが、なんだろうな……寂しい感じだ。
教室の前に詰められた机、僕の出席番号は52番から19番に繰り上げ一番後ろの席には遊馬のみが座る。
予鈴まであと10分か……遊馬に僕が休んでいた時の授業内容でも聞いておこうかな。
その時、僕の席の前に1人の女の子が立ち話があると僕を呼ぶ。
「おっ! 宇多姫、明に告白かー?」
「黙って下さい、宗方 遊馬! ……伏見 明さんすみませんが、ここでは話辛いです、少し教室から出ませんか……」
「いいですよ……」
「それと絶対誰もついて来ないで下さい、特に宗方 遊馬、もし来たら爆破します」
「俺だけ嫌われてんなー、心配しなくても行かんよー」
それから2人きりで空き教室に入る。
向かい合う様に立ち、土御門さんは頭を下げて僕に。
「土御門さん、どうしたんですか急に……」
「戦闘訓練室で、蘆屋さんと賀茂さんは記憶がなくなっていましたが、私は覚えているんです……
伏見 明さん、貴方が鬼となり皆んなを、私を救って下さった事を」
「……僕が鬼化した事は」
「誰にも言っていません」
またルールを破ってしまう事になるが、土御門さんは言いふらす様な人ではないと確信している。
だから僕は話す事にした……呪いの事、能力の事、そして村の事も。
「貴方の身にそんなことがあったのですね……、分かりました、この事は心の内にしまっておきます」
「ありがとう……あっそろそろ予鈴のなる時間だね、土御門さん戻りましょう」
「さん……はいらないです」
何か小声で言っていた様だが上手く聴き取れなかった
「土御門さん? どうしました」
「『さん』、はいらないと言ったのです……」
頬を赤らめ呟く
「あの事件の時は私の事呼び捨てだったじゃないですか……」
確かに興奮すると口調が変わる事はあるらしく、無意識のうち呼んでいたらしい。
「だから、『さん』は不要です、少しワガママを言うと苗字は長いので、名前の宇多と呼んでもいいですよ……」
ニコッと笑う、つち……いや宇多に一瞬心を奪われた様だった。
この笑顔は反則だ
「じゃあ……宇多も僕の事フルネームでなく、明って呼んでくれ」
あぁぁ……顔が熱い、多分今僕の顔は真っ赤になっているんだろうな……。
顔真っ赤にしながら何を言っているんだ気持ち悪いと思われてないだろうか!
「いいですよ」
うっ……眩しいくらいの笑顔、良かった……良かった? 僕は今安心している、この感情はなんていうものなのだろうか?
この感じ真美と話している時以来だな……
「あの明さん、最後に……LINE交換しませんか」
僕は無意識のうち小さくガッツポーズをとっていた。
本当に僕の体は正直なのだと痛感した。
——教室に戻り席に座る。
「青春だね〜明、そうだ俺ともLINE交換しよー」
「遊馬……」
「大きな声出しちゃダメだよー、宇多姫にばれちゃうよー」
「遊馬どこから……」
「じゃあ……宇多も僕の事フルネームでなく、明って呼んでくれ。
って所からー」
恥ずかし過ぎて死ねるかもしれない……
ガランッガランッ
予鈴の鐘がなる。
ガラガラと扉を開け先生が入って……小野目先生ではなく、違う女性教師が入って教壇に立つ。
「皆んなおはよう、おっ今日から伏見君もいるのね、貴方からしたら始めましてね私は斑目 伊香よ、よろしくね」
小野目先生は本部での大きな任務の隊長に指名され、一定期間教職を休業する事となっていたらしい。
大きな任務……これは自分の予想でしかないが【リバイブ教団】関連だろう。
「じゃあ出席とるぞーちゃんと返事しなよ」
「藍咲 俊君」
「はい」
「蘆屋 楔さん」
「はい」
「犬神 康介君」
「……ぃ」
「声小さいぞー」
「上条 イリヤさん」
「はーい」
「伸ばすな、可愛いからってすべて許されると思うなよ!」
「賀茂 宗谷君」
「はい」
「古井塚 七海さん」
「はい」
「 黒子 奏さん」
「御意」
「……まぁもういいか」
「齋藤 穂澄さん」
「はぃ」
「雪 麗蘭さん」
「口恩」
「できれば中国語じゃなく日本語でなー」
「宗玄 森羅君」
「はい」
「土御門 宇多さん」
「はい」
「手子 樹君」
「押忍!」
「ここは道場じゃないぞー、暑苦しいから辞めようか……」
「寺田屋 久門君」
「はい」
「藤堂 伸次郎君」
「はい!!」
「立たなくていいよ……、真面目かよ」
「那岐 時雨さん」
「……」
「いやー手を挙げるんじゃなく、返事してもらいたかったんだけど……まぁいっか」
「梨衣 莉奈さん」
「はぁい」
「貴方も可愛いからって許されると思わない事ね!」
「夏木 紫苑君」
「はい」
「空蝉 馨君」
「……はい」
「伏見 明君」
「はい」
「宗方 遊馬君」
「はいー」
「いつもいつも、チャラついてんじゃねーぞ。
気をつけろー」
「よし、皆んないるな。
それにしても、うちのクラスは個性派が多いな〜」
先生貴方も中々の個性をお持ちですよ……とは言えないな
「それで、今日はこれからこんな個性派をまとめるクラス委員長を決めてもらいます!」
——同時刻、空き教室
「やっと今日から不死身君復活か……
いやー長かったねー待ってたよ!
フフッまた友達信者に千里眼符借りれたら遊んであげるから、楽しみにしててよねー♡」
ガラガラガラッ
「んっ?」
「やっと見つけた、全く2年生になったんだからそのサボりグセ早く治してよ!」
「先生、すみませーん」
「ほら、早く教室に戻りますよ玉響さん」
「はーい」
さてさて……次はどんな事しようかな♡




