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世界はまだ、俺が魔女で聖女だと知らない  作者: 月森 朔
第6章 くノ一になった日

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第25話 ひよりとバレンタインデー

ダンジョンガイダンスのリリース回です。

 俺は俺3号。常にひよりとして活動している。今日はバレンタインデーだが、本題はダンジョンガイダンスの新機能である行商人モードのリリースの日だ。ひより女史の姿になり、魔装開発局の全世界向けのMu-tube公式チャンネルにおいて発表する。名古屋ギルドのホールを借りており、ギルドの関係者と報道陣に囲まれている。


 海底ダンジョンの件で渡米していたフレイヤもメルは既に日本に戻ってきている。そして、ガームドさんも少し遅れてだが、日本に戻ってきた。ジェシーとアリスは、フロリダで休暇中だ。休暇が終わったらカナダのダンジョンに行くことになっている。

 海底ダンジョンで起こった事についてはエバーヴェイル内で既に共有済みだ。ガームドさんとの会話も済ませている。

 その時に出たマナからの質問が印象的だった。それは、今のままダンジョンを攻略し続けて魔力上昇が進んでいってもいいのか?だ。まさに、ひよりが開発したダンジョンガイダンスの機能は、より探索を効率的に継続的に行うための物だ。より深い階層に行く探索者たちは魔石を持ち帰る必要がなくなるのだ。

 その質問にガームドさんはこう答えた。


『ダンジョン人は、我々よりもスキルや魔法について詳しく使いこなすことができることは容易に想像できます。そんな人たちが侵略の準備をしている中で、人類が何もせず、レベルも上げずにいることは、よりリスクが高い状況だと言えます。魔力上昇が100年単位で進むことを良しとしない勢力が勢いづいている以上、我々は強くならなければなりません。そのための、手段や道具は何でも使うべきなんです』


 迷いのない発言だった。その後、『ハヤト先生! 一緒に頑張りましょう!』と笑顔を見せたガームドさん。きっと、こういう逆境に燃える性質なんだろう。



 そして今日は、その頑張っている取り組みの1つ。ダンジョンガイダンスの行商人モードのリリースである。出荷済の新型のダンジョンガイダンスについてはアップデートを遠隔で完了している。そのため、行商人モードの操作画面を有効にし、行商人向けのアナウンスなどをリリースモードに切り替えるだけだ。しかし、それだけでは寂しいということで、ある仕掛けをしておいた。


「さぁ、ハヤト先生。リリースの発表開始ですよ」


 撮影にもダンジョンガイダンスが使われる。そして、それはダンジョン内に居る探索者たちにも映像が届くようになっているのだ。探索者も配信を見ながら、ダンジョン内でダンジョンガイダンスのアップデートを待っているはずだ。


 そして、発表が始まった。ギルド職員の司会者が紹介をし、ひよりとガームドさん、そして、フレイヤを映す。フレイヤは、笹木博士の代理という立ち位置だ。寒さにやられた笹木博士は、具合が悪いため欠席ということになっている。もちろん、具合の悪い笹木博士なんていないので安心してほしい。


「では、まずはガームド局長からの挨拶です」


 そこからは真っ黒なスクリーンにダンジョンガイダンスが映し出される。そして、2頭身のキャラが投影される。それは、ふくよかな商人といった風体のキャラだ。行商人キャラを起動すると出てくるキャラだ。名前は、行商人となっている。ちなみに、この商人のキャラも変更することは可能だ。


「いよいよ、本日、行商人モードがリリースされます。各ギルド側にもインフラを整え、ようやくここまでやってきました。魔装開発局だけでは決してたどり着けなかった偉業となります。これは、エバーヴェイルの技術部門が全面協力してくれたおかげなのです。ハヤト先生、どうぞこちらへ」


 俺はシックなデザインのスーツを身に着け、髪をアップにしている。そして、ステージの上に立つ。今回、E&Sの人が来てくれて、スタイリストを買って出てくれたおかげで、かなり気合の入った姿だ。


「みなさん、ハヤトひより先生です。行商人モードの発案者であり、開発者でもあります」


 俺は考えていたコメントを返す。


「ガームドさん。ご紹介ありがとうございます。エバーヴェイルの技術部門を担当しております隼人ひよりと申します。モニターの前にはどんな方々がいらっしゃるのでしょうか。探索を楽しんでいる方、仕事として仕方なくやっている方、これから始めようと迷っている方など様々な方がいらっしゃると思います」


 そこで、ぐんとダンジョンガイダンスが寄ってくる。ガームドさん仕込みらしいが、気にせず続ける。


「私は、そんな探索者の方々に対して、インフラやツールの力によって快適でより安全な探索をしていただくことを夢見ていました。今日、そのうちの一歩が実現します。ガームドさんには過ぎた評価をいただいていますが、行商人モードを作り上げる中で魔装開発局、そして、数々の探索者の方々のお力を借りられたこと、非常に光栄に思います」


 ギルド側から盛大な拍手が起こる。そして、司会者がフレイヤの事に言及する。


「エバーヴェイルの代表である笹木博士は具合が悪いとのことで、副代表のフレイヤ・リネア・ヴィンテルさんに来ていただいています。どうぞ、ステージの方にお越しください」


 ひさびさにフレイヤのフルネームを聞いたわ。そして、写真のフラッシュで視界が埋まる。E&Sのスタイリストさんが気合入れて、ドレスを持ってきていたのだ。それは、紅いマーメードラインのドレスで、光沢のあるサテンが彼女の歩みに合わせて揺れる様は、立ち上る炎のようだ。いつもよりも露出が少ないのに、妖艶に見える。


「フレイヤさん、いつもと違う印象ですね」


 司会者が少し赤面している。フレイヤは一流のモデルか芸能人レベルだからな。男としても分かってしまう。


「ありがとうございます。E&Sさんのスタイリストさんが選んでくださったの。いつもは、ダンジョンに潜ってモンスターを倒す日々ですから、このような素敵な衣装を着られてうれしいですわ」


 フレイヤは、所作が優雅だ。ペルソナを使っているのかは不明だが、司会者との受け答えも卒なくこなしている。そして、笹木博士の病状などの話になったが、風邪で安静にさせているという話になり、会場に行くというのを無理やり押さえつけて生姜湯を飲ませましたと言うと会場が笑いに包まれる。


 その後、他愛のない会話をした後、背後のスクリーンにカウントダウンが映し出される。


「では、間もなく時間となります。ダンジョンガイダンスが生まれ変わるその瞬間にお立合いください!」


 俺はフレイヤと手を握り、それを見守る。ガームドさんも背後に立っている。そして、時間となり、その瞬間、ダンジョン内で物資の輸送がダンジョンガイダンスで事足りるようになったのだった。

 そして、地球が映し出され、各地のギルドが行っている売買の様子が棒グラフでその映像の地球に重ね合わされる。売買が始まったようだ。


「今回、ハヤト先生とフレイヤさんから探索者の皆さんにプレゼントがあるんですよ。ダンジョンガイダンスで初回の使用時にプレゼントのチョコレートを入手することができます。今日はちょうどバレンタインデーですからね」

「おお、私もそれは欲しかったですね」

 司会者は本気で悔しそうだ。


 この件については、ガームドさんとも話をしたが、チョコレートを贈るイベントは一部の国だけのようだが、話題性があっていいじゃないかという話になったのだ。こうして、俺とフレイヤは、世界で一番、義理チョコをあげた女性になったんじゃないかと思う。まぁ、どちらも笹木だなんてことは、探索者たちには言えない。



 そして、配信の最後には、ガームドさんが、こんな発言をした。


「新たな時代が来ました。ギルドは探索者さんたちへの支援を惜しみません。より強く、よりしぶとく生きるように研鑽を積んでください。では、よい探索を!」


 大多数は軽い発言のように聞こえただろう。しかし、ギルドの一部、そして、エバーヴェイルのメンバーは、その発言の重さを知っているのだった。


いよいよ6章も終わりに近づいています。

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― 新着の感想 ―
しかしポーターさん達は転職か、ガイダンスを凌駕する特化ポーターに成長しないといけなくなったかな? 高級品だし、完全普及までは仕事はあるだろうけど。
笹木から愛を込めて…
>俺とフレイヤは、世界で一番、義理チョコをあげた女性になったんじゃないかと思う。 だが男だ!w
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