お爺ちゃん賢者は式典に参加しました。
次は戦闘に入ります。
その日の午後。
書類を無事片付け終わった儂らは、キリルを叩き起こして式典に向かった。
既に式典の場は作られており、あとは国王を待つのみだったようだ。
玉座までの道には相変わらず赤いカーペットが敷かれており、その上を今到着した国王とともに神官たちが歩んでいく。
会場は水を打ったように静まり始め、ついには物音ひとつ存在しない空間が出来上がる。
それは例えようもなく神聖な様子で、あのだらしないキリルが多少は神々しく見えた。
やがて玉座に着くと、神官たちは二手に分かれ左右に広がり、止まった。
式典は一種の儀式らしく、大役就任の際は必ず行われるそうだ。
「……では、小隊長クレイ。玉座まで馳せ参じよ」
完全に公モードのキリルの声は、普段より明らかに低く作られていて「明らかに作ってるよなあいつww」みたいな感じで笑ってしまう。
笑いをこらえるために腹筋が痙攣しているのを見て、隣のスキュラが「大丈夫か?」と聞いてくる。
いや、単に笑い堪えてるだけだから。
スキュラにそういって、紅いカーペットの上を悠然と歩き始める。
こういうのは周りを気にしたりしてオドオドすると駄目なんじゃ。
あくまでも、自信過剰を装って、平然と。
これが立派な貴族スタイルじゃ。
「……良く知っていたな……」
玉座までたどり着いて完璧な礼儀作法を見せた儂に、儂だけに聞こえるような小声で「グッジョブ!」と伝えてくる。
これぐらい当然じゃわい。
そういった意味を込めて、睨み返す。
「諸君!俺はこの者に【資格】を見た!よって捧げよう!小隊長の地位を!」
…………。
暫く静寂を待って、感謝の言葉を言う。
「ありがたき幸せ。このクレイ、小隊長の地位にふさわしく、身を粉にして勇ましい働きを心がける所存にございます!」
こんなのは適当でいい。
事前にそう言われたので、その通りにした。
なんか前世で賢者になったときもこんなことを言ったような気が……
何にせよ、少し恥ずかしいのは仕方がない事じゃろう。
「この者には【土賢者】の地位も与える!王宮関係者は、しっかりと支援するように!では
これで閉じる!」
んん?なんか変な言葉が聞こえたような……
気のせいか。
周りが一斉に拍手しだしたので、儂も併せて拍手しておく。
キリルは事前に用意してあった出口から退場するようで、それが終わるまで拍手は続くそうだ。
その大きな拍手の音に紛れて放たれた多数の爆砕音に、誰も気づくことは無かった。
いつもブクマなどありがとうございます。
実は最近気になってることがありまして……
それあいまだに評価と感想等を貰えていない事です……うっううう……
なんか最近自信喪失気味です。
是非お願いします……(泣)




