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トッカン!ー追放疫病探偵の備忘録ー  作者: テト式
第零章 追放されたアメリカ疾病予防管理センターの現地疫学調査官は日本でセカンドキャリアを謳歌する。残された人たち大丈夫?
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FILE 00 え!?アメリカ疾病予防管理センターの現地疫学調査官である私が解雇ですか!?

「えっ!?現地疫学調査官である私が解雇ですか!?」

 アメリカ、ジョージア州アトランタの疾病予防管理センター(CDC)の寄生虫疾患部門のデスクにおいてそのような素っ頓狂な声が響く。


 いや、このデスク以外にも今日この日、数々の部門や課のオフィスにおいてこのような素っ頓狂な声が響いている。


「ルシア・カスティージョ調査官。落ち着いて。正確にはこの寄生虫疾患部門そのものが実質的に閉鎖。だ」


 寄生虫疾患部門の部長、つまりルシアの上司が残念そうな顔で静止させる。


「そんな……噂だとばかり」

「残念ながら真実だ。政治家連中は寄生虫はニュースにならないという理由でここを閉鎖させるのを決定した。しかもタチが悪い事に大統領命令で、だ」


「大統領命令……」

 ルシアは愕然とする。この国の大統領はここまで愚かだとは思っていなかったからだ。


「私としても君のような優秀な調査官を失うのは国家の損失だと抗議したのだが……駄目だった」


「ボスは大丈夫なんですか?」


「ああ。どうにかな……しかし君は」


「私は大丈夫……です」


 ルシアはあまり大丈夫じゃなさそうな様子で答える。


「あー……。君はこの寄生虫疾患部門で沢山の功績を見つけた。カリフォルニアの湿地でカエルの腹から新種の寄生虫を見つけたし、テキサスのアライグマから腸内寄生虫を発見したし、アリゾナのチワワ砂漠のネズミのダニは君の名前がついているし、それによって我が国のみならずメキシコの畜産業へのアウトブレイクを防ぐ事ができた」


 ルシアの上司はつらつらとルシアの功績を口にする。


「なのに……クビなんですか」


「それらは全部人間には罹らないから。という政治家の判断だ」


「クソったれが!」


「ル シ ア」


 悪態をつくルシアに対してため息まじりにどうどうと静止する上司。


「……正直君程の人物なら大学や研究機関への再就職は簡単だろうが……何分、今の大統領だから……」

「ええ……はい」

 2人は気だるそうな沈黙を作る。お互いため息は出ているが。


 何かと理由を付けて大学や研究機関への締め付けを行うのが今の大統領のやり方なので、再就職した所でどうなるかが不安なのだ。


「君の寄生虫への見識が生かせる公的な場所が日本にある」

「あるのですか。日本には寄生虫は少ないと聞きますが……」

 ルシアは少し驚いた様子で上司の話を聞く。


「ああ。厚生労働省の特殊(Special)感染(Infectious)(Disease)監理(Control)(Department)。通称SIDCDだな。確かに日本は寄生虫が少ない場所だとされているが、それ故に見過ごされている場合もある」


「成程……SIDCDですか……」


「ああ、そこの課長と知り合いでな。既に話は付けてある。後は君次第だ。どうするかね?」


 上司はそう言ってルシアを見る。ルシアの表情は明るい。


「わかりました。日本で頑張ります」

 ルシアの言葉に、ホッとした表情をする上司。


「そういうと思った。それでは荷造りの方は任せるよルシア」


「はい、お互い、新しい環境で適応していきましょう」


「ははっ。新しい環境か。そうだな。お互い意地汚く適応しようか」

 そう言って上司は苦笑する。



 202X年。世界的な疫病・感染症により世界は大変になったので、各国は独自の調査機関を設立し、新たな疫病に対して備える時代になった。

 日本の厚生省も、特殊感染症監理課。通称特監(トッカン)を設立し、未知なる病魔に備えていた。


 そこに、CDCを追放された若き現地疫学調査官。ルシア・Cカルメン・カスティージョ・Mモラレスが編入される事となる。

 これによりトッカンは新たな局面を迎える事となる……

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