お爺ちゃん賢者の戦闘シーンⅡです。
いつもありがとうございます。
やったか……?
遠くの破砕音がやがて薄れていく。
その鼓動が鼓膜を打つのを止める前に、新たな鼓動が加わる。
風を切る飛翔音だ。
ふと背後に殺気を感じ、反射的に腕を突き出す。
ガキィィィィィン!!!!
金属同士が擦れ合うような、不快な物音が迸る。
錬成で希少金属のみを集めて作った常時発動の防護壁が、一瞬で吹き飛ばされる。
防御を失った腕はいとも簡単に切り裂かれ、血を撒き散らしながら地へと落ちていく。
突如として発生した痛みを堪えながら、聖属性魔法を発動する。
淡い純白のオーラが傷口を包み瞬く間に肉が肥大、腕が再生していく。
「クッ……なかなかの速さじゃな。さすが竜種と言ったところか」
一瞬で土の賢者を肉体欠損へと追い込んだ存在の正体。
それは多くの魔法防御を備えた竜鱗を多数持つ世界最凶の種族、【竜種】だった。
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「竜種との戦は久しぶりじゃのぉ。これは全力を出さねばヤバいか?」
久々の強敵の予感に、儂は顔を大きく歪めて嗤う。
やはり強者との闘いは心が滾る。
心地よい恐怖、憎悪、劣等感とともに自我の最高を引き出す。
そこに強者との戦闘の良さがある。
「では儂も本気で行くとしよう」
そう呟いてから塵雷の力を想起、集約する。
『【纏仙舞奉】』
短い開錠言葉が呟かれた後、溢れ出た魔力が紫黒の線を作り出し全身を覆っていく。
それは不規則に脈動し、まるで生きているかのように儂の体を這いまわる。
やがて動きを収めた脈動の線は、最終的に歌舞伎の化粧法、隈取のような紋様を象る。
「貴様にこれが耐えられるか?」
目元に紫黒の線が走り、凶悪さを増した顔が不敵に嗤った。
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「【仙魔解放】」
そう呟くと、九尾を象った妖狐が突如出現する。
仙魔解放というのは文字通り、身に封印した仙魔を解放することだ。
儂の封印魔獣は、九尾。
竜種ですら圧倒する封印魔獣の中でも最強と目される九尾だが、この世界でどれほど通用するかは分からない。
『おっと久しぶりだな狂賢者』
「話は後だ」
『……のようだな』
僅かの逡巡の後、九尾が目の前の竜種へと襲い掛かる。
「大技で陽動を頼む!儂が仙魔力の塵雷で片づけてやる!」
『いつもお前上から口調だよな……ま、いいか。陽動いくぞ』
陽動に備え、翼に魔力を込め竜種の背後へと回り込む。
竜種の警戒が全て九尾へとむけられていることが幸いだ。
儂は気付かれていない。
『いくぞ!【亥氷】』
多数の巨大な氷柱が周囲を凍らせながら竜種へと襲い掛かる。
陽動にしては大きすぎる威力が竜種へと接触した。
モーニングスター大賞の運営の方から感想をいただきました。
運営の皆さん、本当にありがとうございます。
また、いきなり数多くの作品を削除した原因は、活動報告にてお知らせしております。
急に多くの作品を削除してしまい、本当に申し訳ありません。
※クレイの地位を大将軍→小隊長に変更しました。
いきなり役職が偉すぎるなと思ったからです。
※九尾の技を編集しました。
焔系はベターかな、と思ったのであえて氷系でいきます。
今後もよろしくお願いします。




