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世界はまだ、俺が魔女で聖女だと知らない  作者: 月森 朔
第8章 軍団になった日

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第9話 魔石と配信

お宅訪問のつづきです。

 俺は俺2号。フレイヤを担当している。先ほどからペルソナを使いっぱなしだが、うまくいっている。なんなら、ペルソナに会話を任せながら交信は俺の意思だけで会話することも可能だ。なかなか使い勝手が良い。

 しかし、バーナさんの話が長いなぁ。調和派の名前も知らない人の不倫疑惑みたいな話を掘り下げてくる。この世界にもテレビとかあるんだろうか。芸能ニュースとかかじりついているタイプなのだろうか。


 話を聞いていると、前は記録した情報を映すというシステム自体は存在したようだ。しかし、魔力の消費が大きく、一部を残して廃止になったとか。それについても新技術の報告や事件や事故などの報道に限っており、芸能というものは存在していないらしい。バーナさんの情報源は、新聞みたいな紙媒体ということだ。


「そうそう。ジェームはその映像を作り出す魔道具を作ってたのよ」

「ジェームさん、すごいわ」


 俺がそういうと、ジェームは目に見えて赤くなる。バーナさん、目を細めて観察するのは止めてください。この雰囲気、実家に帰った時の母さんと同じ表情している。どこの世界も母親って同じなんだなと感じてしまった。



 アリスが映像を作り出す魔道具に興味を持ったようで、質問を始める。


「その魔道具は、ここにありますか? 私、修練ばかりで見たことがなかったんです」

「ありますよ! ちなみにここの学派は、映像関係の人間ばかりで、映像への需要が無くなると一気に失業者ばかりです。もっと潰しのきく魔道具を作っていればよかったんですけどね。でも、今や魔石も貴重品ですけどね。ちょっと待っててくださいね」


 ジェームは席を立つと、ガタガタと音を立てた後、重いものを運んでくる。両手で抱えて持てるサイズの四角い箱を持ってジェームが部屋に戻ってきた。重いようで、ゆっくりと床に置く。


「これがさっきの話に出た魔道具です。それなりに貴重なんですけど、一応一家に一台以上は普及しているんですよ。魔石が無いと見れないので、今やただの箱ですけどね」



 そこにアリスから交信が来る。


『フレイヤ、マジックバッグに魔石入れてきてたよね? あれ使えるかな』

『使い切れないくらいあるわ』


 地球のダンジョンを攻略しまくったために、マジックバッグには清算していない数トンに及ぶ魔石が保管されている。ちなみに、そんなマジックバッグはひよりの特別製だ。



「あの、魔石ならばあるので試させてもらってもいいですか?」


 アリスがそう言うと、ジェームが戸惑った表情を見せる。


「いやぁ、貴重な魔石を使うのはもったいないですよ?」


 無駄遣いをするつもりはないが、魔石は腐るほどあるからなぁ。


「多少の持ち合わせはあるので、大丈夫よ」


 俺はそう言うとマジックバッグから10個ほどの魔石を取り出す。この辺は、最近攻略した南米の深いダンジョンの物だな。


「うわ、なんだこれ。え、こんな純度の高い魔石なんて、今や上位学派でも手に入らないって言われてるのに。まさか、フレイヤさんってお姫様!?」


 え、この世界って姫とかいるの? 王国とかって概念がなさそうだけど。


「いえ、そういうのではないですよ? でも、お姫様っているんですか?」


 ジェームさんが魔石を手に取って興奮気味に観察している。バーナさんが返事をしてくれる。


「あら。フレイヤさんのところでは、そう言いませんか? 過去の実績や重要な技術を持っている家が名門と呼ばれるのよ。そして、そんな名門の娘さんなんかは、お姫様ですよ。おとぎ話にある王様の娘になぞらえてね。ここの学派でも、リーダーをしてくれているオーグストランドさんの所の娘さんもお姫様って言えるかもしれないわね。でも、ここの学派自体は、王様というよりは地方の領主くらいなんじゃないかしら。もっと甲斐性のある王様が良いわね。ふふふ」


 バーナさんが笑う。最後は毒を吐いた感じがあるが。


「あのこれ使ってもいいんですか?」

「よければ、こちら全部差し上げます。今回、色々と教えてもらっているので、そのお礼に」


 バーナさんとジェームが顔を見合わせる。


「ありがとうございます。これだけあれば、1年は過ごせそうです」


 とても喜んでくれており、映像の魔道具を実際に動かして見せてくれることとなった。魔石を直接いれるわけではなく、魔石から魔力を抽出する機械に入れて、そこからケーブルのようなもので魔力を供給するようだ。見た目は、まるで電源コードだ。



 箱の表面に何かが映るのかと思ったら、その上にスクリーンが現れる。見た目は、ステータス画面のようだ。空中に浮かび上がった映像には、実直そうな男性がスーツとは少し形状が違うが、かちっとした雰囲気のある服装で映っており、何かを読み上げている。


「食料事情のニュースをやってますね」


 なんだか面白味はないが、重要な情報なんだろう。


「食料はなんとか足りているようですが、生活水準の低下でかなり不満が出ているようですね」

「不満を言ってるところは、ここの暮らしを体験させてやればいいのよ。この不満が高まってるってところは、まだ水も豊富な地域じゃないの」


 バーナさんの鼻息が荒い。気になるのは、魔力が潤沢にあった時の暮らしだな。


「魔力が潤沢だと、どんな暮らしになるのかしら?」

「私たち、あまり町で暮らしたことがないから」


 俺の言葉にアリスが補足を入れてくれる。


「そうなんですね。せっかく魔石をもらいましたし、ちょっと久々に魔道具をフル稼働してみましょうか。でも、外に見られたくないので、カーテンしますね」


 そして、ジェームさんは壁面にある装置みたいな物を操作する。先ほどの魔石を1つ投入した。


「いきますね」


 高い鈴の音みたいなものが聞こえると、部屋の中が明るくなる。外の明かりで過ごしていたのだが、なんと天井全体がほんのりと明るくなる。


「お茶を1杯おねがい」


 その声のあと、30秒ほどだろうか。ジェームさんの目の前には、お茶が運ばれてくる。運んできたのは、円筒形のロボットみたいな何かだ。手足がついていて、静かに移動している。


「家事なんかはゴーレムがやってくれます。あ、風呂も見ますか?」


 風呂を見せてもらう。バスタブが置いてある土間に案内される。シャワーもついており、地球と大差ない。


「お湯を張って」


 どこからからお湯が出てくるわけではなく、湯舟にお湯が満たされる。


「あら? お湯はどこからかしら?」

「これをご存じないってことは、水が豊富な地域の生まれですかね。これは、バスタブにお湯を生成してくれる魔道具が仕込まれてるんです。便利でしょう」


 バーナさんがそれを見て、嬉しそうだ。


「久々にお湯をしっかり入ったお風呂に入れるねぇ。あ、でも、フレイヤちゃんとアリスちゃんに入ってもらうのがいいかね。旅をしてきて、お風呂に入りたいんじゃないのかい? ほら、遠慮はいらないよ。もらった魔石で入れた風呂なんだから、さぁ、入りなよ」


 なんだか、バーナさんの押しが強い。


「タオルなんかは貸してあげるし、私の若いころの服なんかもあるからね。ちゃんと洗って貸してあげるから、さぁさ、入った入った」


 何の返事をすることもないまま、風呂に入ることを決められてしまったのだった。そして、フレイヤとアリスの2人で入ることとした。ただ、さすがに不用心なのでアリスが一瞬影子になり、分身を出現させて見張りとする。透明化しているので気づかれることはないだろう。

 でも、その分身も言ってくる。


「お風呂入りたいなぁ」


 ごめんと謝りながら、異世界での初風呂を堪能する。


「フレイヤ、ぜったいバーナさんにロックオンされてるよ。ジェームさんって彼女いなさそうだし」

「わたくしには、既に心に決めた人がいるんです」


 おっと俺はペルソナを切る。設定上、フレイヤは笹木のことが大好きで、俺の母親とも交際中だという話で通してしまっている。

 その時、メルから連絡が入る。


『メルなの。お風呂中なのにごめんなさいなの。連絡があるの。幸子さんが無事出産して、女の子だったの。あと、日本でもスタンピードが発生したから、ジェシーとマナと一緒に対処にいってくるの」



 先に幸子さんの出産の話が出てきて、スタンピードが後。このところ、そわそわしていたメルだから、物事の順番が変わるのは分かる。


「赤ちゃん、抱っこしたいよね。早く解決して地球に戻らないとね」


 俺は、いつも使っている風呂道具をマジックバッグから出す。メイク落とし、シャンプーにトリートメントなどを出していく。


「メイク落とし貸して」

「いいわよ」


 今や慣れ切った女子な感じの風呂を開始したのだった。


進んだ魔法は、進んだ科学と同じになるとかなんとか。

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